
アクティブ・フロント・ステアリングを筆頭に、革新的なハイテクの採用でアッパーミドルクラスの世界に新風を吹き込んだ5シリーズ。
果たして、そこに盛り込まれた新機軸の数々は、今後クラスのスタンダードとして受け入れられることになるのか?
北欧の正統派サルーン、サーブ9-5とともに検証してみる。
リポート|島下泰久|Y.Shimashita フォト|柏田芳敬|Y.Kashiwada
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新しい5シリーズが、というよりも最新のBMWラインナップすべてが従来から大きく変化してきているものといえば、デザインであったりドライビングダイナミクスであったり、あるいはその他にも色々とあるのだが、実はインターフェイスの変化も、無視できない大きな要素のひとつといえる。
知っての通り、かつてのBMWのインスツルメントパネルは、センターパネルが明確にドライバーの側を向いた、まさにコクピットという言葉が相応しいものだった。しかし、最近それが確実に変わってきている。端的にいって、より開放的な空間が演出されているように思えるのだ。
そして、それは決して見た目の変化だけを追ったものではない、というのが僕なりの分析である。その目的は何かというと、ますます増える電子デバイスやアメニティ装備の操作をできるだけ簡略化して、ドライバーを運転に没頭させるため。そうして、BMWの何よりの自慢であるダイナミクス性能を、よりストレートに堪能させるための変化であるとはいえないだろうか。iDriveなどは、まさにその典型といえる。
サーブ9-5は、その点では間違いなく守旧派に属するモデルだ。ドライバーの周囲を取り囲むように、計器やスイッチがズラリと並ぶ様は、それこそ昔ながらのコクピットの雰囲気に近い。これぞ飛行機屋であるサーブの個性だといえば、そうかもしれない。だが、そのアイデンティティの源泉である飛行機にしても、いまや計器の簡略化や操作系の簡素化が進み、その景色は一変しているのが現実なのである。
最近のBMWの運転席回りは、そうした古いルールから解き放たれた感がある。クルマ任せにできる部分は任せて、自分は運転に集中する、没頭する。そう、この変化はBMWにとって、ハンドリングの改善と同様に、ドライビング・ファンを深化させるための手段のひとつなのだ。
もちろん、そうまでして気持ちを向けさせようというくらいだから、その走りは期待を裏切らない。アクティブ・ステアリングやダイナミック・ドライブなど、これでもかと投入された新技術は、どれもこれまでにない走りの歓びに繋がっている。そしてその一方で、直列6気筒エンジンという、守られ続けてきた至宝がいまなお輝きを放ち続けているというコントラストは、実に趣深い。こうしたブレない軸があってこそ、盛り沢山の新技術もギミックには終わらないということなのだろう。
一方の9-5は、さすがに設計年次の古さは隠しようがないのは事実で、その走りから洗練という言葉を見い出すのは難しい。が、面白いのは、だからといってそれが必ずしもネガではないということだ。人間工学的に煮詰められ、固めの座面が隙間なく身体を支える5シリーズのシートとは正反対に、ざっくりとしたクッションで身体を包み込む大きめのシートも心地良さのポイントで、アナクロかもしれないが、正直これもありだよな、と思ったのは事実である。
いずれにせよ、昨今のBMWの劇的な変貌ぶりは、決して変化のための変化ではないということだ。すべてはBMWブランドを支える一番の価値、走りの歓びに通じている。もちろん、その歓び自体も時とともに変化しているわけだが、この5シリーズでは、そんなBMW流の走りの進化と、エクステリアやインターフェイスの変化が、見事な統一感を見せる。
これだけの変貌を、結果的に誰にも納得させてしまう5シリーズの強い説得力は、まさに全身に、そうした太い一本の筋が貫かれているからこそ得られたものなのだろう。そう、その運転席回りの眺めにすらも。
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| SPECIFICATION |
BMW 525i |
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| ■全長/全幅/全高(mm) |
4855×1845×1470 |
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| ■ホイールベース(mm) |
2890 |
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| ■車両重量(kg) |
1580 |
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| ■エンジン種類/排気量 |
直6DOHC24V/2493cc |
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| ■最高出力(ps(kW)/rpm) |
192(141)/6000 |
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| ■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm) |
25.0(245)/3500 |
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| ■トランスミッション |
6AT |
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| ■サスペンション(F:R) |
ストラット:インテグラルアーム |
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| ■ブレーキ(F:R) |
Vディスク:Vディスク |
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| ■タイヤ |
225/55R16 |
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| ■東京標準現金価格 |
5,700,000円 |
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| 問い合わせ先 |
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| ※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。 |
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走行モードに合わせてステアリングレシオを連続可変するアクティブ・フロント・ステアリングを搭載。なお、可変スタビライザーのダイナミック・ドライブは545iのみに標準。 |
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日本仕様のエンジンとしては最もベーシックな2.5リッターストレートシックスながら、その軽快な吹け上がりはショートストローク型ならではの美点。ミッションは6速ATのみ。 |
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iDriveのダイヤルに機能を集約し、操作スイッチの類を極力排除したインパネ回り。メーターパネルとセンターディスプレイそれぞれにナセルを持つダッシュ形状も、7シリーズからの流れを汲むものだ。 |
525i/530iのシートやドアトリムは、レザーではなくファブリック仕立てが標準。後席は2:1分割可倒式だ。また、エアバッグはITSヘッドエアバッグをはじめ計8個が装備される。

'97年デビューゆえ、さすがに設計年次の古さを感じさせ始めた9-5ながら、フラットな乗り心地やリニアに吹け上がるターボユニットはいまだ一線級。全長4830×全幅1795×全高1475mmで、やや前傾姿勢のプロポーションはかなりスタイリッシュ。エンジンは2.3リッター4気筒+ターボで、試乗車の2.3TSエアロには250psと33.7kg-mを発揮するハイチューン版が搭載。価格は5,350,000円(日本ゼネラルモーターズ)。
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