BMWアルピナB5スーパーチャージ
BMW ALPINA
B5 Supercharge


メルセデス・ベンツCLS55AMG
MERCEDES-BENZ
CLS55 AMG


エレガントかつハイパフォーマンスなセダンの真髄とは?

それぞれの究極を味わう。

メルセデス・ベンツのトップモデルに位置づけられるAMGに対抗するBMWといえば、Mモデルが定石だ。ただし、今回のAMGは「美しく魅惑的であること」を追求して生まれたCLSクラス。圧倒的なパフォーマンスを争うだけでは語れない妖艶さも必要だ。ならば、あえてここでぶつける相手は、珠玉のBMWともいえるアルピナしかないだろう。

リポート|萩原秀輝|H.Hagihara フォト|郡 大二郎|D.Kori


問われるのはパワーの質


 過給によってシリンダー内に大気圧以上の空気を押し込む。排気量を拡大したのと同じ効果が発揮されるために、異次元のパワーが獲得できるわけだ。たとえば、F1エンジンにターボチャージャーが組み合わされていた時代には、1.5リッターで1000ps以上に達していたほどだ。
  だが、市販モデル、ましてやプレミアムブランドがベースになるデリバティブ(派生)モデルではそうもいかない。異次元といえるようなパワーを獲得しながら、洗練された走りも実現しなければならないからだ。つまり、パワーの質が問われるということになる。
  まずは、異次元の度合いから。メルセデス・ベンツCLS55AMGは、CLS500用のV型8気筒をベースに、ピストンのストロークを84mmから92mmに延ばして5.5リッターとし、スーパーチャージャーによって過給するエンジンを積む。もちろん、単に排気量を拡大しただけではなく、シリンダーブロックやクランクシャフトを強化し、鍛造アルミニウムピストンも組み合わせている。その結果、476psを発揮する。
  一方、アルピナB5スーパーチャージは、BMW545iのV型8気筒をベースに、排気量は4.4リッターのままスーパーチャージャーを組み合わせたエンジンを積む。排気量がそのままといっても、エンジン本体には余すところなく手が加えられている。その結果、510psものパワーを発揮する。ともに、数値を示しただけでも堂に入った異次元ぶりだ。
  続いて洗練の度合いだが、CLS55は同時に迫力も感じさせてくれる。一般路の流れに合わせるようなアクセルの踏み方では、2速からスタートするために初動は穏やかだ。それだけに、日常の走行に際してアクセル操作に対する余計な気遣いはいらない。だが、その先の加速の立ち上がりはかなり鋭い。わずか2560rpmで最大トルクの71.4kg-mを発揮し、圧倒的な力強さが持続する。
  しかも、低周波数帯を強調したエンジン音を響かせ、それにビート感も加わっている。その刺激が加速の力強さを際立たせ、迫力感に結び付く。高回転域の伸びもよく、レブリミットに迫る6300rpmまで一気に吹け上がる。そのため、過給だけに頼ってパワーを稼いでいる感じはしない。ただし、この高回転域を確かめるためにいきなりアクセルを踏み込むと、スタートからホイールスピンが発生する。ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)をあえて瞬時に介入させず、ギャッと悲鳴を上げるリアタイヤのスキール音も迫力の一部と考えているのかも知れない。当然、次の瞬間にはESPが介入する。
  B5も、初動は穏やかだ。しかも、加速はエンジン回転数の上昇と完璧に一致しながら力強さを増す。最大トルクの71.4kg-mを発揮するのも4250rpmと高回転寄りであり、それを5500rpmまで維持する。そして、レブリミットの6000rpmを目指してエンジン回転数が滑り込むように上昇する。
  その過程では、迫力というよりも力強さの密度が増していく実感がある。なおかつ、この密度感はアクセルを踏み込んだままでは回転数の上昇によって変化し、ある回転数からアクセルを踏む場合はそのストローク量によって変化する。したがって、パワーを回転数で稼ぐ感覚だけではなく、微妙なアクセル操作にも正確なレスポンスを示すといった、いい意味での繊細さも楽しむことができる。
  逆にいえば、大ざっぱなアクセル操作ではB5の本領は実感できない。スタートでアクセルを一気に踏み込むと、瞬時にDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)が介入する。走行中にアクセルを床まで踏み込んだときも同様だ。ググッという感じで、自動的にトルクを絞り込んでしまう。B5は、そうした大ざっぱなアクセル操作をするドライバーが乗るクルマではないのだ。
  CLS55は、洗練度を損なわない範囲でダイレクトに異次元のパワーを感じさせようとしているだけに、このあたりにAMGとアルピナの考え方の違いがある。その関係が上下とか優劣ということではなく、あくまでも違いであり、その選択は乗る人に委ねられる。
 

MERCEDES-BENZ CLS55 AMG

いまもっとも旬なメルセデスの異端児
Eクラスをベースに、デザインを重視して開発されたCLSクラスのトップモデル。エンジンはCLS500の5リッターの排気量を5.5リッターにまで拡大、スーパーチャージャーで武装した476ps仕様。このハイパワーに対応すべく、専用チューンのエアマティックDCサスペンション、強化ブレーキシステムなどを装着。もともと豪華なインテリアだが、高級素材のナッパレザーが室内全体を包み込むなど、通常モデルとの差別化も図られる。シートはショルダー部にアルカンタラを配するスポーツタイプ。ホイールは本国ではオプションとなる19インチのAMG5スポークを装着。

Specification
■全長×全幅×全高=4915×1875×1390mm
■ホイールベース=2855mm ■車両重量=1940kg
■エンジン種類/排気量=V8SOHC24V+SC/5438cc
■最高出力=476ps(350kW)/6100rpm
■最大トルク=71.4kg-m(700Nm)/2650〜4000rpm
■トランスミッション=5AT
■サスペンション(F:R)=4リンク:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ=255/35R19:285/30R19
■東京標準現金価格=13,965,000円
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