[2008/03/07]
ピレリが誇るUHPタイヤの最高峰最新の「ゼロ」をサーキットで試す!
ピレリ P ZERO
ピレリPゼロ、今回は改めてサーキットインプレをお届けする。果たしてピレリの新しい旗艦は、日本有数の高速コースでどんな走りを見せたのか?
抜群の安定感は過酷な条件下で俄然精彩を放つ
Pゼロは、ピレリの新しいフラッグシップであり、事実上Pゼロシリーズの頂点に位置付けられるタイヤだ。パフォーマンスではPゼロを凌ぐPゼロ・コルサが存在するが、これは国産ラジアルでいうとセミレーシング相当だからだ。
Pゼロの位置付けだが、これはズバリ、超高性能車向けのUHP(ウルトラ・ハイ・パフォーマンス)モデルということになるだろう。ターゲットはフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェといった面々であり、あり余るパワーを受け止め、超高速域でのスタビリティを確保することが優先事項となる。実際、ピレリが保証するスピードレンジは実に370km/h(!)。このPゼロを、今回は富士スピードウェイでの印象をご報告したいと思う。
まず、印象深かったのはガヤルドとの組み合わせ。元々ガヤルドは接地感が高く操縦性もシャープだが、Pゼロを履くと“ビタッ!”、と広いトレッド面全体で路面をホールドするような抜群の接地感があり、しかも粘着系の強いグリップ感がある。その結果、感覚的にはドシッとした安定感が得られ、安心してアクセルを踏める。
今回は250km/hオーバーからのレーンチェンジやフルブレーキングなどもチェックしたが、タイヤがねじれたりヨレたりするような感触はなく、また応答遅れからくる過敏なノーズの動きも認められなかった。むしろ、この速域ではまだ余裕があるといわんばかりの安定感があった。
グリップの強さからくる安定感は、コーナーでも変わらなかった。富士の100Rは、インベタからコーナー奥に向かって膨らんでいき、旋回ブレーキで車速を落としながらクルマの向きを変えるという、タイヤに大きなストレスがかかる状況になるが、こんな場面でも不確かな手応えや不安定な姿勢は認められない。また、意図的にリアをブレークさせても限界付近から滑り出すまでの過渡領域におけるグリップ変化が穏やか。加えてグリップの落ち込みも少ないのでコントロール性も高い。
一方、クアトロポルテとの組み合わせだとタイヤのグリップ性能が足回りに勝っている感触で、ラフな操作を行なうとダンパーがボトムしてしまう。しかし、これはサーキットでの話。一般道では、むしろ強力なグリップ性能からくる高いスタビリティや安心感を強く感じるはず。実際、富士をサーキットスピードで走らせても不安感は皆無に近い。タイヤがキッチリとパワーを受け止めてくれるので、あの官能的なエンジンの雄たけびを存分に味わえた。
ちなみに、Pゼロは乗り心地も決して悪くない。超高速域でタイヤの膨張を抑えるために、キャッププライにアラミド繊維を使っているのだが、ここにひと工夫あるのだ。単にアラミドキャッププライにすると引っ張り強度(耐膨張性)は良くなるが、乗り心地が硬くなりやすい。そこでPゼロではアラミドとナイロンコードを螺旋状に縒って、ある程度の伸縮性を作り出している。その成果だと思うのだが、タイヤ自体のダンピングの強さや剛性感はあってもゴツゴツした硬さがないのだ。上質な剛性感とでもいったらいいのだろうか、乗り心地にも質感が備わっている。このあたりも、プレミアムカー御用達というPゼロらしい美点のひとつといえる。
Report:斎藤 聡
Photo:ピレリジャパン








