ハイテクを駆使し、オン/オフ問わない抜群の走破性能を発揮するVWトゥアレグが上陸し、まさに強者が出揃った日本のSUV市場。
各メーカーの思想に基づく付加価値が与えられたSUVたちだが、
真に求められる“+α”は何なのか? 安全性、ユーティリティを
武器に異なるベクトルを示す、ボルボXC90とともに検証してみる。

リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara  フォト|郡大二郎|D.Kori


 '03年のデトロイト・ショーは、「まるでSUVショーのようだった」といっても過言ではない。そこまで過熱したのは、火付け役が存在したからに他ならない。それは、メルセデス・ベンツのMクラスとBMWのX5だ。アメリカ市場における両車の成功を目の当たりにした他の欧州メーカーが、同時期に企画開発を進めた結果、'03年のデトロイト・ショーでSUVが主役になったという想像に大きな誤りはない。
 それだけに、後発のVWトゥアレグやボルボXC90は、MクラスやX5にない特徴を備えている。トゥアレグはSUVというよりもクロスカントリー4WDと呼ぶにふさわしいオフロード性能を備えていることに注目。CDCエアサスペンションを装備したV8モデルでは、何と300mmもの最低地上高を確保することができるのだ。
 この数値は、まさにオフロードを走るときに心強い味方となる。オフロードでも、クルマが走ることを前提にした道であれば乗用車でも路面を選べば走れる。だが、道を外れた場合はそうはいかない。そうした場面に遭遇する可能性は日常では考えられず、あえて道を外れることは環境破壊になるという指摘もあるだろうが、道なき道を走れる走破性能を持つということは、その事実を知るだけでも気持ちが高揚してくるはずだ。
 その他にも、急勾配の下り坂での速度を自動制御するHDAや、減速比を通常よりも大きくして45度の勾配を上れるだけの駆動力を獲得するLOWレンジモードなどを備える。それでいて、トゥアレグは現場作業車的な無骨さを一切感じさせない。スイッチ操作ひとつで最低地上高は通常の210mmまで下がり、オートを選択すると高速域ではそれが160mmまで下がる。なおかつ、ダンパーの減衰力は常に連続可変制御される。そのため、オンロードではサルーンカー的な快適性とスポーティカー的な操縦安定性を獲得している。
 エンジンは、きわめてパワフルだ。今回の試乗車は4.2リッターのV型8気筒エンジンを搭載していたが、高回転域の伸びがよく、6速ATをパドルシフトでマニュアル操作する楽しさまで与えてくれる。
 そして、ズラリと揃ったドイツ勢のSUVに正面から挑んできたのが、スウェーデン製のXC90だ。トゥアレグのようにオフロード性能を向上させる機能は備えていないが、ラフロードでの走破性に不満はないはずだ。
 XC90で注目すべき点は他にある。それは、安全性の高さだ。ボルボのパッシブセーフティの高さには定評があるが、XC90はSUVのアクティブセーフティに独自のこだわりを持つ。SUVは車高が高いために、横転の可能性を無視できない。その危険性を検知してトラクションコントロールやブレーキ制御により安定性を確保。こうした取り組みをしているSUVはXC90だけだ。
 さらに、エステート系で培ってきたスペースユーティリティの高さをXC90でも存分に発揮している。特に3列目シートの使い勝手は、アイディア満載の日本製SUVでさえも敬意を払うだろう。
 走りの性能については、いい意味のルーズさを感じる。そのため、ステアリングは中立付近の応答性に少しばかり曖昧さを感じ、高速コーナリング中にレーンチェンジをするような走りには向かない。だが、高速域でも直進状態であれば勝手に突っ走ってくれるような安心感がある。
 エンジンは想像以上の力強さを発揮。試乗車となったT-6は、低回転域から充実したトルクが得られるので、アクセルを深々と踏まなくても余裕ある走りがこなせる。こうした、大らかなテイストは、ドイツ勢にはないXC90ならではの魅力だ。
 

  CDCエアサスや車高調整機能、HDA等のハイテクによって、ドライバーに高度なテクを要求せずとも、本格的なクロカン4WDに引けを取らない悪路走破性を発揮する。
  VW初のV8エンジンを搭載。オンロードでは余裕のパワー&トルクでSUVらしからぬスポーティな走りを披露。ドライバーを刺激する豪快なV8サウンドも魅力のひとつ。
  インパネ回りはいたってシンプルな造形。スポーティな走りを楽しめるパドルシフトはV8に標準装備。車高調整スイッチ、CDCエアサス調整スイッチは、ATセレクター後方に並ぶ。
  前席には12ポジションが調整可能な電動パワーシートが標準装備で、サイドサポートまで暖めるシートヒーターも付く。前後席の居住性はきわめて高い。



床下に消えてなくなる魔法の3列目シートをはじめ、ミニバン並みに広い室内スペースなど、スペースユーティリティの高さではダントツのXC90。全長4800×全幅1900×全高1780mmで、ボルボのファミリーアイデンティティを継承するスタイリッシュなデザインも◎。試乗車のT-6には272psと38.7kg-mを発生する2.9リッター直6+ツインターボエンジンが搭載。ミッションは4AT。価格は6,950,000円(ボルボカーズ・ジャパン)。
SPECIFICATION
VW TOUAREG V8
■全長/全幅/全高(mm)
4755×1930×1730
■ホイールベース(mm)
2855
■車両重量(kg)
2390
■エンジン種類/排気量
V8DOHC40V/4172cc
■最高出力(ps(kW)/rpm)
310(228)/6200
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
41.8(410)/3000-4000
■トランスミッション
6AT
■サスペンション(F:R)
Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ
255/55R18(8J)
■東京標準現金価格
6,450,000円
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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