オープンが語るラテンのココロ

RENAULTルノー・メガーヌ・グラスルーフ・カブリオレ
MEGANE GLASS ROOF CABRIOLET

PEUGEOT プジョー307CC
307CC

最新フレンチ・オープンの幸せ度をチェックする

メガーヌ・グラスルーフ・カブリオレのデビューは大いに喜ばしい。従来は307CCのみだったフランスのCセグメント4座オープンの選択肢が広がったことを意味するからだ。しかも、両車ともある意味でラテン車に似つかわしくない(?)メタルトップを採用する。ならばそれで、私たちはどれだけ幸せになれるのだろうか?

リポート|渡辺敏史|T.Watanabe  フォト|郡 大二郎|D.Kori

欧州人にとってオープンは演出でなく必然

 たとえば渋谷くんだりに行くと、センター街の地べたに壊れた人形のようにへたり込んでいる若者というのをよく見掛ける。もう少し若ければ僕はあっち側の生き物だったのかもしれないなあと思いつつその場をぼんやりとやり過ごすわけだが、ふと考えると、それと似たような性質の光景というのは春夏のイギリスやドイツでもよく目にするわけだ。
  あんたら、その路肩の芝生みたいなところで服脱いで何やってるのよ? と。
  多分、渋谷の若者は地べたにそれほどの執着はないだろうけど、ヨーロッパの人々が抱いている日光浴に対する執着というのはちょっと恐ろしいものがある。たとえばフランスではバカンスの間、行政がセーヌ河沿いに砂を敷いて市民の憩いを賄っているわけだが、あれとて水着を着て寝転がることが前提の発想だ。官からして太陽への想いは並ならぬものがある。
  ヨーロッパの自動車メーカーが昔からオープンモデルに対して猛烈な意欲で臨むのは、湿度や日照時間という気象的条件が大きく関わっている。僕自身も強くそう思うのだが、たとえば日本の場合、オープンカーにしてよかったと心から思えるシーズンは晩秋から冬にかけてくらいなものだ。花粉→梅雨→亜熱帯同然という春夏の気候と排気ガスのコンビネーションは、どう考えても気持ちよさそうなもんじゃあない。
  その点、あちらのお天気はうまいこと出来ていて、淡々とした湿り気と気温のおかげで隙あらば解放という気分にもさせてくれる。少なくとも賞味期間は日本の比ではない。と、そういう事情がヨーロッパのオープンカー市場にはあるわけだ。
  だからこそ彼らは、本来なら実用車としてガシガシ使い倒されるCセグメントのクルマにも周到にしつらえられたオープンカーを用意する。少しでも長い時間屋根を開け太陽を浴びて走りたいし、実際にそれが快適な環境があるのなら、用途が縛られるスポーツカーよりむしろ毎日のアシにこそそういう機能があった方がいい。ヨーロッパの人々にとってそれは生活の演出ではなく必然なのだろう。
  プジョーとルノーの2台に乗ると、彼らにとってそれが、もちろん金額は張るにせよ、生活の必然であることをつくづく思わされる。高速道路を130km/h超えで走るのも、路上を夜な夜な駐車場に使うのも彼らの慣習だからして、メタルトップの遮蔽能力はそりゃあ待望だったに違いない。僕らのような、たまにたしなむ程度という者に「開放感足んないよ」とか「粋じゃないねえ」などと言われたくはないだろう。
  そう、オープンカーの開放感は、Aピラーの角度や長さ太さ、それに伴うダッシュボードの面積やスカットル、ベルトライン等の高さによって大きく印象が変わってくるのである。
  この点、プジョーとルノーの2台はあまり褒められたものではない。図太いAピラーは激しく寝かされ平素の視界も容赦なく遮るし、分厚く二つ折りされたメタルトップを収めるために大きく膨らんだ後部と調子を合わせるように高く構えられたベルトラインは、肘乗せを拒否しているかのようだ。骨組次第で幾重にも畳める幌屋根の自由度に比べると、メタルトップのデザインや開放感に対する制約は、個人的には今のところ大きすぎるような気がする。
 
RENAULT MEGANE GLASS ROOF CABRIOLET
  オープンモデルとしてのフォルムを整えるため、ホイールベースはハッチバックよりも105mm縮められている。その甲斐あって、斜め後方からの美しさではメガーヌGCに軍配。
  タイヤはコンチネンタルのコンチスポーツコンタクト2で、サイズは205/50R17。このクラスのオープンとしては若干オーバーサイズの感アリで、ややルノーらしからぬ乗り心地を示す。
  エンジンはVVT(可変バルブタイミング機構)搭載の2リッター直4DOHC。133ps/19.5kg-mのアウトプットは307CCとほぼ互角ながら、低回転域の力強さはメガーヌGCがやや上回る。
PEUGEOT 307CC
  遮音性や剛性の面でソフトトップよりも格段に有利なメタルトップは、そのフォルムの好みは別として、クローズド時に流麗なクーペスタイルを作り出すというアドバンテージも。
  ホイールはスポーティグレードのS16のみが17インチで、他は16インチとなる(写真/タイヤサイズは205/55 R16)。プジョー的振る舞いでいえば16インチがよりそれらしい。
  直4DOHCの2リッターは、137ps/19.4kg-mを発生。その実力は約1500kgという車重に対して可もなし不可もなし、といったろころ。なお、S16は177ps/20.6kg-mの2リッターを搭載する。



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