

#3 Sports

シボレー・コルベット
CHEVROLET CORVETTE

ポルシェ・ボクスター
PORSCHE BOXSTER

それは「速さ」に対するアプローチの違い。でも――

きっとヤミツキになる。

自動車メーカーの国際的な再編を受け、クルマの没個性化が囁かれて久しい。しかし趣味性の高いスポーツカーに、そんな揶揄は当てはまらない。むしろそれに抗うかのように、オリジナリティを追求しているようにすら見えるのだ。V8 OHVエンジンを頑なに守り続けるコルベットなどは、まさにその代表といえる。

リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|郡 大二郎|D.Kori

 
コーナー間の直線はまさにワープ感覚!

600〜700万円でスポーツカーを買おうと思ったら、まずはポルシェ・ボクスターあたりに目が行くのではないだろうか。ボクスターは911と一線を画すミッドシップスポーツだが、同じ水平対向エンジンをリアセクションに搭載する点や共有部品の多さなどから、ドライブフィールには911のテイストも濃い。スポーツカー選びとしては、まさに王道の選択……ということは、王道をハズしたチョイスもあるということ。そこで俎上に上げたいのが、アメリカを代表するスポーツカー、シボレー・コルベットだ。
そのテイストは……、これがかなり異なる。ゆえに好き嫌いは分かれるだろうが、いったん好きになればまず間違いなくハマる。ひところのアメリカンスポーツといえば直線番長が定説だったが、いまやそんな図式はまったく成り立たない。そして面白さという点ではボクスターとまったく互角だと、太鼓判が押せるほどなのだ。
リアエンジンのデメリットを熟知しているポルシェは、とくにリアの路面追従性を高めることでボクスターに抜群のスタビリティを与えている。タイトなワインディングを思い切り攻め込んでも容易にリアがブレークすることはないし、万が一ブレークしても伸び側のストロークをしっかり残したサスが、滑り出しのスピードをほどよく抑え込んでくれる。その挙動は、思いのほか穏やかだ。
ステアリングフィールは「シャープ」「正確」というより「リニアリティがある」と言うのが最も近い。フロントタイヤが路面をグリップしている様子が、ステアリングを通してはっきり伝わってくるのだ。911の持つリアルスポーツの操縦性、そんな正統派といえるハンドリングを持っている。
一方、コルベットの操縦性にも見所が多い。「あいまいで大味」という印象はすでに先代C5の時代に払拭しているが、それがさらに進化して、狙ったラインをピタリとトレースできる正確さがある。しかも前後重量バランスが良くなっているので、旋回バランスも驚くほどいい。リニアニティやダイレクト感ではポルシェにまだ及ばないが、おそらくこのあたりを許容できるか、できないかが選択の分かれ目になるだろう。
そして、もし許容できるならここからがコルベットの本領だ。6リッターという圧倒的な排気量とそこからひねり出される404ps/55.6kg-mのアウトプットの迫力は、まったくタダ事ではない。
精緻を極めたハイチューンエンジンのそれとは異質な、吼え猛るようなV8サウンドとともに文字どおり豪快な加速を見せつけてくれる。コーナーからコーナーを結ぶストレートは、ほとんどワープ感覚だ。コルベットで走ったあとボクスターに乗り換えると、「このストレート、こんなに長かったっけ?」と思ってしまうほどだ。
さらに、強大なパワーとトルクを生かしてのドリフトもこのクルマの得意技。アクセルをドンと踏み込めば、そこからクルマが瞬時に横を向く。実は感性マスがボディ中央に集中しているからドリフトコントロールはやさしくはないが、ある程度の腕さえあればそんな走り方を楽しむこともできるのだ。もちろん、ESCは装備されているので普段はオンにしておくことをお勧めするが……。
操縦性の精緻さを楽しむボクスターに対し、典型的なハイパワーFRスポーツの豪快さを楽しめるのがコルベットというクルマ。その刺激は、一度味わうときっと病みつきになってしまうだろう。
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踏んで良し曲がって良しのアメリカンピュアスポーツ
'04年に登場した最新型は6世代目。よってCORVETTEの「C」と「6」とを組み合わせ、C6と呼ばれることも多い。FRPボディに大排気量V8 OHVエンジンなど、綿々と受け継がれるアイデンティティと、現代的な高性能を両立させているところが興味深い。ラインナップは、試乗車のクーペ4速AT('06年モデルは6速AT)のほか、クーペ6速MT、コンバーチブルが用意されている。

Specification
■全長×全幅×全高=4455×1860×1250mm
■ホイールベース=2685mm ■車両重量=1500kg
■エンジン種類/排気量=V8OHV16V/5967cc
■最高出力=404ps(297kW)/6000rpm
■最大トルク=55.6kg-m(546Nm)/4400rpm
■トランスミッション=4AT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/40ZR18:285/35ZR19
■東京標準現金価格=7,150,000円
(GMアジア・パシフィック・ジャパン TEL:0120-40-4984)


ハンドリングエンジンともに精緻を極めた走行感覚を持つ
987というコードネームを持つ新型ボクスターは、先代ボクスター(986)のコンポーネンツを徹底的に煮詰めることで誕生した。電子制御の減衰力可変ダンパーPASMや可変バルブタイミング機構のバリオカムが加わったフラット6エンジンなど、技術的な見所も多い。ラインナップは2.7リッターエンジンを搭載するボクスターのほか、3.2リッターエンジンを搭載するボクスターSも用意される。

Specification
■全長×全幅×全高=4330×1800×1295mm
■ホイールベース=2415mm ■車両重量=1360kg
■エンジン種類/排気量=水平対向6DOHC24V/2687cc
■最高出力=240ps(176kW)/6400rpm
■最大トルク=27.6kg-m(270Nm)/4700-6000rpm
■トランスミッション=5MT■サスペンション(F:R)=ストラット:ストラット
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=205/55ZR17:235/50ZR17
■東京標準現金価格=5,690,000円
(ポルシェジャパン TEL:0120-846-911)
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