まずはエンジンである。VWはエンジンで少しばかり苦労している。ゴルフが進化を続けてた過程で、一時期アウディが搭載していた4気筒の5バルブエンジンに移行しかけたことがあった。だが、ゴルフとの相性がイマイチだったのか、旧態化したエンジンに延命措置を図って搭載していた。
 その2リッターエンジンは、実用性が高くまさにゴルフ向きであった。ただ、もはやそれを用いるわけにはいかず、FSIと呼ぶ直噴の4バルブDOHCエンジンを開発。このエンジンが、素晴らしい完成度を示す。低回転域から十分な力強さを発揮し、アクセルを踏んだ瞬間の応答性も鋭い。それが制御上の演出ではなく、吹け上がりながらも力強さが持続する。
 高回転域の伸びもよく、5000rpm台の後半から少しばかりエンジン音が大きめになるが、レブリミットの6500rpmまでちゃんとパワーが詰まっている。組み合わせる6速ATは3速までのギア比の設定が低いだけに、吹け上がりの気持ちよさや高回転域の伸びのよさがより際立つ。
 ゴルフにパワーの面で対抗できるのは、147のツインスパークエンジンだ。中回転域から加速に弾みが付き、7000rpmを超える勢いで吹け上がる。エンジン音も迫力があるのでパワー感が増幅し、いかにもスポーティに走っている気分になれる。
 2ペダル5速MTのセレスピードも、エンジンとの相性がいい。減速時に早めのタイミングでシフトダウンを繰り返すと、エンジンが自動的に回転合わせをしながら例の音を響かせてくれる。
 高回転域の伸びが予想外に鋭かったのが、フォーカスのエンジンだ。フル加速すると5000rpmあたりからエンジン音が大きめになり、これ以上は加速が伸びないような気持ちになる。ところがそのままアクセルを踏み続けていると、6000rpmあたりから音が澄んできて突き抜けたような吹け上がり方をする。いわゆる“カムに乗る”感覚が得られるのだ。
 それでいて、低中回転域のトルクも充実している。ATが4速なのでギア比の関係でゴルフほど応答性は鋭くないが、力強さの余裕は実感できる。そのため、日常的に繰り返される加速なら、少なめにアクセルを踏めば事足りる。
 ゴルフと同様に、307もアクセルを踏んだ瞬間の応答性が鋭い。このエンジンも4速ATを組み合わせるので、低回転域での絶対的なトルクはゴルフのエンジンに勝っているかもしれない。惜しいのは、不快感こそないが吹け上がりが少しばかりガサついていることだ。この傾向は、フォーカスのエンジンにも認められる。
 価格帯を揃えたため、A3はゴルフVと同系のFSIエンジンながら1.6リッター仕様となる。このハンディは少なくないが、実際には大差は感じない。とくに、1名乗車で走っているときには吹け上がりの軽快感も得られる。4名乗車で上り勾配になったときには2リッターとの差は大きくなるだろうが。


  スポーティなアルファ147、実用性の高いファーカスなど、それぞれにキャラクターが明確なエンジンを持つが、やはりVWの新世代ユニット、直噴FSI4気筒は総合性能で一歩のリードの感あり、といえようか。
 
  今回の比較車中、パワー、トルクともに最強のスペックを持つのがゴルフだ。最高出力150ps/6000rpm、最大トルク20.4kg-m/3500rpmの直噴ユニットは、6ATとの組み合わせでパワフルかつ滑らかな走りを実現。
  PSAグループの屋台骨を支える直4ユニットだが、いまとなってはアルミエンジン特有のガサガサした感触が気になるのも事実。最高出力137ps/6000rpm、最大トルク19.4kg-m/4100rpmを発生。ミッションは4AT。
  最高出力150ps/6300rpm、最大トルク18.4kg-m/3800rpm。パワーではゴルフと肩を並べるアルファ147だが、トルクはやや細い。しかしそこはアルファ・ユニット、高回転まで回した時の官能度では群を抜く。
  131ps/5500rpmの最高出力、18.2kg-m/4500rpmの最大トルクというスペックは、他車と比べるとやや見劣りするものの、高回転では数字以上の力強さを感じさせるフォーカス。いまだ高い基本性能が光るユニットだ。
  価格帯を揃えるために、頭ひとつ抜けるA3は1.6リッターモデルをチョイス。最高出力は102ps/5600rpm、最大トルクは15.1kg-m/3800rpmで、他車に比べるとやはり非力ながら、吹け上がりの軽快感はそれを補って余りある。
 
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