
フォルクスワーゲン・ゴルフV、オペル・アストラ、そしてアウディA3スポーツバックと、ここに来てジャーマン・コンパクトハッチの新型が相次いでデビュー、マーケットを賑わわせているが、いよいよその真打ちともいえるモデルが登場した。
もちろん、BMWが満を持して送り込んだ1シリーズがそれだ。
国際試乗会の舞台はお膝元のミュンヘン。
それだけでも、BMWがこのクルマに賭ける強い意欲が存分に伝わって来ようものだ。
早速、第一報をお伝えする。
リポート|萩原秀輝|H.Hagihara フォト|望月浩彦|H.Mochizuki
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いつの間にか、ご機嫌モードに突入していた。そんな時、ボクはコーナーに飛び込む際に“イヤッホーッ”とか、意識の中で奇声を発していたりする。今回もそうだった。ミュンヘン郊外、さすがにビールの大量消費地らしく大麦やホップの耕地が丘陵を覆う。そして、そんな丘陵と丘陵を縫い合わせるかのように、格好のワインディングが続く。適度な起伏もありコーナーも中速中速低速、また中速中速低速といった、そんな感じのリズムがあるようにも思える。
そして低速コーナーに飛び込む時、意識の中はもう“イヤッホーッ”状態なのだ。こうしたご機嫌モードに入るのは、ライトウェイトなオープン2シーターに乗っている時が多い。たぶん、開放感や風の刺激が意識を高揚させるのだろう。でも、このクルマはオープン2シーターではない。BMWの新生1シリーズなのだ。
路面はハーフウェット。そのことは、あまり気にならない。4輪からは、確かな接地感が伝わってくるからだ。なぜそうなのかは、後で詳しく解説しよう。中速コーナーを抜けながらブレーキング。ペダルの踏み応えにシッカリ感がある。ストロークではなく踏力で制動力を引き出すタイプで、その立ち上がり方は素直。ノーズダイブはほとんどなく、前輪に荷重が乗っていることが分かる程度だ。
ブレーキペダルに与える踏力を緩めつつ、直角に近い低速コーナーに向けてステアリングをスパッと切る。そう、まさにこの瞬間が“イヤッホー”だった。最近のBMWのハンドリングをマジメ方向に縛っていた、CBC(コーナリング・ブレーキ・コントロール)の効きが控えめなのだ。
ブレーキを残しながらステアリングを切ると、CBCにより制動力配分を自動制御してスタビリティを確保。それはそれでいい。ただ、大胆に走りたい時には少しばかり邪魔にもなる。まぁ、BMWの場合は、そもそもブレーキを残しながらコーナーに進入するといった、曲がらないクルマを曲げるための小技は必要ない。でも、あえて大胆に走りたい時には小技が使えた方がいい。
その望みに、1シリーズは応えてくれる。何もしなくとも、ステアリングをスパッと切ればクルマはスパッと曲がる。ブレーキを残すと明らかに舵の効きが鋭くなり、曲がり方がスパッからズバッに変わる感じがする。そのタイミングに合わせてアクセルをガバッと踏み込めば……、アーッもうたまらない。実際には、クルマが向きを変えた次の瞬間に後輪が瞬時に追従。こうした場面では、アクセルはジワッと踏むのがセオリーでもあるし、何も起こらない。
中速コーナーなら、アクセルをジワッと踏みつつ加速も減速もしない状態を保てば、4輪がバランスよく接地している実感も得られる。加速も減速もしない状態をコーナリングの最高速付近まで引き上げても、不安がまったくないことをすでに確かめていた。
しかし、低速コーナーの場合は、加速も減速もしない状態を保つ間がない。減速後、即加速となることもある。中速中速とコーナーを抜けると、またまたイイ感じで低速コーナーが現れる。位置変更で手が届きやすくなったスイッチを長押しして、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)を完全解除。CBCはマジメ方向から少しだけイケイケ方向に修正されているので、ブレーキを残しつつステアリングをスパッと切る。クルマは、ズバッと向きを変える。そして、アクセルをガバッと踏む。リアがスライド!
カウンターステア一発で、挙動はピタッと収まる。この一瞬を待っていた。スタビリティが抜群に高いだけに、試乗車が搭載している2リッターの4気筒エンジンが発揮する駆動力では、コーナーの奥行きが深かったとしても、後輪の接地力を奪いながらドリフトを維持するというわけにはいかなそうだ。でも、カウンターステアを一発決めただけでも大満足。やはり、BMWはこうでなければいけない。

オッと、こんなリポートを続けていると、1シリーズがテールスライド命のクルマと思われてしまいそうだ。もちろん、そんなクルマのはずはない。エンジンにも注目したい。アクセルをガバッと踏んだ時、力強さが鋭く立ち上がる。この応答性は、バルブトロニック付きなので318iでも経験済みだ。でも、力強さの度合いが違う。
そのままアクセルを踏み続けると、今度はエンジン音も違っていることに気付く。4000rpmあたりから、音の迫力が増してくるのだ。一度アクセルを戻して、再び踏んでみる。まず、吸気音が聞こえてくる。そして、5000rpmあたりから音程が1度分高くなる。吸気音に排気音が加わるからだ。エンジン音の二重奏。6000rpmを超えると、それがクライマックスに達する。吹け上がりの勢いもそのままだ。タコメーターのなかで、レブリミットの6500rpmを極めようとする。
この加速感、1シリーズが3シリーズよりも車重が軽いだけでは説明がつかない。耕地の間を縫うようなワインディングを走り抜け、アウトバーンに入っても加速感は変わらない。試乗車には6速MTが組み合わされていた。本線に合流する際にフル加速すると、2速で92km/h、3速で138km/hに到達。3速までは、ワインディングで確かめた音の刺激が再現され、アクセルを踏んだ瞬間の応答性や加速の鋭さを維持する。
アウトバーンでも幹線は速度規制があり、交通量も多いのでそれ以上の速域はなかなか試せない。それでもチャンスはある。6速で3000rpmあたり、速度にして130km/hから4速までシフトダウン。回転数は4500rpmに上昇。ちょうど、トルクが乗っている回転域だ。
そして、アクセルを踏み込む。例の吸気音が聞こえ、それに排気音が続く。180km/hまで引っ張って5速へ。さすがに、吹け上がりの鋭さまでは維持できないが、加速の勢いは残っている。もう少しで200km/hというところで、先行車に追いついてしまった。ただ、この勢いがあれば広報資料にある217km/hという最高速度には余裕で達するに違いない。そのときのエンジン回転数は、6000rpmプラスとなる。
さて、イヤッホーだのズバッとかガバッといった表現で評価をするのはこのあたりにして、1シリーズの走りをきちんと客観的に分析しておこう。試乗車の120iが搭載しているのは318iと同じバルブトロニック付きの2リッター4気筒エンジンだ。ただし、このエンジンは最高出力150psを発揮する。つまり、318iよりも7psパワーアップしている。
その理由は、吸排気系を見直した結果だという。吸気音、そして排気音が続き二重奏でクライマックスを極めたあの刺激には、そうした技術的な背景があった。しかも、最高出力の発生回転数は318iのエンジンよりも200rpm高い6200rpmとなる。高回転の伸びのよさも、この200rpmが効いている。広報資料にある最高速も、計算上では5速6200rpmでマークされる。
最大トルクは、318iのエンジンと同じ20.4kg-mのままだ。ただ、その発生回転数は150rpm低い3600rpmとなる。ワインディングの低速コーナーでアクセルをガバッと踏んだときに感じた応答性の鋭さは、中回転域のトルクを幅広い領域で充実させた結果だったわけだ。
さらに、エンジンの制御ユニットも進化している。広報資料には「独立スロットルを備えたエンジンでしか達成できなかった応答性をもたらした」とあるが、まさにその通りだった。そもそも120iのエンジンはバルブトロニック付きなので、スロットルは機能していない。つまり、吸気管は筒抜け状態。吸気バルブのリフト量の変化がスロットルの代わりをしている。しかも、その制御ユニットが進化しているので、応答性が鋭くなったのも当然だ。
ちなみに、日本には10月頃に、6速AT仕様の120iが導入される予定だ。MT仕様ではない点が惜しい気もするが、もちろんマニュアル操作が可能なステップトロニック付きなので、今回の試乗で体験した応答性や加速の刺激は余すことなく再現されるだろう。 |
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無意識のうちに気分は高揚。
その基本性能の高さは、
まさにBMWクオリティ。 |
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| 加速フィールだけでなく、エンジンサウンドが走りの刺激を増幅。 |
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| iDriveコンセプトに基づいた、スマートかつファンクショナルなコクピット。ドライビングエリアとコンフォートエリアを明確に分離し、各スイッチ類をセンターコンソールのダイヤルに集約することで、ドライバーが運転に集中できる環境を作り出している。 |
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| 前席の広さは3シリーズを超えるが、後席はクラス標準レベル。運転席には4方向に調整可能なランバーサポート、エア増減式のサイドサポート調整機能がつく。 |
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ドアの内側にもエルゴノミック・デザインを採用。パワーウインドースイッチは幅広のアームレスト部にレイアウト。ドアポケットも十分な容量が確保される。 |
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| ラゲッジルーム容量は通常で330リッター、ダブルフォールディング式の後席背もたれを畳むことで最大1150リッターまで展開可能。フロアは二重構造で小物収納スペースを内蔵。 |
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VWゴルフVをはじめ、最近の流行を採り入れて、テールゲートオープナーはリアエンブレムとの兼用タイプとなる。 |
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