
 Compact&Smallコンパクト&スモール

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その選択肢は広い!

 | SMART
FORFOUR
 ハズしたフリをして実はすべてに意味がある

ブランドのアイデンティティを主張して新たにスモールカー市場に参入してきたのは、フォーフォーが初めてではないだろうか。スマートというだけで期待する何かがある。クーペやロードスターが存在していたことで、その下地は十分に整っていた。何かを提案してくれそうだ、ほかにはない世界がそこにはありそうだ……、とデビュー前から注目度が高まった。
この盛り上がりが、一見するとデザインありきのクルマに思えても、さらなる何かを期待させたのだろう。2トーンにボディを塗り分けただけでは、ここまで話題にはならなかったはずだ。フォーフォーは、実際にそうした価値を備えていた。2トーンに塗り分けられたボディにも機能があった。
インパクトのあるカラーが用いられた軽量なポリカーボネイト製ボディパネルは、車重の増加を抑える。その結果、走りの面で気持ちのいい応答性をもたらす。そして、モノトーン系のカラーが用いられた鋼板製トリディオンセーフティセルは、強靱な骨格としてボディ剛性を高める。その結果、安全性が向上するのはもちろん、快適な乗り心地を提供する。
そう聞けば、誰もが「なるほどね」と納得するはずだ。クラスの常識を超える高剛性ボディを持つことの代償となる重量増加が抑えられ、デザインのインパクトも増すだけにいかにも合理性が高い。見た目だけではなく、そうした合理性の高さを評価できる選択眼を持つという、オーナーの知的なセンスもフォーフォーなら主張できる。このあたりはリポーターの勝手な思い込みかもしれないが、フォーフォーの誕生によって、スモールカーを選択するにあたっての世界が拡がっていることは確かだ。
しかも、得られる結果だけでフォーフォーを選んでも満足度が高い。気持ちのいい応答性は、ハンドリングだけではなくアクセル操作からも確かめられる。1.5リッターエンジンは高回転域まで一気に吹け上がり、加速もかなり鋭い。それに刺激され、さらにアクセルを踏みたくなる。2ペダルで扱える6速MTの操作感も楽しめる。
スマートがもたらした世界、今後はMINIあたりが追従したらもっと楽しめる。MINIブランドの2シーターの誕生とか……。
FIAT PANDA
 新旧パンダはともにイタリアの文化である

大雑把な印象でいえば、パンダは日本車にはない個性を持っている。デザインの国、イタリアで生まれただけのことはある。ただし、いくらなんでも、とくにフロントマスクは素っ気ない。あるいは、すべてのカテゴリーに上質な雰囲気を求めようとする日本人の一般論からすると、インテリアの質感の低さだけで興味の対象外となる可能性が高い。
ところが、もっと深い意味でこだわれば、フィアットの技術力が不足していたからこうなったわけではないことが分かる。ディテールに認められる素っ気なさや質感の低さは、イタリア車の伝統に裏付けられた一種の割り切りなのだ。このカテゴリーのクルマを日常の足として徹底的に使い倒す。そうした場面で気が引けてしまうような質感の高さや過剰な装備は、かえって邪魔になる。パンダは、そのことをちゃんと理解している人のためのクルマなのだ。
それでいて、乗っている人の顔は陽気だったりする。そんな気持ちにさせるツボを押さえていることも、イタリア車ならではの価値となる。1.2リッターの8バルブSOHCという、これまたいかにもフツーそうなエンジンは、力強さの余裕こそないが低回転域でも扱いやすい。ギクシャク感がなく、日常的な場面では2ペダル式の5速MTもスムーズな変速を繰り返す。そして、エンジンを目いっぱい引っ張って走れば、意外なほどの活気を示す。フル加速すると変速ショックがたちまち大きくなるものの、そこはご愛敬として許せてしまうような雰囲気もある。
ステアリング操作に対する応答性はあまり鋭くない。ところが、適度にグラッとくるロール感が、いかにも軽快に曲がっていそうな印象を演出する。このあたりは偶然ではなく、伝統が生み出した意図的な設定だ。しかも、コーナーをそこそこに攻めてもストロークのたっぷりとあるサスペンションが、4輪をしたたかにネバらせる。
そして、シートの座り心地などの基本的な機能にもまったく手抜きがない。前席は、サイズが大きめだ。クッションは柔らかいが、身体にフィットするので座り心地は上々。腰の収まりもいいので、1日乗っていても疲れが少なそうだ。まさに、使い倒せるクルマだ。
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