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セダンに強烈なエンジンを積む「モンスター」の筆頭格といえばAMGとアルピナ。周知の通り、AMGはメルセデスのレース用エンジンチューナーとしてスタート。数々の参戦歴をバックボーンにチューナーとしての名声を高めるが、その後メルセデスにおけるレース部門の準ワークスとなり、最終的にメルセデス傘下に入っている。
一方、アルピナはBMW1500用ソレックス・ツインキャブの開発を手始めにチューナーとしての活動を始め、レースで高い技術力を発揮しながらドイツ自動車登録局から正式に自動車メーカーとしての認証を受けている。あくまで独立したメーカーであり、BMWをベースにオリジナルを開発・商品化するというスタンスだ。
それだけに両社のクルマ作りには、微妙な温度差がある。改めてC55AMGとB3Sを乗り比べると、そのあたりが理解できる。
まず、C55AMGは驚くほど乗りやすい高性能セダンに仕上がっている。エンジンは、メルセデスの5リッターV8をベースにストロークを84mmから92mmに延長して5.5リッターとしたユニットで、367psを発揮。もちろん、ただボアアップしただけではなく、アルミ/シリコン合金製のシリンダーライナーやナトリウム封入排気バルブの採用など、メーカーならではのノウハウや技術が盛り込まれている。そして、これらが素晴らしく乗りやすいと感じるバックボーンになっている。
感覚的には、普通のCクラスに乗るような気分で接しても問題はなく、気軽にキーをひねりスタートすることができる。Dレンジに入れておけば2速から発進するので、巨大なトルクに神経質になる必要もない。軽くアクセルを踏み込めば、あっけないほどスムーズに走り出す。もちろん、足回りは相応に引き締められているが、むやみに硬いわけではない。バネとダンパーを主体にバランスよく引き締められており、乗り心地に荒さはない。たとえば、激しいコーナリングでは、ハンドルを切り出したときにクルマのロールに一瞬遅れてタイヤのグリップが強まるような動きも見られる。しかし、これは日常域を主体にした味付けが第一で、スポーツドライビングのプライオリティはその次という考え方の表れだろう。
もちろん、だからといってエンジンや足回りのパフォーマンスが生半可なわけはない。5速ATにはC・S・Mの3モードが設定され、Mを選ぶとシフトはマニュアル操作となる。その際はクルマが勝手にギアを変えるような無粋なマネはしない。そして、この状態で1速をセレクト、やおらアクセルを踏み込むと、ここからが本領発揮となる。まず、加速は豪快のひと言。車重1650kg(車検証記載値)が、まるでハチロクにでも乗っているかのような軽さで動き出し、52kg-mのトルクが豪快に車速を引っ張り上げる。法律さえ許せば、200km/hの世界はアクセルのひと踏みだ。
しかもこのとき、足回りはヒタッ! と路面を捉え、抜群の接地感と安定感を確保するのだ。そこにはチューニングカー的な荒さはなく、隅から隅まで配慮の行き届いた躾の良さを感じる。AMGといっても、このあたりにメルセデスらしい間口の広いセッティングを感じることができるのだ。
では、アルピナB3Sはどうか。まず、エンジンをかけた瞬間から、明らかに最新のBMWとは違う匂いがある。何より、不機嫌そうにアイドリングする3.4リッター直6の存在感が強い。315ps/36.9kg-mを発揮するこのパワーユニットは、ノーマルの直6とは異なる鋳鉄シリンダーを採用。フリクションが少なく、シャンシャン回るモダンなエンジンとは一線を画す独特な滑らかさが魅力だ。レブリミットが6800rpmにとどまる点も、古き佳きビッグ6を彷彿とさせるエンジンフィールの演出にひと役買っている。
そして、最初は不機嫌そうなアイドリングが近寄りがたいムードを発するものの、いざアクセルを踏み込めば表情は一変。先に書いたような、古典的スムーズネスを堪能できる。レスポンスも、アクセルの操作に忠実だ。回転の上昇をリードするように踏み込むと、エンジンが穏やかについてくる。
足回りはスタビリティ一辺倒ではなく、クルマのバランスの良さを生かした軽快でスムーズな動きを引き出す味付け。サスペンションの動きが良く、カーブではロールも適度。特にターンインではフロントサスがスムーズにストロークし、ノーズが穏やかに向きを変えてくれる。たぶん、サーキットのような特殊な環境は眼中になく、ひたすらオンロードで気持ちよく走れることを狙ったセッティングだ。それだけに、限界時の挙動も穏やか。リアにLSDを持たないオープンデフによって、適度に片輪をホイールスピンさせることで駆動トルクを逃がし、姿勢の乱れを巧みに抑えている。
もちろん、スウィッチトロニックを駆使すれば、迫力ある加速は手に入る。しかし、鋭さやシビアさとは無縁で、そこにはノーマルのBMWとは異なる洗練を感じる。面白いのは、DSCスイッチを長押しするとABS以外のデバイスがオフにできること。日頃は上品なアルピナも、ホンキになればしっかりそれに応えてくれるのだ。 |
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Specification
■全長×全幅×全高=4620×1745×1410mm
■ホイールベース=2715mm
■車両重量=1650kg
■エンジン種類/排気量=V8SOHC 24V/5438cc
■最高出力=367ps(270kW)/5750rpm
■最大トルク=52.0kg-m(510Nm)/4000rpm
■トランスミッション=5AT
■サスペンション(F:R)=3リンク:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/40R18:245/35R18
■東京標準現金価格=9,660,000円(ダイムラー・クライスラー)
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Specification
■全長×全幅×全高=4471×1739×1395mm
■ホイールベース=2725mm
■車両重量=1480kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC 24V/3346cc
■最高出力=315ps(232kW)/6300rpm
■最大トルク=36.9kg-m(362Nm)/4800rpm
■トランスミッション=5AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:セントラルアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/40ZR18:255/35ZR18
■東京標準現金価格=9,093,000円(ニコル・オートモビルズ)
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