ポルシェ・ボクスターS
PORSCHE BOXSTER S

メルセデス・ベンツSLK350
MERCEDES-BENZ SLK350

四国の“秘道”を
ひとりスポーツカーで行く悦び。


スポーツカーを走らせる楽しみとは何か。
それは自らをはるかに超える力を、意のままに操る快感。
これに最高のステージが加われば、もう文句はないはずだ。
ならば、四国はまさにその宝庫といえるだろう。
ここでは最新のジャーマンスポーツ2台を連ね、
大自然の中の、「秘湯」ならぬ「秘道」を行った。


リポート|笹目二朗|J.Sasame  フォト|宮門秀行|H.Miyakado

ポルシェの集大成はシートと乗り心地にあり

 この季節、夕暮れはゆっくりと時が流れて行く。まさに春宵一刻値千金。一日の仕事を終えた人々がほっと一息つく頃、軽い春風を受けながら川崎の浮島へ向かう。
  少し涼しくなってきたので、ボクスターの幌を畳む。50km/hまでなら動いていても操作できるから便利だ。浮島からはフェリーに乗る。そしてのんびり一泊すれば、翌日の午後には土佐の高知に着く。初ガツオのたたきに舌鼓を打つのももうすぐだ。

  ポルシェ・ボクスターとメルセデス・ベンツSLKは、3月号のスポーツカー比較テストで好印象を受けたクルマ。この2台のスポーツカーを連ねて桜咲く四国の道を流すことは、慌ただしい日常を離れ、一時ではあってものんびりした心の洗濯になるだろう。
  高知港からの道は舗装も新しく、薄曇りのこの日の外気温は19度と、ルーフを開けて走る気持ち良さを存分に味わえた。前を行くSLKが交差点で止まり、ルーフを開放するのを見てこちらも従う。トップの開閉にかかる時間はSLKが22秒、ボクスターは12秒だから、先行を許しても余裕で間に合う。両車とも素早い動作で準備は完了。やはり電動は便利だ。ただしメルセデスとは異なり、ボクスターは最初と最後のロックを手動で行なう必要がある。
  新しいボクスターの内装は、メーター類に特別凝った試みもなく、むしろあっけないほどスッキリしている。だがシートを一番低くセットし、ドアを開ければそのまま路面を触ることができるほどで、この低位置からの眺めはやはりスポーツカーそのものである。
  試乗車のボクスターSにはオプションのPASM、すなわち減衰力切り替え式ダンパーが装着されていた。しかしスポーツモードはほとんどサーキット用といえるほどハードで、数回の試みの後はすべてノーマルで通した。そしてこのノーマルモードの快適な乗り心地こそがボクスターをスポーツカーたらしめているものであり、スポーツカーメーカーとしての歴史の集大成なのだと思う。
  スポーツカーは、レーシングカーとは異なる。いかに高性能車であっても、ロードカーにはロードカーとしての乗り心地、長時間乗っていても疲れない快適性が求められるのだ。それはもちろん、フンワリと柔らかければいいというものではない。このあたりの設定がポルシェは絶妙なのだ。これはシートについてもいえること。過去ポルシェのシートがすべて良かったわけではなく、中には横Gに耐えられない代物もあった。だがそうした経験を経たからこそ、現在の境地に到達したのだ。
  高知港にある料理屋でカツオを食し(残念ながら初ガツオはまだ美味くないとのこと)、市内を巡っていたら予想外に時間をとられてしまった。今日は高知に宿を取り、明日一気に東京を目指すことにする。約20時間で1000kmを走ることになるが、それはそれでいつもとは違う2台の側面を見ることができるかもしれない。
 
新緑の中を行くボクスターS。スタイリングはキープコンセプトながら、細部に張りを持たせたことで先代よりシャープな印象。トップは50km/h以下なら走行中でも開閉可能。

PORSCHE BOXSTER S

SLK同様、2004年に新型へとスイッチしたボクスター。基本構成は先代同様ながら、いちだんとソリッド感の増した走りは鮮烈。ラインナップは2.7リッター水平対向6気筒の「ボクスター」と3.2リッターのハイパワー仕様「ボクスターS」で、このうち試乗車は後者。どちらのパワーユニットも期待に違わぬ緻密なフィーリングを持つ。試乗車は可変ダンパー「PASM」を装備。乗り心地はSLKと同等の快適さだった。レザーシートはオプション。

Specification
■全長×全幅×全高=4330×1800×1295mm
■ホイールベース=2415mm ■車両重量=1410kg
■エンジン種類/排気量=水平対向6DOHC24V/3179cc
■最高出力=280ps(206kW)/6200rpm
■最大トルク=32.7kg-m(320Nm)/4700〜6000rpm
■トランスミッション=5速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:ストラット
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/40ZR18:265/40ZR18
■東京標準現金価格=7,280,000円
■問い合わせ先=ポルシェジャパン
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