フォーフォーの走りは、単独試乗のページで詳しくリポートしているので、そこをご覧いただきたい。ただ、コルトと乗り比べてみて、メカニズム的な共通性が感覚的にも確かめられることが分かった。フォーフォーのエンジンは、高回転域まで景気よく吹け上がるが、中回転域でも充実したトルクを得ている。この点がコルトとまったく同じだ。ただコルトは、CVTを組み合わせているので高回転域での伸びのよさは際立っていない。むしろ、中回転域の充実したトルクを、CVTが生かすことで余裕ある走りを実感させてくれる。乾いた感じのエンジン音も、フォーフォーに似ている。
 ハンドリング面でも、フォーフォーで感じたステアリングのフリクション感がコルトにも認められる。フォーフォーでは、タイヤとホイールのセットアップの影響も考えたが、原因はシャシーのどこかにあるのだろう。単純に考えればステアリング系ということになるが、サスペンションの初期的なフリクションも疑える。
 さらにいえば、コーナーを攻めたときに弱めのアンダーステア傾向で限界を予感させるあたりもフォーフォーとコルトの共通点。もちろん、ロール剛性はフォーフォーの方が高い。そのため、フォーフォーはハンドリングのスポーティさでも個性を主張している。
 ポロは、走りの気持ちよさとか楽しさをあえて控えめにしているように思える。なるほど、実用車として考えれば、そのほうが好都合なのかもしれない。淡々とした移動をこなし、その間のドライバーの負担を最小限に抑える。余計な刺激はしない。目的地に到着したら、移動のことなどすっかり忘れて別の事柄に意識を集中するといった使い方には、打ってつけのクルマといえる。
 フィエスタは、ポロとは正反対の走りを楽しませてくれる。1.6リッターエンジンは、とにかく元気がいい。エンジンの特性そのものは実用性を十分に考慮し扱いやすいが、レブリミットの6500rpmまで気持ちよく吹け上がる。回転数でパワーを稼ぐ実感があるだけに、シンプルな4速ATを思わずマニュアル操作したくなるような刺激に満ちているのだ。
 ステアリング操作に対する応答性も軽快だ。それでいて、軽快すぎて頼りなく思えるといった心配とも無縁でいられる。クルマが向きを変え始める次の瞬間には、リアが路面をしっかり捉えるからだ。ボディからはドイツ車のような剛性感も得られるので、高速域ではアクセルをどこまでも踏み続けていられそうな信頼感がある。
 206は、路面にシュタッと吸い付くような独特の接地感を備えている。それが裏付けとなり、ステアリングを一気に切り込んでも危なっかしい状態にはならなそうな安心感がある。実際に期待を損なうことはない。クルマの鼻先はスッと向きを変え、意外なほど速いペースを保ちながらコーナーを駆け抜けることができる。
 エンジンは、高回転域の伸びよりも中回転域の応答性の鋭さに魅力を感じる。一般的な4速ATを組み合わせているが、ここまで応答性がよければ何の不満もない。最近、スモールカーで主流になりつつある2ペダル式のMTと同様に、アップテンポのリズムを刻みながらご機嫌な気分が保てる。
 C2は、スモールカーの典型ともいえるエンジンを搭載する。エンジンがビュィーンと軽く吹け上がり、高回転域で特別にパワフルになるわけではなくてもアクセルを踏み続けたくなる。しかも、センソドライブと呼ぶ2ペダルの5速MTを組み合わせているので、シフトダウンが楽しくなる。ステアリング裏側のパドルを指先で操作するたびに、エンジンが自動的に回転合わせをしながら、ヒール&トウを決めたときのようなフォンという排気音を響かせる。
 サスペンションは、しなやかさを感じさせる設定だ。同じC2でも、16インチタイヤを履く1.6リッターエンジン搭載モデルとは異なる。適度なロール感があり、手応えが軽めなステアリングをスッと切り込むと、その通りにクルマが向きを変える。それでいて、限界付近でもネバリ強い接地感を保つので、コーナーで飛ばしぎみのペースを保っても安心していられる。
 パンダの1.2リッターエンジンは、その特性を冷静に分析すればありきたりだ。高回転域の伸びが鋭いわけではなく、最高出力の60psを5000rpm、最大トルクの10.4kg-mを2500rpmで発揮することからも、実は扱いやすさを優先していることがわかる。
 ところが、一度アクセルを踏むと積極的な気持ちになれるから不思議だ。そもそも、小排気量エンジンは目いっぱい回しながら走ることを前提にしているために、自ずと右足に力が入るのだろう。2ペダル式の5速MTをオートモードに保っても、気が付けば5500rpmあたりでシフトアップが繰り返される……といった状態が日常的にも頻繁にある。
 サスペンションも、限界性能の高さにはこだわっていない。少し飛ばすと、ボディと一緒になって柔らかめの座面に乗せた自分の尻までロールする。4輪の接地感もグンニャリとしているが、それでもネバリ強さを失うことがない。このグンニャリ感に不満を覚えるどころか、パンダの走りの個性として楽しんでいる自分に気付く。


 さて、こうしてスモールカーを乗り比べるとき、どのクルマをベンチマークにしたかというと、実は最も個性が乏しいポロだった。というのも、個性には乏しいかもしれないが、ポロは総合的な意味で「いいクルマ」として完成されているから。それだけに、ポロをベンチマークとして比較することで、他のクルマの個性がより際立ってくるのだ。
 もちろん、個別のテーマを掲げればすべてのモデルがベンチマークになる資格をもつ。フォーフォーは、ブランド戦略においても注目すべき点が多くあり、コルトはインテリアの質感の高さでスモールカーの常識を越えている。ポロは、誰もが無難に選べる後悔しない1台であり、それが販売面にも結びついているところを考えると、いかにもニッポン人的な「あまり目立ちすぎるのもいかがなモノかと……」といった感性も伺える。
 フィエスタが備えているドイツ車的な走りの楽しさや、プジョーの猫足も多くのメーカーが研究し尽くしているはずだ。C2は、ディテールのこだわりでデザイナーの注目を集めているに違いない。パンダのシートは、ニッポンのメーカーのエンジニアにはぜひ研究してもらいたい。
 この個性派揃いのスモールカーワールド、次はどんなクルマが生まれるのだろうか。



フロントの見切りがいいのは?
前方の視認性をチェック


スモールカーにとって、取り回し性は重要なファクター。なかでも、フロント前端部の見切り(視認性)は、取り回しの良さに直結する大事な要素だ。そこで、運転席からどのくらいの距離が見えるのかテストしたのが下の表。その結果はフィエスタ、次いでスマート、ポロ。以下、206、パンダ、C2、コルトという順だ。さすがに、ドイツ勢はこの辺りをしっかり意識しているよう。意外と健闘したのが206で、フロントは長そうに見えるがドイツ勢に近い視認性を見せた。逆に芳しくなかったのがC2、パンダ、コルトだが、これはフロント部のデザインや着座位置の影響によるものらしい。もっとも、フロントの感覚が掴みやすいかどうかはまた別問題だが。

  テスター(171cm)にベストポジションに座ってもらい、そこからどこまで見えるかを判定。結果にはフロントのデザインだけでなく、着座位置やインパネ形状なども影響する。

前方視認距離
フォーフォー
330cm
コルト
391cm
ポロ
333cm
フィエスタ
305cm
206
349cm
C2
372cm
パンダ
350cm
 



日本のプジョー人気を確立した立役者

お洒落なデザインと手頃なサイズ&価格で人気となり、日本におけるプジョーのポジショニングを一気に引き上げた206。男性だけでなく、女性ユーザーの支持が厚いことも特徴だ。今回のモデルの中ではやや旧さも目立ってきたが、それでも安定した操縦感覚や扱いやすいエンジンなど、実力的には十分最新モデルと渡り合える。試乗車はベーシックモデルとなるスタイルで、搭載するエンジンは1.4リッターから74ps/5500rpm&12.2kg-m/2600rpmを発揮する直4SOHC8Vユニット。これに4速ATを組み合わせる。5速MT仕様をラインナップすることも魅力のひとつだろう。

specification
■全長×全幅×全高=3835×1670×1440mm
■ホイールベース=2440mm
■車両重量=1040kg
■エンジン種類/排気量=直4SOHC8V/1360cc
■最高出力=74ps(55kW)/5500rpm
■最大トルク=12.2kg-m(120Nm)/2600rpm
■トランスミッション=4AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トレーリングアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ドラム
■タイヤサイズ=175/65R14
■東京標準現金価格=1,874,250円
プジョー・ジャポン


シトロエンの末弟は自由奔放なスタイルが魅力

PSAグループの最新プラットフォームを使った、シトロエンのエントリーモデル。どちらかといえば合理性を重視する兄貴分のC3に対し、C2ではポップでスポーティなデザイン、カラフルなシート&インパネ、2+2と割り切った室内空間……など、その要素には“遊び心”が強く感じられる。ラインナップされるのは1.4 VTRと1.6 VTRの2グレード。試乗車は1.4リッターから75ps/5400rpm&12.5kg-m/3300rpmを発揮する直4SOHC8Vを搭載する1.4 VTR。足回りも1.6よりソフトな味付けとなる。ミッションはセンソドライブと呼ばれる5速のシーケンシャルMTを採用する。

specification
■全長×全幅×全高=3670×1660×1460mm
■ホイールベース=2315mm
■車両重量=1040kg
■エンジン種類/排気量=直4SOHC8V/1360cc
■最高出力=75ps(54kW)/5400rpm
■最大トルク=12.5kg-m(118Nm)/3300rpm
■トランスミッション=5速センソドライブ
■サスペンション(F:R)=ストラット:カップルドビーム
■ブレーキ(F:R)=ディスク:ドラム
■タイヤサイズ=185/55R15
■東京標準現金価格=1,837,500円
シトロエン・ジャポン


見た目は変わってもパンダのDNAは継承

ジウジアーロが設計した偉大なスモールカーの名を受け継いだニュー・パンダ。元々は'02年のボローニャ・ショーで「シンバ」として発表されたものが紆余曲折を経て、21世紀版パンダとしてデビューしたモデルだ。ボディサイズも大きくなり、デザイン的にも飛躍を遂げたが、巧みなシートレイアウトやキビキビとした走行感覚などに確かにパンダのDNAを感じる。試乗車は1.2リッターから60ps/5000rpm&10.4kg-m/2500rpmを発揮する直4SOHC8Vを搭載するモデル。このほか、電動サンルーフとなるスカイドームなどを装備した上級仕様「プラス」もラインナップされる。

specification
■全長×全幅×全高=3535×1590×1535mm
■ホイールベース=2300mm
■車両重量=940kg
■エンジン種類/排気量=直4SOHC8V/1240cc
■最高出力=60ps(44kW)/5000rpm
■最大トルク=10.4kg-m(102Nm)/2500rpm
■トランスミッション=5速シーケンシャルMT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=ディスク:ドラム
■タイヤサイズ=155/80R13
■東京標準現金価格=1,573,950円
フィアット・オート・ジャパン



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