エンジンはクルマのキャラクターを決める重要なファクターだ。
だが、そのキャラクターは千差万別。
パワーを楽しむかストーリー性に酔うか、
それとも燃費で選んで、浮いたお金でその分、人生を楽しむか。
さて、直4からV6まで、萩原氏の琴線に触れたエンジンは――

 13台の試乗車が積むエンジンのバリエーションは多彩だが、ほとんどのモデルが主力にしているのは直列4気筒だ。多気筒と比べると廉価版エンジンのように思われがちだが、主力エンジンだけにBMWやアルファ・ロメオは最新の技術を真っ先に投入している。
 318iのエンジンは、最高出力143psを発揮。数値的な性能は2リッターとしては控えめだが、体感的にはそれ以上の力強さを感じる。しかも、アクセル操作に対する応答性が際立って鋭い。バルブトロニックは、スロットルバルブを使うことなくシリンダー付近のバルブで吸気を制御するからだ。
 組み合わせる5ATはギア比が低めであり、1速から3速までがクロスしている。そのため、トルクが充実した回転を維持しやすく、2速で登り勾配のタイトコーナーを立ち上がる場面でも、アクセルを踏めば即座に力強さが得られる。そのままアクセルを踏み続ければ、6000rpmプラスまで一気に吹け上がる。そして3速にアップシフトされると、エンジン回転数が5000rpmあたりに乗る。まるでクロスレシオのMTを操っている感覚だ。ATをマニュアル操作することが楽しくなる。
 それでいて、バランスシャフトを採用するので吹け上がりは全回転域で滑らかだ。アイドリング中の振動もほとんど感じない。エンジン音には少しだけ金属質の硬さが混ざっているが、それが不快感に結びつく心配はない。今回は試す機会がなかったが、このエンジンは低燃費であることも特徴だ。
 アルファ156は、JTSと呼ぶ2リッター直噴エンジンを搭載する。直噴といっても、日本車のように超希薄燃焼のための技術ではない。JTSは1200rpm以下に限って希薄燃焼を行なうが、基本的にはシリンダー内に燃料を直接噴射することで燃焼効率を高め、燃費や排出ガスの浄化性能を向上。さらに噴射タイミングを高精度で制御できるので、アクセル操作に対する応答性も鋭くなる。
 実際に、低回転域のトルクはやや細いものの、2000rpm台の後半からは力強さが増してくる。3000rpm台に乗れば、アクセル操作に即応する応答性が得られる。吹け上がりは、鋭いというよりも軽快だ。低周波域を巧みに混ぜたエンジン音も、吹け上がり感の気持ちよさを際立たせる。同じアルファ・ロメオでも、2リッターツインスパークのような荒々しさは感じない。それを物足りなさと考える人もいるだろうが、エンジンとしては間違いなく進化している。
 回転の上昇に雑味を感じることもなく、高回転域は最高出力の166psを発揮する6400rpmまでパワー感を維持する。その先ではパワー感が頭打ちになるものの、低いギアでフル加速すると、勢いでレブリミットの7000rpmまで吹け上がる。アクセルを一定に保てば、アルファ・ロメオとしては異例なほどの静粛性を実現し、こもり音も抑えられていた。
 ほかにも、今回の企画で紹介するクルマの中ではベクトラGTSとC5が過給器のない直列4気筒エンジンを搭載。特別な技術は採用していないが、どちらも実用回転域の力強さが充実しているエンジンだ。特にベクトラは吹け上がりが滑らかであり、意外なほど高回転域の伸びがいい。C5は、4ATのギア比が高いために加速の鋭さは期待できないが、積極的にダウンシフトさせれば潜在的な力強さを引き出すことができた。
 さて、同じ直列4気筒エンジンでも、過給器を組み合わせると力強さがさらに際立ってくる。9-3エアロが搭載する2リッターターボエンジンは、最高出力209psを発揮。最大トルクも30.6kg-mに達する。このターボチャージャーは過給の立ち上がりが素早く、3000rpm台に乗っていれば自然吸気と大差ない応答性を示す。市街地の流れに合わせるだけであれば、1000rpm台の後半からでも不満のない加速がこなせる。
 驚くことに、高回転域の伸びもいい。最高出力は5300rpmで発揮するが、それを超えてもパワー感の頭打ちがない。6000rpmまではパワーが高密度で詰まっている感覚が得られ、5ATをマニュアル操作すれば6400rpmまで難なく引っ張れる。ただ、高回転域では迫力あるエンジン音を響かせるが、そのボリュームはいささか大きめだ。9-3エアロは、走りを優先する人のためのモデルと考えた方がいい。
 A4 1.8Tも、走りを優先させたモデルだ。ターボチャージャーは、いきなり過給を立ち上げる設定ではないが、身震いしながら回転が上昇するような吹け上がり感は、洗練のアウディという印象とはひと味異なる迫力がある。
 

熊倉重春 Shigeharu Kumakura

1st. アウディA4
2nd. Wパサート
3rd. メルセデスC180K
萩原秀輝 Hideki Hagiwara

1st. BMW 318i
2nd. フォード・モンデオ
3rd. アルファ156
斎藤 聡 Satoshi Saito

1st. BMW 318i
2nd. アルファ156
3rd. アウディA4


MERCEDES-BENZ C180K★★★☆
  こもり音と吹け上がりの重さを除けば文句の付けようがない。過給を意識すると低回転域から十分な力強さが得られる。ギア比が低めな5速ATとの相性がよく、走りも活発。

BMW 318i★★★★☆
  こうして比較すると掛け値なしに素晴らしいエンジンだ。吹け上がりの滑らかさは4気筒では最高レベルであり、バランスシャフトがパワーロスに結びついている感じもしない。

AUDI A4★★★
  過給に頼り切っていないので、中回転域からいきなり力強さが増すことがない点が好印象。実用性と刺激を巧みにバランスさせている。ただ、吹け上がり感はやや荒い。

VW PASSAT★★☆
  VWは気筒配列に凝っている。W型のベースになっているのもこの狭角V型エンジンだ。超コンパクトに多気筒化ができるが、狭角V型の回転バランスには疑問がある。

OPEL VECTRA GTS★★★★
  燃費に配慮したエコテックと呼ぶ2.2リッターの直4は、オールアルミ製で軽量コンパクト。最高出力は147psと控えめだが、力強さの不足は感じない。吹け上がりも滑らかだ。



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