Porsche
ポルシェ911
911

数々のジレンマを乗り越えた、
ポルシェ渾身の一撃。


モデルチェンジが行なわれるたびに、これほど物議を醸すクルマはない。ポルシェ911。そしてコードネーム997と呼ばれる新型が、発表から5カ月で早くも日本へとやってきた。
リアヘビーが必然のRRレイアウトを採るゆえ「RR限界説」を囁く口の悪い連中もいるが、ならば一度、このクルマをドライブしてみるといい。執念にも似たエンジニアたちの気迫が、ステアリングからまざまざと伝わってくるはずだ!


リポート|笹目二朗|J.Sasame  フォト|郡大二郎|D.Kohri
6MTのギア比はよりクロスする方向に

 パッと見て、まごうかたなき911。印象はこれまでと変わらない。997は確かに少し大きくなったものの、フェラーリほど大き過ぎず、適度にタイトでスポーツカーらしく引き締まったボディを見てまずは安心する。写真で見た997は相当大きく、小さいボディに凝縮されたパワフルな動きが魅力の911もついにラグジャリー路線になったのかと心配したが、予測は嬉しい方向に外れた。
 そして実際に走り始めると、次々と改良された点が伝わってくる。「フーン、ずいぶん良くなったな」というのが最初の感想である。993から996になった時は「ずいぶん変わったな」と思ったが、気になるところも少々あった。今回は新規採用や大幅変更はなく、まず感じたのは改善進化だ。
 エンジンはそのままというか、一番変化の少ない部分だ。相変わらずトップエンドまでスムーズに吹け上がる。違いといえば、グィーンという補器類の回る音が加わった程度だ。6MTは新しくなり、911としては初めてタイヤの動荷重半径を大きくしたことを受けて、ギア比が全体で5%ほど下げられた。各ギア間のステップアップ比も見直されて、若干ながらよりクロスする方向に近づけられ、次のギアへ送る時のつながりが良くなった。大袈裟に言えば、これまで2速の上限で回っていたコーナーで3速が使えるし、タイトコーナーでの2速の瞬発力が上がった。シンクロも1〜2速はトリプルコーンが採用され、素早くシフトする時のひっかかりがなくなった。ちょっと気になったのは、瞬時に読み取れるデジタル表示の速度計は便利だが、表示のタイミングが実際からやや遅れることだ。
 ATは相変わらずレスポンスが素早く、すっきりした変速の節度感を味わえる。ステアリングのスポークに付く+−のスイッチも大きくなり、作動も軽くなった。しかし解せないのは、他のドイツ車のATのように、アクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏むとエンジンが一瞬反応しなくなる点で、左足ブレーキ派には歯痒い。そういえばポルシェは昔から、ヒール・アンド・トウをさせないペダル配置を故意に採用していたことを思い出した。また発進が2速から行なわれるのも相変わらずで、ポルシェはATユーザーをMTユーザーとは違う目で見ていることはこの997でも確かだ。
 
ティプトロニックSは従来通り5速だが、シフト時間の短縮が図られるなどさらなる改良が。シフトアップ&ダウンは、ステアリング上のスイッチでのみ可能。
カレラのインテリア。質感は向上したが、インパネのデザインはさらに乗用車的になり、そこにスポーティな感覚は薄い。ただし、911のアイデンティティともいえる5連メーターは健在だ。
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