Bセグメント・インポートカー市場の頂点に君臨するポロに強敵が出現。
フォードが満を持して投入したフィエスタである。
価格も含め共通項が多いこの2台。
ベーシックカーとしての魅力度では、果たしてどちらに軍配が上がるのか?

リポート|熊倉重春|S.Kumakura  フォト|松本高好|T.Matsumoto


 こういうクルマは、カジュアルであるべきだという意見には説得力がある。その立場からさっくり決めれば、フォード・フィエスタが多くの点でVWポロに勝る。
 まず第一は雰囲気だ。フィエスタは軽く、ポロは重い。重厚なのは悪いことではなく、特にVWの場合は、大衆車そのものを高級化した功績を認めねばなるまい。VWのユーザーが、そのぶん幸福になれたのも事実だろう。
 しかしハードウェアとして備えるべき項目を数えると、フィエスタもポロも変わりはない。そのうえで「なーに頑張っちゃってんの」と軽くいなされると、ポロの鎧もあっさり崩れる。フォードの標榜するニューエッジ・デザインは、この種の道具グルマにおいて最大の効果を発揮する。いかにも金がかかっているように見えるポロも、身の丈で造形したフィエスタからは虚勢に見えることがある。
 ――と、ここまでは単なる感情というか、好みで決めた勝負でもある。そこであらためて公平にチェックすると、特にインテリアのスペース活用などにおいて、両車ほとんど違いがない。前後席のスペースに座り心地、荷室の広さなど、項目ごとに多少の優劣はあっても大勢に影響なく、ほぼ互角と評してよろしい。それどころか、ダッシュボードのデザインや作りなど似ているところも多い。
 ではどこで差がつくかといえば、走りだ。スポーティとか攻められるという物差しではなく、瞬間瞬間いかにクルマとの一体感を持てるかもカジュアル風味の一大要因で、その点ポロは弱い。もちろん、コンパクトセダンとしての快適性に文句はない。昔のポロとは違い、緊急回避の瞬間にテールが流れることもない。全体に安定感が濃く、誰に運転させても不安がない。ただし、現行型の初期よりマシになったとはいえ、1.4リッターの75psはまあまあの範囲に止まる。ドライバーだけならいいが、複数乗っての登坂などでは、べったり踏んでももどかしい。
 ただし、フィエスタの優位は1.6リッターの100psにあるわけではない。数字ではポロよりわずかにボディが大きいのに、乗るとぴったりフィットする感じが嬉しい。ハンドリングの機敏さもたいしたもの。どう操っても素直なのは、昔からフォード・ヨーロッパの得意科目だった。これならクルマに「乗せてもらう」のではなく、こちらの意志をすばやく読んで動いてくれる感じにもなる。足の設定も適切で、しっかりしているが硬くない。ポロはもっとソフトだが、それより段差などで特にフロントがブワンと上下するのが不快だ。初年度より格段に改善されてはいるが、どうも最近のVWはブワブワ気味とかゴツゴツ気味とか、ポイントを外すことがある。
 ブレーキが頼れるのもフィエスタ。こちらはリアがドラムだが、諸元表など関係ない。同じ峠をDレンジで駆けおりたら、4輪ディスクのポロが早々とフェードしたのに、フィエスタは麓まで涼しい顔のままだった。
 ところでフィエスタが狙うのは若くてセンスのいい女性だそうだが、こんなに気持ちいいフットワークを女に独占させておくのは惜しい。かなりキツい横Gをかけても踏ん張れる、男物のスニーカーとして十分以上に通用するタマだ。この爪の垢を、煎じてポロにも飲ませたい。
 
 
VOLKSWAGEN POLO
FORD FIESTA 1600 GHIA
■全長/全幅/全高(mm)
3890/1665/1480
3915/1685/1445
■ホイールベース(mm)
2470
2485
■車両重量(kg)
1160
1130
■エンジン種類
直4DOHC 16V
直4DOHC 16V
■排気量(cc)
1389
1595
■最高出力(ps(kW)/rpm)
75(55)/5000
100(74)/6000
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
12.8(126)/3800
14.9(146)/4000
■トランスミッション
4AT
4AT
■サスペンション(F:R)
ストラット:トーションビーム
ストラット:ツイストビーム
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
Vディスク:ドラム
■タイヤサイズ
185/60R14
175/65R14
■東京標準現金価格
¥1,974,000
¥1,958,250
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※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税込み価格です。



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