ベイビー・バレット、現る。

フォード・フィエスタST
FORD FIESTA ST

新生Ford Team RSが放つ
英国生まれの弾丸ホットハッチ


フォードのSTシリーズをプロデュースしていたSVEと、コンペティションマシンの開発を手がけていたフォード・レーシングが統合し、新たにフォード・チームRSが発足、その第一弾となるのがこのフィエスタSTだ。小さなボディに2リッターDOHCユニットをぶち込んだとあらば、やはり刺激満載の走りを期待してしまうが、果たして――。

リポート|島下泰久|Y.Shimashita  フォト|郡 大二郎|D.Kori

フラットなトルク特性により出足は抜群

 そもそもハンドリングには定評のある欧州フォードの各モデルをベースに、その持てる資質をさらに引き上げたスポーティグレードとしてラインナップされるSTモデル。'03年デビューのフォーカスST170、今年導入のモンデオST220に続くシリーズ第3弾が、このフィエスタSTである。おやっと思うのは、車名から出力を表す数字が取れたことだが、従来STモデルを開発していたフォードの特殊車両開発部門“SVE”とフォードレーシングを統合したフォード・チームRSから送り出される以後のSTモデルのネーミングは、すべてこのフォーマットに基づくことになる。
  開発チームが真っ先に手をつけたのはエンジンだ。搭載されるのは排気量2リッターの直列4気筒DOHCユニット。新型フォーカスにも使われているこのエンジンは従来よりコンパクトで、それゆえフィエスタのエンジンベイに収めることができたのだという。
  可変吸気システムに、排気抵抗を低減したエキゾーストマニフォールドや触媒の採用などによって、最高出力は150ps、最大トルクは19.4kg-mを発生させる。数字自体、自然吸気2リッターとしては平凡なものだが、2200〜6150rpmの広範囲に渡って最大トルクの90%を発生するフラットなトルク特性のおかげで出足は抜群。軽量フライホイールがもたらすキレの良いレスポンスも手伝って、右足に軽く力を込めるだけで即座にトルクが立ち上がり、グイグイと車速を上げていく。
  ギア比の設定も絶妙だ。高めの2速でリミットの7000rpmまで回すと、速度は約100km/h。一方、5速100km/h時の回転数は3000rpmと低め。このクロスしたレシオのおかげで、シフトアップ時にも加速が途切れることはない。残念なのは、イギリス生まれのくせにペダル配置が悪く、クラッチペダルの左側にすぐにセンタートンネルが迫っていて、フットレストどころか左足の置き場すらないところだが、ストロークを切り詰めたギアシフト自体のタッチは悪くない。
  確かに単体で見て、さしたる色気があるエンジンだとは言えないが、タコメーターの針を常に高回転域に釘付けにできるサーキットならともかく、ワインディングではこうした低速域からフラットな特性のほうが断然速く、一体感も高いはずだ。フィエスタSTの軸足はあくまでストリートにあるということが、ここには端的に示されていると言えるだろう。
 
エンジンは新しいフォーカスも採用する2リッターDOHCを搭載。吸排気系の変更、軽量フライホイールの採用など専用チューンを施した結果、150ps/6000rpm、19.4kg-m/4500rpmを発揮。
ノーマルの14インチから一気に2インチアップの16インチホイールを採用。他にも大型リアルーフスポイラーを備える等、ディテールで高性能モデルであることを主張する。タイヤは専用チューンのピレリPゼロ・ネロを装着。
STは3ドアボディのみの設定(ノーマルは5ドア)。なお、専用デカールを施し、205/40R17タイヤを履くフィエスタSTコンペティション(2,940,000円)もカタログモデルとして用意。
サスペンション回りの剛性をアップ、フロントキャンバー角を通常よりネガティブ側にセットすることでグリップを向上。ブレーキはキャリパーを大型化、専用パッドを装着する。



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