BMW 650i カブリオレ

BMW 650i Cabriolet

新しいV8は6シリーズにこそふさわしい!?

晴れ、ときどきロードスター。

前出の550i同様、6シリーズのV8も4.8リッターユニットに換装された。
4シーターカブリオレといえばエレガントなスタイリングにソフトな乗り心地というのが定番といえるが、そこはやはりBMW。
その気になれば、2シーターロードースターばりの俊敏さを見せる!


リポート|島下泰久|Y.Shimashita フォト|宮門秀行|H.Miyakado


550iとは異なるサウンドチューニング


 5シリーズと同じ4.8リッターV8を得たラグジャリークーペは650iと呼ばれる。そう、単に数字が大きくなっただけでなく、末尾につく記号が「Ci」から「i」へと変わっているのである。630iはデビュー時から「i」だったから、では次期3シリーズ・クーペはどうなるのか……などと考えるのはなかなか興味深いものがあるが、その話は置いておこう。この6シリーズ、新しいエンジンを得て車名が変わったのと同時に、装備にも小変更が加えられている。
  その内容は、ほぼ5シリーズに準じる。ざっと挙げれば、キーが最新モデルに準じたスロット式となり、エンジンスタート/ストップがボタンによるワンプッシュ式に。DSCはドライブレーキングやブレーキスタンバイなどの機能を備えた拡張機能付きに進化した。さらに盗難警報装置が標準となり、ボディカラー、インテリアカラーの設定が変更されたという具合である。また、650iには舵角に応じて照射角度を変化させるアダプティブ・ヘッドライトも標準で備わることとなった。
  試乗したのは650iカブリオレである。外観は、そういうわけでまったく手は入っていないのだが、相変わらずその妖しさは抜群だ。特に試乗車はクリームベージュ・エクスクルーシブレザーという、これまた乗り手を選びそうな派手な内装。若干、躊躇しながら乗り込むと、さらにダッシュ全体が豪奢なレザー張りであることに気付く。これはインディビデュアル仕様のオプションとして新たに設定されたものだが、内装も外装の一部といえるカブリオレには、まさにお誂え向きの装備である。
  5シリーズと同じく、ステアリングコラム脇に設けられたスロットにキーを挿入してプッシュスイッチでエンジンをスタート。せっかくなのでトップを開け放って、いよいよ走り出すことにする。
  ここでもまず感じるのは、やはり低速域でのピックアップが向上していることだ。シュンシュンと威勢よく、しかし軽薄さとは無縁の密度感を伴ってレスポンスする様は実に心地よい。スペック表を見ると、単に排気量が拡大されただけでなく圧縮比も10.0から10.7へと高められている。詳細は明らかではないのだが、おそらく内部は相当にリファインされているのだろう。また、550iよりわずかに下げられたファイナルギア比も、650iカブリオレの重い車重を補っているに違いない。
  もうひとつ、快感度を高めているのがサウンドチューニングだ。アクセルをドンと踏み込むと、背後からバババババッと排気の脈動感をそのまま伝えるかのような強いビートのエキゾーストノートが響いてくる。上品な音の550iととても同じエンジンと思えないような迫力は、実際にも十分以上に速い650iカブリオレの走りを、さらに速く心地よく演出する格好のスパイスとなっている。
  ちなみに650iにはスイッチひとつでステアリングの操舵力やスロットルレスポンス、ATのシフトスケジュールを変更するDDC(ドライビング・ダイナミック・コントロール)が標準装備となるが、この新エンジンでは、そんなものに頼らずとも十分にスポーティな味わいを満喫できた。
  シャシーの躾けもさらに良くなっていた。もはやランフラットタイヤの硬さが気になる場面は皆無といえるほどだし、5シリーズ同様、アクティブステアリングの熟成ぶりも見事。乗り心地もフットワークも、もはや文句を付けたくなるような部分は見当たらない。
  そんなわけで6シリーズ、ここに来ていよいよ脂が乗ってきたと言ってよさそうである。
 


ブラック系内装の色調が若干変更されたが、インテリアは従来通り。試乗車はインディビデュアル仕様車で、ダッシュボードもフルレザー。リアシートの居住性はまずまず。
ボア、ストロークともに拡大し、排気量はちょうど400ccのアップとなる4798ccに。スペックはそれぞれ34ps/4.1kg-m向上し、367ps/6300rpm、50.0kg-m/3400rpmを発揮する。ヘッドカバーも新デザインだ。
ソフトトップは全自動、約20秒で開閉する。垂直に上下するリアウインドーを格納せずに上げておけば、風の巻き込みを防止してくれるというアイディアもユニークだ。
ダブルスポークのホイールデザインに変更はない。タイヤサイズはフロント245/45R18、リア275/40R18となる。
ルーフを閉じてもシルエットは完璧なバランスを保ち、静粛性もほとんどクーペと遜色ないほど。ソフトトップの色は、ブラックとグレーが用意されている。
Specification
BMW 650i CABRIOLET
■全長/全幅/全高(mm)
4830/1855/1360
■ホイールベース(mm)
2780
■トレッド(前/後)(mm)
1560/1585
■車両重量(kg)
1960
■エンジン型式/種類
N62B48B/V8DOHC32V
■排気量(cc)
4798
■最高出力(ps(kW)/rpm)
367(270)/6300
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
50.0(490)/3400
■トランスミッション
6AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:
インテグラルアーム/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/Vディスク
■タイヤ(ホイール)
F:245/45R18(8J)R:275/40R18(9J)
■東京標準現金価格
¥11,600,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
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