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東京モーターショー特別企画 Designer's Talk  Vol.1 G.ジウジアーロ×フェラーリ GG50
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東京モーターショー特別企画 Designer's Talk  Vol.1 G.ジウジアーロ×フェラーリ GG50

東京モーターショー開幕の前日、ブリヂストン本社にある大物が招かれた。彼の名はジョルジュエット・ジウジアーロ。氏は、自身の創作活動50周年を記念し、1台のプロトタイプをデザインした。その名は、フェラーリ GG50。
[2005/10/27]

なぜフェラーリなのか?

「クルマをデザインすることは難しいことではありませんが、フェラーリというブランドを使い、それをこうして私の口からプレゼンテーションすることに、いま一抹の不安を感じています」。そう語るのは、イタリアの大御所デザイナー、ジョルジュエット・ジウジアーロだ。

1938年にイタリアで生まれたジウジアーロ氏は、17歳でフィアットに入社。今年でカーデザイン歴50年を数える、言わずも知れた大ベテランだ。1968年にパートナーのアルド・マントヴァーニとイタルデザインを設立し、81年にはさらにジウジアーロ・デザインを創業。カーデザインのみならず、さまざまなプロダクトデザインにも意欲を見せる。例えば、ニコンのカメラやスウォッチの時計、携帯電話のデザインなども手掛けている。自動車の分野で世界的にその名を確立し、他分野でも成功を収めているジウジアーロ氏にして、やはりフェラーリは特別の存在なのだろうか。

「フェラーリの社長、モンテゼーモロ氏に相談したのです。カーデザイン50周年の記念碑となるモデルを作りたいと。彼は私の情熱に快く耳を傾けてくれました。フェラーリを手掛けられるようになるまでに50年掛かった、と言ってもいいでしょう。そして、それをこうして産業が発達している日本でワールドプレミアできることを、とても嬉しいと思っています」

ジウジアーロ氏の手掛けた作品は、初代フィアット・パンダやアウディ80、BMW M1、最近ではアルファ159やブレラなどが有名だが、日本との関わりも深い。古くはいすゞ・ピアッツァや117クーペ、スバルSVX、初代アリスト、それに2004年のジュネーブショーでトヨタが発表したアレッサンドロ・ポルタなどはまだ記憶に新しい。自動車はもちろん、カメラにしろ時計にしろ、プロダクトデザインはデザイン性と同じぐらい、あるいはそれ以上に機能性や使いやすさが求められる。したがって、それを手掛けるデザイナーには、美的センスだけでなく、機能を理解し使い勝手を高めるという作業も重要な仕事となるだろう。

単なるプロトタイプにあらず

そうした観点から見ると、すでに30代で名声を獲得した後に、40代を迎えジウジアーロ・デザインを立ちあげ他業種への進出を図ったのは、新しいモノについて勉強しようとする好奇心が旺盛であり続けているからと想像できる。だからこそ、日本の持つ工業技術力の高さをニュートラルな目で見ることができ、リスペクトできるのだろうし、フェラーリという走行性能が極めて重要となるメーカーの仕事を自ら望み、相手から理解を得ることができたのではないだろうか。

「50年間のキャリアには、苦労も数知れずありましたが、自身の持つクリエイティビティをすべて傾けて活動してきました。この業界にはたくさんのライバル企業があります。クルマの著しい進化に合わせ、コンピュータシステムにも熟知していなければなりません。エンジニアリングの情報が必要不可欠となるのです。今回私が手掛けたフェラーリ GG50は、単なるプロトタイプではありません。実際に走らせることができるランニングプロトタイプなのです」

ジウジアーロのイニシャルと、氏の活動50周年を記念して“GG50”と名付けられたこのランニングプロトタイプは、フェラーリの4人乗りフラッグシップ、“612スカリエッティ”をベースとしているという。5748ccのV12エンジンは、最高出力540psを発生。世界最速4シーターの名を恣にしているフラッグシップだ。

「ですから他のプロトタイプを作る時よりも入念な作業を行いました。走るために必要不可欠なものをすべて備えています。また、ボディはすべてアルミニウムで仕上げ、一部にはカーボンファイバーを使い、軽量化を図りました。フェラーリの名にふさわしいものにするためです。ご存じの通り、フェラーリといえばピニンファリーナが有名ですが、長い間フェラーリの顔となったアイデンティティを崩すことはできません。フェラーリからは、フェラーリの伝統を活かしたものに仕上げて欲しいという要求がありました。その伝統、アイデンティティを反映した上で、工夫を尽くしたつもりです。ベースモデルの姿は皆さんよくご存じだと思いますが、それと比べてみていかがでしょう。私は自身のオリジナリティを加味できたと自負しているのですが」

日伊のリレーションシップ

軽快なイタリア語で話すジウジアーロ氏の物言いからは、フェラーリに対するリスペクトの気持ちがふつふつと伝わってきた。また、彼はブリヂストンに対しても感謝の気持ちを口にした。フェラーリとブリヂストンのコンビは、F1でその強さを見せつけているだけでなく、プロダクションモデルの分野でも密接に関わり合っている。エンツォフェラーリや612スカリエッティに標準採用されているのは、ブリヂストンのフラッグシップタイヤ、ポテンザRE050だし、このGG50にも同じ銘柄のランフラットタイヤが装着されているのだ。

今までカーデザインとタイヤの関係が取り沙汰されることはあまりなかったが、ランフラットタイヤ誕生以後、その技術のカーデザインに与える影響が見直されている。ランフラットタイヤはパンク時にタイヤ交換をしなくても済むのが大きなメリットだが、それはスペアタイヤの収納スペースが不要になることを意味してもいる。スポーツカーともなると床下の整流効果なども考慮されるので、デザイン自由度が増すことのメリットは思いのほか大きいのだろう。

また、ブリヂストンがスポーツカー用に展開しているサイド補強式のランフラットタイヤは、従来規格で作られたホイール・リムにも対応できるのも大きな特徴となっている。もちろん、フェラーリに採用されるにはそうしたディテール以上に、基本性能の高さやデザイン・アビリティが求められるのは想像に難しくない。
ジウジアーロとブリヂストン。互いに名声を手にした2者が頂点への夢を込めて完成させたプロトタイプが、フェラーリ GG50なのである。


Report:曽宮岳大
取材協力:ブリヂストンタイヤ
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