3大ブランドのもつエッセンスを、もっとも濃密に味わうなら、このプレミアム・サルーンが最適なカテゴリーといえるだろう。
なぜなら、このクラスのサルーンはクルマとしての基本性能を完璧に満たしながら、なおかつ独自のテイストを表現しているからだ。
ここではメルセデス・ベンツE320、BMW530i、アウディA6を連れ出し、それぞれのもつ「+α」の魅力を解き明かしてみる――。


リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|郡大二郎|D.KORI

 一般論としてセダンに求められる魅力は、当たり前の価値を完璧に満たしていることだ。ただ、当たり前の価値が何になるのかは人それぞれに異なる。
 たとえば、落ち着きのある佇まいに価値を見出す人は、メルセデス・ベンツEクラスに注目するだろう。現行モデルはスポーティさも感じるが、フロントグリルの存在感やその上に輝くスリーポインテッドスターなど、最高級セダンとしての記号性も備えている。
 それに対し、BMW5シリーズは落ち着きではなく躍動感がみなぎる。それは、セダンとしての当たり前の価値からは離れている。だが、だからこそ価値を見出す人もいるはずだ。シルエットは典型的なセダンだが、多彩な表現を用いたデザインからは、このクラスの新たな価値を感じるに違いない。
 アウディA6は、落ち着きのある佇まいを感じさせるものの、表現の仕方はEクラスとは異なる。クルマとしての当たり前の価値というのではなく、最新の建築物が見せる落ち着きを取り入れているかのようだ。5シリーズとは正反対の折り目正しい面と線の構成は、A6に静的でありながら都会的な洗練度も与えている。
 インテリアはどうか。セダンに求められる当たり前の価値は、豪華さや室内スペースの広さだ。Eクラスは、そのすべてを満たす。ディテールに技巧を凝らし、トータルで見れば常識的なまとまりを示すが適度な華やかさも感じさせてくれる。このクラスのセダンとしては室内スペースが広い方だ。特に、前席の頭まわりの余裕は上級モデルのSクラスにさえ勝る。
 5シリーズのインテリアは、エクステリアのデザインをそのまま受けてトータルに技巧を凝らしている。これまでのセダンにはないリズム感をインテリアで表現し、気持ちを良い意味で高揚させる。室内スペースの広さも十分に確保し、3車のなかでは最もホイールベースが長いため、後席の足元スペースにはかなりの余裕がある。
 A6のインテリアは、エクステリアと比べると基本的には無難なまとまりを見せる。あえて技巧を凝らしているようなデザインを用いていない。ただ、樹脂類の質感は3車のなかで最上といえる。また、試乗車はSラインと呼ばれるスポーツパッケージを装着したモデルだったので、トリム類にはマットアルミパネルを採用し、クールな雰囲気も演出している。室内スペースは、クラスの平均レベルといったところだ。
 









'03年にフルモデルチェンジを受け、E60型へと移行した5シリーズ。日本仕様は525i、530i、545iという3モデルをラインナップしている。試乗車は231ps&30.6kg-mを発揮する3リッターの直6DOHC24Vユニットを搭載した530iで、電動ガラスサンルーフ、ダコタ・レザー・インテリア、ダーク・メイプル・ウッド・トリムなどがプラスされたHi-Lineパッケージである。アクティブ・ステアリング、ダイナミック・ドライブといった先進の装備も充実している。

 
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