KEYWORD TRADITION|熟成の意味。

BMW
ビー・エム・ダブリュー320i

320i

AUDI
A4 1.8Tクワトロ

A4 1.8T QUATTRO

MERCEDES-BENZ
メルセデス・ベンツC230K
C230K

それぞれの流儀に則り、到達した地点とは。

マイナーチェンジを敢行したばかりのCクラス、フェイスリフト版の導入を待つばかりのA4、そして来年早々にフルモデルチェンジを控える3シリーズ。つまりタイミング的に熟したモデルが揃うのが、このDセグメントだ。ここではそれぞれの熟成の在り方を検証する。
果たして、最も理想的な「歳のとり方」をしているのは――?。


リポート|島下泰久|Y.Shimashita  フォト|郡 大二郎|D.Kori

 


熟成の課程が最も好ましいのは3シリーズ


 本国にてフェイスリフト版が発表となったアウディA4。そしていよいよ次期モデルの公式プレスフォトが公開されたBMW3シリーズは、いずれも2005年前半には日本にも導入される予定だ。つまりいま、店頭に並んでいるのが現行型の最終モデルとなるわけで、輸入車フリークの中には「最終型こそ最良」という定説に則り、これら2モデルに食指を伸ばそうとしている人も少なくないのではないだろうか。
  加えて、先頃実施したマイナーチェンジの評価が高い、メルセデス・ベンツCクラスも興味深い存在だろう。いずれも熟成極まるDセグメントサルーン3台。あるいは登場当初とは変わっているかもしれない、その評価はいかに――。
  特に大きな仕様変更があったわけではないのに、乗ると最初の頃とは別物なのがA4である。それは特に乗り心地において顕著で、路面のうねりに敏感にボディを上下させていた昔日の面影はもはやなく、フラット感が大きく向上している。特に当初は荒っぽかったSラインの洗練ぶりは、初期のユーザーが怒り出してもおかしくないほどだ。パワートレインも、騒々しかったV6が明らかに静かになっているし、マルチトロニックはCVT特有の癖が薄まって、人間の感覚に逆らわない心地よい加速感がもたらされるようになるなど、随所に進化の跡が見られる。
  登場当初のA4は、高い見た目品質に対して、走りの質はプレミアムというには物足りなかった。しかしいまや、その走りには見た目に違わない上質感が宿っている。本来なら、このレベルからスタートして欲しかったとは思うが、とにかくA4は、ようやく完成形へ至ったといえるだろう。この味がモデルチェンジで失われてしまうとすると惜しい気がする。
  そんなA4と好対照なのが3シリーズだ。こちらは、いま改めて乗っても、初めて乗った時とそれほど印象が変わらないのである。無論、それは熟成されていないというわけではない。むしろ逆で、顔つきが変わり、バルブトロニック付きエンジンが搭載され、ステップトロニックの+/−が入れ替わり――と、実はありとあらゆる部分が変更されている。だが、それは変化を求めたものではなく、らしさに磨きをかけるためのもの。追いすがるライバル達の進化に合わせて自身をアップデートさせることで、常に鮮度をキープしてきたというわけだ。
  そこへ行くとCクラスは、ずいぶん大きく変化したという印象でである。ボディのプレスにまでは手は入れられていないものの、外観は見るからに精悍さが増しているし、インテリアもスポーティかつ上質感のあるものになった。
  そして何より、走りの熟成ぶりは驚くほど。ステアリング系やサスペンションの改良によって、コーナリングのリニアリティでは3シリーズと肩を並べるところまで来たといっていい。それも快適性を一切犠牲にせずに、である。
  このモデルチェンジが、3シリーズを大いに意識したものであることは明らかだ。だが、それがCクラスのユーザーが望む方向なのかは疑問符も付く。メルセデスは、今後もスポーティだ、ダイナミックだ、という路線を強めていくのだろうか。クルマの出来の良さとは別に、そのあたりが気になった。
  いずれにしろ、それぞれ熟成度は高く、どれを選ぼうが深く満足できそうなこれら3台。中でも印象的なのは、やはり3シリーズだ。先に書いた通り、熟成過程における変化は一番少なく見えるが、それはあえて変える必要がなかったということ。最初から完成度が高かった3シリーズは、最後まで徹頭徹尾3シリーズとして、変化ではなく深化し続けた。これこそ、真の意味で熟成と呼ぶに相応しい。


BMW 320i SPORTY DIAMOND
  まったく色褪せないハンドリング

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車内騒音はやや大きめ

 
フルモデルチェンジを間近に控え、さすがにデザイン的には古さを感じさせるようになった3シリーズだが、スポーティかつスムーズな走りの質感はいまだトップクラス。その運転の楽しさは何ものにも代え難い、と思わせるほどだ。“熟成の旨味”を手に入れたいのなら、購入候補の最右翼となるだろう。

Specification
■全長×全幅×全高=4470×1740×1400mm
■ホイールベース=2725mm  ■車両重量=1440kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V/2171cc
■最高出力=170ps(125kW)/6100rpm
■最大トルク=21.4kg-m(210Nm)/3500rpm
■トランスミッション=5AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:セントラルアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ=225/50R16  ■東京標準現金価格=4,914,000円

 
AUDI A4 1.8T QUATTRO S-LINE
  見るたびに溜息の出る高い質感

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後席足元スペースの狭さ

 
クワトロ・システムがもたらす抜群のスタビリティを求めるなら迷わずA4。初期モデルで顕著だった細かなピッチングは、年を経る毎に減少傾向。試乗車は5AT搭載の1.8Tクワトロだが、2リッターモデルが搭載するCVTの走行感覚もより自然なものへと改められている。内外装を含めた質感の高さも特筆もの。

Specification
■全長×全幅×全高=4555×1765×1430mm
■ホイールベース=2645mm  ■車両重量=1620kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1780cc
■最高出力=170ps(125kW)/5900rpm
■最大トルク=22.9kg-m(225Nm)/1950-5000rpm
■トランスミッション=5AT
■サスペンション(F:R)=4リンク:トラペゾイダル
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=235/45R17  ■東京標準現金価格=5,000,000円
MERCEDES-BENZ C230 KOMPRESSOR AVANTGARDE
  懐深く気持ちの良いフットワーク

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操作系、スイッチ類の煩雑さ

 
先頃マイナーチェンジを敢行し、劇的なまでにリファインされたCクラス。今回連れ出したC230コンプレッサー・アバンギャルドは、マイチェン後に新たにラインナップされた最も旬なCクラスだ。初期型に比べると、キャラクターを変えたのかと思えるほどに足回りのブラッシュアップが顕著である。

Specification
■全長×全幅×全高=4535×1730×1425mm
■ホイールベース=2715mm ■車両重量=1500kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+S/C/1795cc
■最高出力=191ps(141kW)/5800rpm
■最大トルク=26.5kg-m(260Nm)/3500-4000rpm
■トランスミッション=5AT
■サスペンション(F:R)=3リンク:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=205/55R16:225/50R16
■東京標準現金価格=4,998,000円
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