
特集のプロローグを飾るのは、おそらく世界のビジネスシーンにおいて、最もVIPの移動手段として活躍しているであろうジャーマン・フラッグシップの3台だ。
各ブランドの頂点をきわめる存在だけあり、いま考え得る先進テクノロジーがいち早く投入、ある意味で各々のクルマ作りに対する哲学が最も色濃く反映されているこのクラス。 ニューA8の日本導入を機に、にわかに色めき立ってきた。
リポート|小倉正樹|M.Ogura(本誌) フォト|五條伴好|B.Gojo |
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もしも、この三大ブランドにキーワードのようなものを与えるなら、メルセデスが“トラディショナル”、BMWが“スポーティ”、アウディが“コンテンポラリー”というところではないだろうか。 その構図をいえば、遠い昔からひたすら高級車の王道を歩み続けるメルセデスに、戦後ドライバー・オリエンテッドな新しい高級車像を示して猛追したのがBMW。そして、この2強に対して、4WDやアルミボディといった先進テクノロジーを武器に、第三勢力として急激に力を付けてきたのがアウディといえる。 まず、その外観を観察してみる。 一般的に、よく練り込まれて最も高級車然としているのはメルセデスのSクラスとされる。しかし、最も押し出しが強く、存在感があるのはBMWの7シリーズ。アウディのA8は、最も新しいフォルムを持ち、単体で見ればそれなりの存在感を持つが、Sクラス、7シリーズに比べると、やや押し出しが弱い。ただし、きわめて精緻な感覚があって、これだけは他に優る。トップエンド・サルーンのエクステリアデザインでなにが重要なポイントであるかは人それぞれであって、どれがベストと決められるものではないが、周囲に与える印象はおおよそこんなものであることは間違いない。 ブランドのポリシーといったものがより強く感じられるのは、むしろ室内のデザイン。特に主張が感じられるのはダッシュボードのデザインだ。 BMW7シリーズの室内は、センスのよさが光る。華麗なデザイナーズブランドの高級家具といった趣を持ち、そこには癒される感覚もある見事なもの。ただ、戸惑うのは、他でもない操作系だ。操作は基本的に指で押したり、下げたり、上げたりするだけ。パソコンのマウスをクリックする感覚で、まったく力というものを要しない。その観点では徹底しているが、慣れるまでに神経を使うことは確か。注目の“iDrive”に至っては、慣れる前に学習自体を放棄してしまう可能性が高いことも否めない。が、これこそがBMWのいう革新なのである。 メルセデスSクラスは外観同様、練り込まれたインテリアデザインで、インとアウトに違和感はない。とりわけ、ダッシュのデザインは自ら作り出した文法をキチッと守って、一分の隙もない。主な操作系は、ライトはここ、ワイパーはここと、意識せずとも手が伸びる。予備知識なしに新しいモデルに乗っても、すぐ走り出せてしまうのがメルセデスなのである。メルセデスの安全に対する基本姿勢がここに見える。 色々な意味で一番普通と思えるのは、したがってアウディA8である。惜しいのは、高級な素材を使いながら、どこか華やかさに欠けるキライがある点だ。ホンモノのアルミ素材をアチコチに使いながら、つまりコストはかけておきながら、デザイン的な統一感の乏しさで、むしろゴタゴタした感じが出てしまっている。インとアウトに少し違和感が存在するのである。操作系もまあ普通というところか。乗ってすぐに走り出してほとんど問題はない。アレコレ触って間違えているうちに、学習を終えてしまうことができるからだ。 |
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