メルセデス・ベンツCLS350
MERCEDES-BENZ CLS350

ビー・エム・ダブリュー630i
BMW 630i

ラグジュアリー“クーペ”の両雄は
古都・金沢にじんわり馴染む。


1000kmツーリング・パート4は最新のジャーマンラグジャリークーペ、CLS350と630iがマッチアップする。
2ドアと4ドア。成り立ち、キャラクターはまったく異なるが、ターゲット層や価格を考えればガッチリ噛み合うこの2台。
果たしてロングドライブから見えてくるその魅力とは――。
目指すは4月上旬、まだ肌寒さも残る北陸の古都・金沢だ。


リポート|島下泰久|Y.Shimashita  フォト|宮門秀行|H.Miyakado

颯爽と力強い630iのエフェクターサウンド

 朝6時過ぎの、まだ空いている関越道を走る2台のドイツ製スペシャルティクーペ。目指す先は北陸の古都、金沢である。大した目的があるわけではない。しいて言えば、古都らしい風情の中でおいしいお茶でもいただけたらというくらいのものだが、それでもなぜか心踊るのは、ステアリングを握っているのが単なる実用車ではなく、艶やかなフォルムをまとった、何ともエモーショナルなクーペだからだろうか。
  今回、連れ立ったその2台とは、メルセデス・ベンツCLS350と、BMW630iである。
  何かと話題のCLSは、Eクラスのプラットフォームをベースとする4ドアクーペ。そのボディはEクラスより95mm長く、55mm広く、そして40mm低い。この日の供としたのはCLS350。エンジンは、SLKで初お目見えした4バルブDOHCヘッドを持つ新世代のV型6気筒で、サスペンションは通常のコイルスプリング+ダンパーで構成される。
  一方の630iは、もはや説明要らずのラグジャリークーペ、6シリーズに、マグネシウム合金製のシリンダーブロックとヘッドカバーを用いた、最新のバルブトロニック付き直列6気筒3リッターユニットを積む新グレードだ。
  出発地の東京からは、まず630iに乗り込んで北を目指した。明るいボディカラーとコーディネイトされたインテリアは、レザーとクロスのコンビネーションとなる内装などによって、これまで抱いていた6シリーズのイメージよりもカジュアルな雰囲気で仕立てられている。オプション装着されていた大面積のガラスサンルーフも、それを後押しする要素。これなら夜の帳だけでなく、陽の光の下もよく似合う。
  しかし、何よりも630iの颯爽とした佇まいに貢献しているのは、その新しいエンジンだろう。これが何とも歯切れの良いフィーリングなのだ。まず印象的なのは、その音。それほど回さない領域では比較的低めの、しかし籠もりとは無縁の力強い排気音が耳に届く。さらに、そこからアクセルペダルを踏み込んでいくと次第にトーンが高い方へと変わっていき、6000rpmを超えて7000rpmという高めのレッドゾーンに至る頃には、ギューンというキメの細かな金属質の、突き抜けるようなサウンドが奏でられるのだ。従来のストレート6が、エレキギターで言うとエフェクターなしのクリーントーンだったとするなら、新エンジンはそれにオーバードライブをかけたような太さと迫力がある。あの繊細な味も良かったが、この力強さも病みつきになりそうだ。特に6シリーズには、ぴったり合っているように感じる。
  その心地よい息吹に身を委ねていたら、あっという間に関越トンネルの手前まで来ていた。ここで気分を変えるために、いよいよCLSへと乗り換える。
  こちらのインテリアは、一転してとても豪華。試乗車のシートはオプションのレザー張り。インスツルメンツパネルは広い範囲をシルクマット仕上げのウッドパネルが覆い、メルセデスらしからぬ雰囲気だ。最初はこのシルクマット仕上げのパネル、どうにも高級感を欠くように思えたのだが、目が慣れたのか、この日は悪くないかなと感じた。デザインは変わったが、使い勝手はいつものメルセデス流。大きく傾斜したフロントウインドーとピラーには圧迫感を覚えるものの、明るいベージュの内装なら窮屈というほどでもない。
  ヘッドライトをオートにしてあったので、トンネルに入った途端、自発光式のメーターが緩やかに減光していった。この、あえて余韻を残す演出はさすが。1台のクルマに惚れ込む理由なんて、案外こんなところなのではないだろうか。そして長い長いトンネルを抜けると、新潟県側は雨だった。
 

BMW 630i

エンジンブロックにマグネシウムとアルミニウムの複合素材をふんだんに使用して軽量化を図ったBMWの新世代直6ユニット、N52型を搭載して日本へ最初に上陸したのがこの630i。258ps/30.6kg-mというパワー&トルクで、大柄な6シリーズを力強く、かつエレガントに走らせる。圧倒的な取り回しの良さを実現するアクティブ・ステアリングも、デビュー当初より熟成が進んだ。車両重量はCLSより100kg以上軽く、燃費では圧勝した。

Specification
■全長×全幅×全高=4830×1855×1375mm
■ホイールベース=2780mm ■車両重量=1610kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V/2996cc
■最高出力=258ps(190 kW)/6600rpm
■最大トルク=30.6kg-m(300 Nm)/2500-4000rpm
■トランスミッション=6AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:インテグラルアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/45R18
■東京標準現金価格(税込)=8,520,000円
■問い合わせ先=BMWジャパン
出発は4月初頭の早朝5時。島下氏の事務所近く、吉祥寺の井の頭通り沿いをスタート&ゴール地点に定める。関越道の入口までは渋滞を避けるため裏道を行き、三芳SAで最初の給油。そこから一気に北上、長岡JCTから北陸自動車道へと合流した。
夕闇迫る古都・金沢。兼六園側から金沢城公園を望む。
行きの北陸道は雨。交通量は非常に少なく、金沢目指してひたすら走る。
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