#7 STATION WAGON

ボルボV70

VOLVO V70

アウディA6アバント
AUDI A6 AVANT

世界中で親しまれるステーションワゴンの「定番」

ボルボが支持される理由。

これまではずっとドイツ車を定番として取り上げてきたが、ステーションワゴン編に限り、そのセオリーは当てはまらない。
なぜなら、このセグメントにはボルボV70というクルマがあるから。
では、スウェーデンの良心が長らく定番として君臨する理由とは。


リポート|笹目二朗|J.Sasame フォト|望月浩彦|H.Mochizuki


心理面まで計算した!? 絶妙のラインナップ


 日本の輸入車市場で圧倒的優位を保つドイツ車ながら、見方を変えればもっとほかの選択肢もある。そんな視点に立ち、普段の比較テストではとかくハード面に注目しがちだが、今回は少し違う角度から眺めてみるとしよう。
  アウディA6アバントは、ステーションワゴンに期待されるほとんどの性能がギッシリ詰まった内容の濃いクルマで、特に技術面では究極ともいえるメカニズムを持っている。オンロードでもラフロードでも、フルタイム4WDのクワトロ・システムは様々な状況下においてきちんと対処してくれる。つまり、ひとつの理想とさえいえる。実際に走らせても、走行性はスムーズで快速。内外装も高価なクルマらしく立派な造りだ。
  ただ、A6アバントは客観的に見ればいいクルマであっても、主観的な関心度はやや低い。それはアウディ全部が同じ顔になってしまったため、上から下まで膨大な幅の中にあって、なんとなく「A6という中間で我慢する」という意識が拭えなくなってしまったからだと思う。もっと高性能な4.2リッターV8エンジンを積むモデルもあるし、さらに大きなSUV、Q7もある。クーペのように寝かせたバックドアは、ちょっと格下のA3スポーツバックっぽくもある。
  選択の幅が広いとき、上は充実した内容に満足し、下は省略されていても納得できればいい。本当は中間的な自分に必要なものを選ぶことが重要ながら、この場合には同クラス他車に比べ726万と高価であるにもかかわらず、中間で我慢しているような気分になってしまうからツラいのだ。これはエンジンルームを見ていても同じ。3.2リッターV6のFSIは確かにいいエンジンだが、6リッターW12さえ詰め込めそうなスカスカのボンネットを見ていると……。
  そこでボルボV70に乗り換えると、やはりホッとするというか、安らぎを覚えることになる。サイドブレーキもレバーによるメカ式のままだから、スイッチ式のように作動に対する不安はない。ウインカーも半押しで3回点滅を強制されることがないなど、とにかくクルマから催促される感覚が薄く、走らせるのは自分だという積極的な気持ちになれるのだ。
  また、大きなボディにもかかわらずエンジン排気量は2.4リッターと小さく、その割りに軽快なのはA6より約300kgも軽いから。燃費の面などを考えると効率的で知的な感じを受ける。5気筒エンジンの回り方も個性的だ。ターボでなくともこれで十分と思えるのは、ほかにV8などの選択肢がないという、心理的な満足度からくるところも大きいはずだ。
  そしてV70はやはり、定番を自称するドイツ製ワゴンたちの目標にもなった経緯からいっても、荷室最優先の考え方からくるスタイリングなどを見ても、まったくもってワゴンの本質を突いている。今日のワゴンの流行を造り上げた老舗の貫祿は、デビューから6年が経っても色褪せていない。
  ありもののエンジンとボディをいろいろ組み合わせて、様々なバリエーションを創り出すのはいまや容易。しかし、やり方を間違えると、そのクルマの個性を潰しかねない。あまりラインナップを増殖させるのも考えものなのだ。よってこのV70のように、特装の本革シートなどがあるだけで十分高いクルマを買ったような気分になり、ベーシックな仕様の454万円+αでも我慢している感覚はまったくないから不思議なものだ。
  こうした傾向はアウディのみならず、ほかのドイツ車にも見られる。せっかく高額を支払って手に入れても、それに見合う満足感が得られなければ何にもならない。こうした見方も一興だし、一度ドイツ車以外の選択肢を検討してみてはいかがだろうか。
 

VOLVO V70

切り立ったバックドアは荷室を最優先した証
V70のデビューは2000年だが、完全にフラットになるフロアやラゲッジネットの使い勝手など、機能性の高さはいまだ第一級。試乗車はもっともベーシックな2.4リッター直5ユニット搭載の「V70」で、インテリアに最高級レザーをあしらう「インスクリプション・プログラム」装着車。ほか2.5リッターライトプレッシャーターボの「V70 2.5T」やAWDモデル「V70 AWD」、2.4リッターハイプレッシャーターボの「V70 T-5」をラインナップ。

Specification
■全長×全幅×全高=4720×1815×1490mm
■ホイールベース=2755mm ■車両重量=1560kg
■エンジン種類/排気量=直5DOHC20V/2434cc
■最高出力=170ps(125kW)/6000rpm
■最大トルク=22.9kg-m(225Nm)/4500rpm
■トランスミッション=5速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク■タイヤサイズ=195/65R15
■東京標準現金価格=4,540,000円
(ボルボ・カーズ・ジャパン TEL:0120-55-8500)


AUDI A6 AVANT 3.2 FSI QUATTRO

美しいスタイリングと完全無欠の走破性が武器
これまでのアバントは「荷室はそこそこ」が定説だったが、この新型は本気。ボディサイズの拡大もあってラゲッジスペースは広大だし、左右のレールに様々なアタッチメントを装着することで、荷物を上手く固定/整理することもできる。ただしちょっと手間はかかるが……。インテリアのレザーシートはオプション。ラインナップは試乗車の「3.2 FSI クワトロ」のほか、2.4リッターV6の「2.4」と4.2リッターV8の「4.2クワトロ」の全3種類。

Specification
■全長×全幅×全高=4935×1855×1475mm
■ホイールベース=2845mm ■車両重量=1850kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V/3122cc
■最高出力=255ps(188kW)/6500rpm
■最大トルク=33.6kg-m(330Nm)/3250rpm
■トランスミッション=6速AT
■サスペンション(F:R)=4リンク:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク■タイヤサイズ=225/50R17
■東京標準現金価格=7,260,000円
■問い合わせ=アウディジャパン TEL:0120-598-106)


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