ビー・エム・ダブリュー130i Mスポーツ

BMW 130i M-Sport

メルセデス・ベンツA200ターボ
MERCEDES-BENZ A200 TURBO

遅れてやってきた2台のエントリースポーツ。

異なるのは、速さの「質」。

サイズアップしたメルセデスのボトムレンジと、新たに送り込まれた最小のBMW。こうして大きさと価格が互いに近づき、またひとつ火種が増えたというわけだが、両メーカーがこの2台に並々ならぬ力を注いで開発したということは、比較を進めていくとよくわかる。だからこそこの2台、何から何まで違うのだ!

リポート|竹平 誠|M.Takehira フォト|郡 大二郎|D.Kori


小粒ながらもピリリと辛いか激辛か


 A200ターボと130iMスポーツはどちらもマキシ・コンパクトクラスに属し、ともにラインナップ最小のボディにパワフルなエンジンを搭載するという共通点こそあるが、両車の性格はまったく異なるものだ。A200ターボはスーパーなAクラスとして、余裕ある動力性能とスポーツフィールを与えられたクルマだが、あくまで軸足は日常の足としての実用性にある。かたや130iMスポーツはというと1シリーズの皮をかぶったハイパフォーマンス・スポーツそのものといえ、文字どおり軸足はほぼ両足ともスポーツにある。価格だって大幅に違う。
  そういうわけでこの対決は、両車のパフォーマンスを比較するのでなく、各役どころでの魅力がいかほどかという方向で進めよう。小さいと思われがちなAクラスだが、新型はゴルフなどと同様にハッチバックとしては最大級。1シリーズも同クラスで、コンパクトカーの主戦場であるヨーロッパで、近年拡大著しいセグメントのニューフェイスだ。成長市場だからこそ、A200ターボのように上級感のあるモデルや、130iMスポーツのようなハンドリングマシンまであるという活況ぶりなのだ。
  新型Aクラスは、「小さくてもちゃんとメルセデス」と呼べるクオリティ感が売り。ダッシュや内張の意匠はEクラス等にも通じるデザインキューを採用して高級感を出してきたし、タイトに閉まるドア、滑らかに開閉するリッド類、見た目も手触りもソフトになったダッシュボード周りなど、コンパクトカーながらプレミアム感を十分に備える仕上りだ。
  A200ターボは、いわゆるスポーツハッチとは少々性格が違う。ローダウンされ、締まったスポーツサスを装備して運動性能が引き上げられているという意味ではスポーティなのだが、そのサス設定はハイスピードでのスタビリティに重点が置かれている。スポーツモデルというよりもシリーズのフラッグシップとして仕立てられた、スーパースペックなAクラスと言えるだろう。
  エンジンもまた然り。ターボ仕様ではあるが、このクルマのパワーキャラクターはやたらスポーツ感を強調するようなものではなく、全域で厚いトルクを出す、ちょうど排気量を大きくしたような出力特性だ。だから動力性能面では、マキシ・コンパクトではトップクラスであるものの、イケイケな性格ではない。むしろ、さりげなく速く走ってしまえる性格というようなものだ。ターボでパワーを得たメリットは、大排気量化に比べて重量面での有利さにある。コンパクトなFF車ではエンジン重量が嵩んでノーズヘビーになり、軽快感が失われるというリスクが少なくないからだ。
  A200ターボのサスペンションはスポーティに締め上げられたものだが、先代Aクラスと違いトレッド、ホイールベースに余裕があるし、可変減衰力のショックアブソーバーという新兵器の貢献もあり、ゴツゴツ感のない大人の乗り味。ハイグリップタイヤを履いたことで旋回の限界も上がった。リアサスはパラボリックビームの採用で横力のマネージメントに優れ、余裕を持ってパフォーマンス向上を受け止めている。操舵フィーリングは機敏だが、軽快さよりは安定感が強調されたもの。特にシャープではないが、常にハイレベルなスタビリティに守られつつ素直な挙動を示すという、メルセデスの流儀が守られている。
  日本仕様のトランスミッションはCVTのみだが、A200ターボのキャラクターを考えると、これは妥当な選択だろう。良く造り込まれており、渋滞中のストップ&ゴーでは程よいエンジンブレーキを効かせるし、CVTにありがちなエンジン回転と実際の加速感のズレもしっかり抑え込まれている。そのスムーズでナチュラルな仕事ぶりは、CVTチューニングのお手本たりうるレベルだ。
  キャビンは、クラスでも屈指のスペースとユーティリティを持つ。とりわけカーゴスペースは立派で、多目的なファーストカーとして不満のない機能性だ。こうした日常性能に、ターボパワーの余裕の走りがプラスされているわけだから、全方位抜かりない性能をハッチバックに期待するユーザーにとって、A200ターボはひとつの理想型なのかも知れない。
 

BMW 130i M-Sport

刺激と繊細さが同居する正真正銘のスポーツカー
当初から存在が噂されていた、ストレート6搭載のスーパー1シリーズ。日本仕様はMスポーツのみで、スポーツサスや17インチタイヤ&ホイール、エアロパーツ、スポーツシートなどを標準で装備。シート表皮はボストン・レザー。FRゆえ後席の空間は最小限だが、このクルマのステアリングを握れば誰も文句は言わないはず。1430kgのボディに265psのパワーは強烈で、最高速度250km/h、0→100km/h加速は6.1秒を誇る。ラゲッジルーム容量は330〜1150リッター。

おなじみ3リッターストレート6は、この130iに搭載されるにあたり7ps/1.5kg-mのパワーアップが施されている。組み合わされるトランスミッションは6速MTのみ。
Specification
■全長×全幅×全高=4240×1750×1415mm■ホイールベース=2660mm
■車両重量=1430kg■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V/2996cc
■最高出力=265ps(195kW)/6600rpm
■最大トルク=32.1kg-m(315Nm)/2750rpm■トランスミッション=6MT
■サスペンション(F:R)=ストラット:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■ タイヤサイズ(F:R)=205/50R17:225/45R17
■東京標準現金価格=4,870,000円
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