

Mercedes-Benzメルセデス・ベンツSLK
SLK

これぞメルセデスのコンパクトスポーツ。
スポーツカーはどこへ行くのか?
最先端の3モデルを徹底検証する。

奇しくも時を同じくして、3台の新しいスポーツカーが日本へとやってきた。
バリオルーフで話題をさらったメルセデスSLK、スポーツカーの金字塔といえるポルシェ911、そして近年の華麗なる復活劇で、俄然注目が集まるアストン・マーティンDB9。
いずれも最新鋭のテクノロジーが惜しげもなく投入された力作といえるが、ここでは先代モデルとの比較を通して、デジタル時代のスポーツカーの在り方を考えてみよう。

リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|郡大二郎|D.Kohri
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新開発のV6エンジンはふたたびDOHCに

結局のところ、メルセデスにはライトウエイトスポーツが健やかに育つ土壌がなかったのだろう。先代SLKは、ユーノス・ロードスターの爆発的な売れ行きに刺激されて作られたコンパクトスポーツだが、その操縦性は軽快さをウリにするようなものではなく、むしろ安定性やドッシリ感のほうに重きが置かれていたように思う。
そして最終的にはパワー志向を否定することができず、マイナーチェンジで3.2リッターV6エンジンを搭載するに至った。もともと軽快さをウリにしたクルマではなかったから別に驚くようなことではなかったが、そのあたりにメルセデスが持つ本質的な志向が見え隠れしていた。極論すれば、パワーとスタビリティこそがメルセデスの求めるところなのだ。そういう視点でSLKを捉えれば、むしろ新型こそがメルセデスらしいSLKだといえる。
スタイリングはSLRを髣髴とさせるマッチョでアグレッシブなデザインになっていて、非常に伸び伸びとデザインされたという印象を受ける。全長こそ4090mm(スポーツパッケージは4095mm)とコンパクトだが、全幅は1810mmと十分にワイドで、全高は1300mm(スポーツパッケージは1290mm)となる。ワイド&ローを、まさに地でいくスタイリングに仕上がっている。
エンジンは新開発の3.5リッターV6DOHCを搭載。本国には1.8リッタースーパーチャージャーのSLK200コンプレッサーも用意されるが、とりあえず今回は日本導入が見送られている。でも、私はそれでいいと思う。SLK350にはメルセデスらしさが凝縮されており、このクルマのキャラクターがより際立つと思うからだ。
さて、その3.5リッターV6ユニットはDOHCとなり、吸排気のカムシャフトに可変バルブタイミング機構を持つ。吸気管内の可変フラップや、電子制御式共鳴マニホールドなどを採用することで、最高出力272ps/6000rpm、最大トルク35.7kg-m/2400〜5000rpmを発揮する。ちなみに、この可変バルタイは加速時や高速走行時にはパワー重視に、一定走行時や低負荷走行時には燃費が向上するようにバルブタイミングをコントロールする。スポーツユニットでありながら、エコロジーにも配慮したエンジンなのだ。トランスミッションは、ティップシフト機構付きの電子制御7速AT=7Gトロニックである。
驚異的なまでの安定性、素直な操縦性も◎

実際に走らせてみた印象はというと、そこに軽快さは微塵もなく、ドッシリと安定したドライブフィール。つまりコンパクトスポーツではあるが、決してライトウエイトではない。そのあたりを明確に感じさせる仕上がりになっていた。
今回の試乗ステージは、ツインリンクもてぎのサーキットコース。天候は雨、路面はハードウェットだった。にもかかわらず、SLKは何の不安も感じさせずに路面をしっかりとホールドし、ハイスピードドライブをこなしてみせた。
何よりも驚かされるのは、ウェット路面での圧倒的な安定性だ。いまにもグリップが抜けてしまいそうな不安定感、唐突に足元をすくわれてしまいそうな接地感の希薄さは皆無。ステアリングの手応えは終始一貫してしっかりしており、グリップを伝えるインフォメーションも確かなものだった。
もちろん、リアタイヤの接地性や安定感も抜群で、コーナーの立ち上がりでアクセルをガンと踏み込でいっても、ハードブレーキングからブレーキを軽く残したまま旋回に入るような運転をしても、タイヤがビタッ! と路面に食いつき、微動だにしない。ついでにいえば、180km/hを超える速域で雨の中を突き進んでも、真っ直ぐ安定して走ってくれるのだ。これはダンパーの精度が高いのと、ピストンスピードの微速領域のセッティングがキッチリできているからにほかならない。
また、限界域の旋回ではESPが微妙に介入して、安定性を確保する役割を果たす。最近の傾向として、ESPは警告ランプが点滅する前から微妙に制御が働き出し、ドライバーにそれと感じさせることなく早めにクルマの安定性を保つようになっているのだ。いずれにしても、ちょっとペースを上げて走る程度では、このハードウェットの状況でもまるでドライ路面のような安心感だった。
操縦性も素直そのもの。ステアリングを切り出したときの応答は正確といってよく、だからといって精度を詰めすぎたようなシビアさもない。旋回バランスもよく、微弱なアンダーステアをわずかに意識しながら、安心かつスムーズに旋回していくことができる。
エンジンも十分にパワフルでありトルクフルだ。とくに、そのトルクバンドの広さは、今回のようにサーキットをハイスピードで走るような場面で、ひとつ高めのギアを選んでもストレスなくパンチのある加速をするほどだ。
だが、以前のようにESPをオフにしてもスタビリティコントロールがすべて解除されるわけではなく、最終的にはブレーキによる制御が入るので、いよいよ振り回すような走り方ができなくなっているのが個人的には不満なところ。つまりESPはどんな場面でもオン状態で、オフにするのは雪道などでスタックしたときのみ、ということなのだ。ESPが本格的に介入しないところで走りを楽しむのが、このクルマの作法ということなのだろう。このあたりが、先に「メルセデスとライトウエイト・スポーツカー的ドライビングは相容れない」といった所以でもある。
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新たにDOHCとなったV6は、全域でトルクフルな特性。チューニングされた野太いエキゾーストノートと相まって、新しいSLKの走りにおいてきわめて高い存在感を主張する。 |
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「軽快」から「豪快」へ。ハンドリングに先代SLKのような中途半端な軽やかさはなく、新型にはメルセデスのコンパクトスポーツらしいハッキリとしたキャラクターがある。 |
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新世代V6はこのSLKに初搭載され、順次ほかのモデルにも拡大採用されるはず。エンジンのコードネームは272で、スペックは272ps/6000rpm、35.7kg-m/2400〜5000rpm。 |
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SLRマクラーレンにも通じる「F1ノーズ」を採用し、フロントマスクは迫力満点。ボディカラーはほぼ本国同様、全11色から選べる。写真のカラーはインディーレッドだ。 |
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インパネデザインも大きく変更。SL同様の2眼メーターを採用するが、全体のテイストはSLK独自のもの。フィニッシュのクオリティも格段に向上している。DVDナビは標準装備。 |
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センターコンソール後方には小物入れが。ロードスターはどうしても収納場所に不便するだけに嬉しい装備。 |
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レザーシートはオプション。ヘッドレストの送風口から温風が吹き出し、首周りを暖める新機構「エアスカーフ」とのセットで21万円となる。 |
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