ミッドシップに搭載するV10エンジンが生み出す500psを、軽量なアルミ製ボディと4WDシステムで受け止める……。
そこからも容易に想像されるように、ガヤルドが発揮するパフォーマンスは並大抵ではない。
当然、マッチアップの相手も並みでは務まらない。
選ばれたのはポルシェ911ターボ。
カテゴリーの代名詞ともいえるベンチマークだ。
リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|赤松 孝|T.Akamatsu
ポルシェ対ランボルギーニ。これがディアブロ初期モデル以前だったら答えは簡単だった。もちろん、ポルシェの勝ちで決まりだ。好き嫌いではなく、クルマの完成度という点で圧倒的にポルシェに分があるからだ。しかし、ガヤルドとなると話はまったく違ってくる。この両車のパフォーマンスや面白さ、あるいは刺激、もっといえば「毒」といったものまで含めて天秤にかけたとき、信じられないかもしれないが、ボクはどちらを選ぶべきか真剣に悩んでしまう。
4月号でガヤルドの試乗記を本誌に書かせてもらったが、まさにあの通り。ガヤルドは、とてつもなくヤバいクルマなのだ。信じられないほど乗りやすく、ブッたまげるくらい速い。加速性能ばかりではなく、コーナリングスピードも高い。その意味で、ガヤルドはスーパーカーというよりは、むしろスーパースポーツに軸足を定めて造られたクルマだといっていいだろう。ランボルギーニの目指す性能を、アウディのクオリティコントロールで作り上げたスーパースポーツが、ガヤルドなのだ。
一方、911ターボはあくまでもポルシェであり、その冷静沈着なクルマ作りは、たとえ420psを発揮するターボであっても変わらない。むしろ、ターボモデルにこそ、ポルシェの冷静さが形になって現れているといっていい。
その証拠に、911ターボの積むフラット6は、ハイパワーでありながら驚くほどフラットなトルク特性を獲得している。カタログデータを見ればさぞや暴力的な加速をするのだろうと思えるが、実際に乗ってみると、パワーフィールはあっけないほど理性的で身体に馴染むのだ。ポルシェのポルシェたる所以は、その抜群のインフォメーション性にあるのだろう。
それでは、具体的に2台を比較しながら各部を観察してみよう。
まずエンジン。ガヤルドは90度V型10気筒DOHC40Vユニットを搭載し、4961ccの排気量から500ps&52kg-mを発揮する。一方の911ターボは、水平対抗6気筒DOHC24V+ツインターボで、3600ccの排気量から420ps&57.1kg-mを発揮する。
排気量とパワーでは圧倒的にガヤルドだが、トルクではツインターボがものをいって911ターボが逆転する。実際、上りの高速ワインディングを走らせると、911ターボのほうが車速のノリがいい。しかも最大トルクの発生回転数からもわかるように、911ターボは極めてフラットなトルク特性になっている。圧縮比が高いため、エンジンのレスポンスもいい。
そのターボはエンジンのパワーとトルクをアシストしているような効き方で、たとえばインプレッサやランエボのように過給に任せてパワー&トルクを捻り出すというような感触は薄い。もっとも、パワーバンドに乗ったときの加速は、インプレッサやランエボを軽く凌駕するが――。
片やガヤルドは、エンジンを回せば回すほどパワーが伸び上がっていくような、典型的なハイチューンNAエンジンのフィーリングだ。とはいえ、排気量が5リッターもあるから、2000rpmも回せば極太のトルクを発揮してくれる。エキゾーストサウンドも猛々しく、刺激に満ちている。相対論でいえば速さの911ターボ、刺激のガヤルドといったところか。
ハンドリングはどうか。「これは911ターボだろう」と大方の人は想像するだろうが、旋回スピードの高さではガヤルドに軍配が上がる。車重が1430kgしかなく、しかも全高が1165mmという低重心のメリットをしっかり引き出して、抜群のコーナリング性能を発揮するのだ。4WDという駆動方式によるノーズの動きの鈍さも皆無といってよい。軽快さはないがシャープさはあり、舵に対する応答もすこぶる正確だ。
911ターボも車重1530kgと意外に軽量だが、それでもガヤルドより100kg重く、全高も高い。また、ガヤルドの硬く引き締められたショートストロークのサスペンションに対し、911ターボはしなやかで、ある程度ストロークするサスペンションを採用していることが、旋回スピードの差になっているのだろう。
ただし、ガヤルドはあまりの限界の高さに、それが見えにくいという不安感が常につきまとう。それに対して、911ターボはハードコーナリングでステアリングを切り出したときや保舵しているときに、一連の911シリーズに共通するステアリングの捻れ感こそあるものの、それがステアフィールを損なうことがなく、ステアリング・インフォメーション性という面ではガヤルドよりも(不思議と)優っているように感じられる。
そして限界近くまで攻め込むと、サスペンションがバンプラバーにはね返されるような上下の揺れが出て、それと教えてくれる。しかも、この揺れは決して不安や恐怖を感じさせるものではないので終始、ある程度の安心感を持って走らせることができるのだ。
こうして見てくると、911ターボにやや分があるように思えるが、この両車の違いは、どちらが優れているかではなく、作り手の考え方の違いによるところが大きい。そして、どちらが勝っているかも、その人のスタンスによって変わってくるはずだ。そう、立場によってはガヤルドに軍配が上がる可能性もあるわけで、ボクが今この2台のうち一台を選べるならガヤルドを選ぶだろう。
というのも、実はガヤルドを真剣に走らせようとすると、体力をかなり消耗する。つまり体力に余力のあるうちにガヤルドを存分に楽しんでおいて、体力の衰えを感じたら911ターボにスイッチするのだ。ちょっとズルイ結論かもしれないが、ポルシェの魅力と出来の良さを十分理解した上で、ボクはガヤルドをそう評価している。
LAMBORGHINI GALLARDOのエキゾーストノート
PORSCHE 911 Turboのエキゾーストノート
PORSCHE 911Turbo
LAMBORGHINI GALLARDO
■全長/全幅/全高(mm)
4435/1830/1295
4300/1900/1165
■ホイールベース(mm)
2350
2560
■車両重量(kg)
1530
1430
■エンジン種類
水平対向6DOHC24V+ツインターボ
V10DOHC40V
■排気量(cc)
3600
4961
■最高出力(ps(kW)/rpm)
420(309)/5700
500(367)/7800
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
57.1(560)/2700〜4600
52.0(510)/4500
■トランスミッション
6MT
6MT
■サスペンション(F:R)
ストラット:マルチリンク
Wウィッシュボーン:Wウィッシュボーン
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)
225/40ZR18:295/30ZR18
235/35ZR19:295/30ZR19
■東京標準現金価格
¥17,640,000
¥18,585,000
問い合わせ先
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税込み価格です。
■広告■
Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved.