
 ラテンの熱い走りを堪能する

RENAULTルノー・ルーテシア・ルノー・スポール2.0
Lutecia RENAULT Sport 2.0

PEUGEOT プジョー206RC
206RC

CITROEN シトロエンC2 1.6VTR
C2 1.6VTR

魅惑のフランス系スモール・ホットを
テイスティング

「ホットハッチ」と聞くと、かつてその代名詞的存在だったゴルフGTIなどを思い浮かべる人もいるだろう。しかし、いまやホットハッチはラテン系が本場。なかでもフランス産のスモール・ホットがその主役を務めている。ここでは、そんなフレンチ・ホットを代表する3台を乗り比べてみる。

リポート|島下泰久|Y.Shimashita フォト|赤松 孝|T.Akamatsu

 | フランス産ホットハッチ、その魅力はフットワーク

日本では死語となりつつある感の漂うホットハッチだが、欧州車の世界では、逆に最近活気が漲っている。しかし、ここで挙げるのは、かつてその代表格だったゴルフGTIやそのライバルたちではない。僕の思うホットハッチとは、実際には大して速くなくても、その分いつでもどこでも全開にできて、ガソリンの残りだけ気にしてガンガン走れて、さらに最低限の実用性と快適性を備えたクルマだ。そう考えると、勝手な言い種かもしれないが、もはやゴルフGTIクラスでは高性能に過ぎる。アウトバーンの左車線でもまだ足りないクルマを、一体どこで心おきなく全開にできるというのだろう。
そんな観点からにわかに浮かび上がってくるのが、今回取り上げるプジョー206RC、ルノー・ルーテシアRS2.0、そしてシトロエンC2 1.6VTRの、フランス産ハッチバックたちである。アルプスを戴き、ラリーも盛んな彼の国の生まれらしく、いずれも直線の速さよりコーナリングで勝負。その一方、ボディサイズも排気量も若干異なり、また性格も各々違ったこの3台。そこに共通の、あるいは別個に持つ魅力とは一体何なのだろうか――。
純粋な動力性能で、筆頭に挙げられるのは206RCだ。F1で名が知れたメカクローム社が手を入れたその2リッターユニットは、最高出力177ps。同じ排気量のまま、ベースになったS16用の実に40ps増しの出力を絞り出している。それでいて、特性はピーキーどころかその逆。低速域から7300rpmのリミットまで全域で分厚いトルクを発生する逞しい特性なのだ。おまけにギア比もピッタリだから、まさにどこから踏んでも、即座に加速体勢に入れる。ツイスティなワインディングで、これは大きな武器となる。
でも刺激性で言えば、ルーテシアRSの2リッターユニットの方が上だ。こちらの最高出力は169ps。実用トルクも十分にあるが、206RCと較べれば、より回転でパワーを稼ぐ傾向が強い。右手と左足を忙しく動かして常に高回転を保ってやれば、速いし何より楽しい。100rpmごとに表情を変えるエンジンサウンドも、そんな心地良さを倍加させる要素だ。
1.6リッターで110psのC2は、とにかく踏まなきゃ前に進んでくれない。けれどパドルシフトを駆使して、ツキが良くトップエンドまで弾けるようなエンジンを遠慮なくブン回すのは、ストレスも全部吹っ飛ぶ爽快さである。
しかし、この3車にとって動力性能は大した問題ではない。肝心なのはフットワークだ。ここで一番刺激的なのは206RC。ステアリング操作に対する反応はきわめてダイレクトで、旋回速度も思わず顔がひきつるほど高い。ただし、そのぶん限界での挙動は相当にピーキー。特にウェット路面では、ESPは切らない方が賢明だ。
ルーテシアRSの乗り味は、よりフランス車らしさが濃い。しなやかにストロークするサスペンションがどんな状況でも路面に吸いつき挙動変化は穏やか。それでいて絶対的な速さもある。挙動自体はいかにもFFらしくタックインも効くから、誰もが楽しさと速さを引き出しやすいのである。
これら2台に見劣りしないC2の走りにも舌を巻いた。206より一世代新しいシャシーはショートホイールベースで背も高いのに、旋回速度ではヒケを取らない。リアの接地性も高く、臆せずコーナーに飛び込んでいけるのだ。だがブレーキは減点。効き自体に不満はないが、ブレーキアシストの反応が過敏で、ちょっと強めに踏んだだけで制動力が急激にほぼ100%立ち上がり、リズムを作りにくい。16インチタイヤも、少々ヤリ過ぎ。突き上げ感は、206RCよりもキツいほどだ。
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刺激的な“ロケット・ハッチ”
206の3ドアをベースに、高性能化が図られたホットモデルがRC。エンジンは、206シリーズのS16系に搭載するユニットを基本に可変バルタイなどを搭載。177ps/7000rpm&20.6kg-m/4750rpmを発揮する2リッター直4DOHC16Vで、これに5速MTを組みわせる。ちなみに、チューニングを手掛けたのはメカクローム社。RCのロゴをあしらったバケット形状のフロントシート、アルミ素材を用いたシフトノブ&ABCペダルなど、インテリアの雰囲気もスポーティに仕立てられる。 |
| −採点表− |
エンジン★★★★★ |
乗り心地★★★ |
| ハンドリング★★★★ |
ワクワク度★★★ |
ラテン濃度★★ |

Specification
■全長×全幅×全高=3835×1675×1440mm■ホイールベース=2440mm■車両重量=1110kg■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V/1997cc■最高出力=177ps(130kW)/7000rpm■最大トルク=20.6kg-m(202Nm)/4750rpm■トランスミッション=5MT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トレーリングアーム■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク■タイヤサイズ=205/40R17■車両本体価格=3,087,000円
■問い合わせ先
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最新技術を詰め込んだ
アバンギャルド
C3にも採用された、PSAグループの最新プラットフォームを使って仕立てられたスモール・ハッチ。位置付けは、サクソの後継だ。日本には1.4VTRと1.6VTRが導入されているが、今回の試乗車は後者で、110ps/5800rpm&15.3kg-m/4000rpmを発揮する1.6リッター直4DOHC16Vを搭載。これにセンソドライブと呼ばれる5速の2ペダルMTを組み合わせる。ただし、VTRはホットというよりはスポーティバージョンで、ヨーロッパにはVTSと呼ばれるホットバージョンも設定される。 |
| −採点表− |
エンジン★★★★ |
乗り心地★★ |
| ハンドリング★★★★★ |
ワクワク度★★★★ |
ラテン濃度★★★★ |

Specification
■全長×全幅×全高=3670×1660×1460mm■ホイールベース=2315mm■車両重量=1080kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V/1587cc■最高出力=110ps(80kW)/5750rpm■最大トルク=15.3kg-m(147Nm)/4000rpm
■トランスミッション=5速センソドライブ■サスペンション(F:R)=ストラット:カップルドビーム■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=195/45R16■東京標準現金価格=2,150,000円
■問い合わせ先 |