3月のジュネーブ・ショーで正式デビューを飾った新型A6の国際試乗会が、イタリアのミラノを拠点に開催された。
プレミアムブランドの中では、先進的なデザインと独創的なハイテクで確固たるポジションを築くアウディだけに、その最新モデルに盛り込まれた新機軸の数々には大いに注目が集まる。
さて、新世代アウディの実力とは?

リポート|吉田 聡|S.Yoshida(本誌)  フォト|アウディ・ジャパン


 プレスコンファレンスが行なわれたのは、ミラノの街の中心部、スカラ座を隣にしたトサラルディのブティックやショールームが入った建物だった。もちろん、周囲はプラダやグッチ、ヴェルサーチをはじめ、世界に名だたる有名ブランド店が軒を連ねる、いわゆるそういう一角であり、ファッション界におけるモードの発信地でもあるミラノを象徴するエリアといえる。
 なぜ、アウディが新型A6のお披露目の場にここミラノを選んだのかは、すでにその時点で大方の予想はついていた。とにかく、街中で、アウトストラーダで、アウディをやたらと多く見かけるのである。特にA8やA6といったアッパークラスのモデルが幅を利かせており、メルセデスやBMWは、はっきりいって影が薄い。ミラノといえば、ヨーロッパの大都市の中でも、もっとも高所得層の割合が高い街として知られる。つまり、デザインとライフスタイルの国であるイタリアのビジネス・セレブリティたちは、いまこぞってアウディを選択しているというわけだ。ゆえに、アウディはここ“ブランドシティ”ミラノを、デザイン変革の先鋒でもある意欲作、新型A6発表の場として選んだのである。
 さて、'97年のデビュー以来、全世界で100万台を上回るセールスを記録した従来型A6、コードネームC5を受け継ぐ新型は、まずひと回り大きく成長したボディがトピックのひとつ。スリーサイズは全長が従来型比+120mmの4916mm、全幅が+45mmの1855mmで、全高のみ変わらずの1459mm。ホイールベースも83mm延ばされた2843mmとなり、見た目にはA8とほぼ変わらぬ堂々たる体躯を誇る。それでいて妙な重々しさを感じさせないのは、やはりエクステリアデザインを担当した和田智氏の力量に負うところが大きいといえるだろうか。
 従来型のA6がデビュー当時、いわゆるバウハウスの流れを汲む、虚飾を排し機能主義に徹したデザインで高い評価を受けたのは記憶に新しいところだが、一方では「クールにすぎる」という声もカスタマーから上がっていたのだという。たしかに僕自身、従来型のツルンとしたシンプルなデザインには諸手を上げて絶賛したものだったが、そこにある種の機械的な冷たさ、静けさを感じていたのは事実だ。エモーショナルではあるのだが、それは気持ちの高ぶり、いわゆる高揚感とは違い、デザインがデザインで完結してしてしまっているような、いわば抑圧された美しさであった。ある意味で、クルマから突き放された感じとでもいおうか。
 そこで、和田氏が新型A6のエクステリアデザインに掲げたテーマのひとつがヒューマニティ、いわゆる人間味であったという。いわば、静から動への転換である。そして、それを象徴するのが、従来のダブルグリルをクロームメッキの枠でひとつにしたシングルフレームグリルである。A8 W12で先行採用されたこれは、今後アウディ各モデルに順次採用されていく予定で、従来型のそれとは比べるまでもなくダイナミック、周囲に圧倒的な存在感を漂わせる。
 ボディラインも、一転してウェッジシェイプが強調されている。フロントフェンダーからリアへ向けて一直線に伸びるショルダーライン、さらにフロントバンパー下部からサイドシル、リアバンパー上部へと緩やかに弧を描くラインなどにより躍動感を演出。それでいて、クーペのごとき弓なりのルーフラインや6ライトのウインドーグラフィックは従来型から継承され、ひと目でA6と分かるスタイリングを創出している。
 また、トランクリッドはややキックバックした形状となっているが、これは空力を考慮したため。TTクーペの登場時、リアのリフトアップが社会問題になったことを受け、デザインの過程でも10%以上の時間が空力対策に費やされたのだという。ちなみに、Cd値は0.28と抜群の空力特性を誇る。
 
  スポーティなエクステリアとするべく、デザインはハイパフォーマンスラインのS/RSシリーズから先行して進められたという今度のA6。ボディサイズの拡大は、やはりアメリカ市場を意識してのものという。
  サスペンションはフロントが4リンク、リアがA8からの流用となるトラペゾイタル(ダブルウイッシュボーン)という構成。ステアリングには速度感応式パワーアシストがつく。
  スポーツパッケージが装着されたSライン・モデル。車高が20mmダウンとなるスポーツサスや、245/40ZR18のピレリPゼロ・ロッソなどで主にフットワークが強化される。
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