ピニンファリーナとベルトーネが
魅せるラテン流クーペの味わい


ALFA ROMEOアルファ・ロメオ アルファGT 3.2V6 24V
ALFA GT 3.2V6 24V

PEUGEOT プジョー406クーペ
406 COUPE

流麗なスタイルの下に秘めるのは……?

ともにイタリアン・カロッツェリアがそのデザインを手掛けた魅惑的なクーペモデル、プジョー406クーペとアルファGT。
ここではデザイン・コンシャスというラテン車の魅力のひとつをストレートに表現する2台のクーペを“試着”してみる。


リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara  フォト|宮門秀行|H.Miyakado

ラテンなクーペは“着こなし”で選ぶ

 デザインに価値を持たせることについて、ラテンなクルマは本当に巧みだと思う。クルマだけではなく、ファッションにしてもそうだ。イギリス的な伝統やドイツ的な機能といった縛りがないからかもしれない。デザインをまさにデザインとして、ストレートな表現で見せてくれる。
  その分だけ、ラテンなファッションは人を選ぶ傾向が強い。たとえば、ボクにはイタリアのブランドが着こなせそうにない。正確にいえば、体格的に着ることができない。でも、ドイツのブランドであれば、ボクでも着こなせるだけのサイズが揃っている。つまり、機能が充実しているのだ。それはそれで選ぶ価値を見出せる。だが、イタリアのブランドに対する憧れはある。少し勇気が要る織り柄の生地で仕立てられたスーツを着こなすことができれば、日常さえ変わるような気がする。
  クルマはどうだろうか。ピニンファリーナが手がけたプジョー406クーペは、とてもスマートに見せるスーツを着こなすようなものではないだろうか。だから、運転もスマートに決めたい。クルマも、そのつもりで走らせれば期待に応えてくれる。3リッターのV型6気筒エンジンは、アクセル操作に対する応答性が穏やかすぎず、かといって鋭すぎない。高回転域に至るまで吹け上がりはスムーズであり、荒々しさを感じることなく十分な速さが得られる。
  ステアリング操作に対する応答性も、エンジンと同様だ。乗り心地もしなやかであり、飛ばし気味にコーナーを駆け抜けても必要以上にドライバーを刺激しない。しかも、406クーペは嬉しいことに乗る人の体格を問わない。実はドイツ的な機能も備えていて、大人4人が乗っても窮屈に感じない室内スペースを得ている。トランクスペースでさえ広大だ。
  ただし、ドライバーは運転だけではなくクルマと関わるときの身のこなしもスマートにしたい。その方が、406クーペには似合う。素晴らしい仕立てのスーツに袖を通したときのような満足感を確かめることもできるはずだ。
  アルファGTは、ボクが憧れるスーツのようなクルマだ。ベルトーネがデザインに関わるため、周囲の注目を集める力がある。どんな人が運転しているのかと、室内を覗き込まれる可能性もありそうだ。そうされても“なるほど似合いだ”と周囲を納得させるような雰囲気を身に付けられたなら、間違いなく日常は変わるはずだ。
  そういう人は、3.2V6でもさり気なく乗りこなしてしまうように思える。人並みな運転しかできない人がラフなアクセル操作をしようものなら、強烈なトルクに翻弄されてしまうだろう。ステアリングの手応えもトルクの影響を受け、路面によってはキックバックを伴うので油断は禁物だ。
  逆にいえば、だからこそアルファGTは乗りこなしがいがある。強烈なトルクに翻弄されるということは、それだけクルマからの情報も得やすいわけだ。自ずと、どうアクセルを操作すれば強烈なトルクを生かせるかも分かるようになる。ステアリング操作にしても同様だ。そのうちに、応答性の鋭さを刺激として楽しむことができるようになり、身構えることもなくなってくるのかもしれない。身構えることがなくなれば、周囲の注目を集めても意識が過剰にならず、そのときこそアルファGTが似合う人になれるのだろう。
  身構えることがなくなる過程を省きたければ、2.0JTSを選べばいい。刺激が適度なレベルに抑えられているので、乗った瞬間からアルファらしいスポーティさが楽しめる。そして、少しの勇気を持てば、ラテンなクルマのデザインを十分に味わえるに違いない。体格が許せば、ボクも憧れのスーツに挑戦したいものだ。
 
ALFA ROMEO ALFA GT 3.2V6 24V

力強さと美しさを兼ね備えたクーペ
アルファ156をベースにしたクーペモデル。複雑な線と面を多用しつつ、力強く美しいそのデザインを構築したのは、フィアットX1/9やシトロエン・エグザンティアなどを手掛けたベルトーネだ。試乗車は240ps/6200rpmと29.4kg-m/4800rpmを発揮する3.2リッターのV6DOHC24Vを搭載した3.2 V6 24V。トランスミッションは6速MTとなる。このほか、2リッターのJTSユニットを搭載する2.0JTSもラインナップ。こちらにはセレスピードが用意される。

−採点表− エンジン★★★★★ 乗り心地★★★
ハンドリング★★★ ワクワク度★★★★ ラテン濃度★★★★★

Specification
■全長×全幅×全高=4495×1765×1375mm■ホイールベース=2595mm■車両重量=1430kg■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V/3179cc■最高出力=240ps(177kW)/6200rpm■最大トルク=29.4kg-m(289Nm)/4800rpm■トランスミッション=6MT■サスペンション(F:R)=Wウィッシュボーン:ストラット■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク■タイヤサイズ=225/40R18■東京標準現金価格=5,439,000円
問い合わせ先

PEUGEOT 406 COUPE

色褪せないしなやかさと存在感
デビュー8年が経過し、熟成を極めた感のある406クーペ。その流麗なデザインを手掛けたのはピニンファリーナだ。今回はフェラーリやアルファ164/GTVを手掛けるなどイタリア車と関係の深いピニンがプジョーを、フランス車とも関係の深いベルトーネがアルファを……というちょっと皮肉な対決でもある。現状、406クーペは206ps&29.0kg-mを発揮する3リッターV6DOHC24Vに4速ATを組み合わせたモデルのみがラインナップされている。

−採点表− エンジン★★★★★ 乗り心地★★★★
ハンドリング★★★ ワクワク度★★★ ラテン濃度★★★★

Specification
■全長×全幅×全高=4615×1810×1365mm ■ホイールベース=2700mm ■車両重量=1500kg■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V/2946cc ■最高出力=206ps(152kW)/6000rpm ■最大トルク=29.0kg-m(285Nm)/3750rpm■トランスミッション=4AT ■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク ■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク ■タイヤサイズ=215/55ZR16 ■東京標準現金価格=4,882,500円
問い合わせ先
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