
実用性とプレステージ性を完璧に両立する類い希な存在。
そんなEクラスワゴンのラインナップに、3つの新モデルが加わった。 ひとつは話題の7速AT、7Gトロニックを搭載するE500。 そしてワゴンの原点である機動性を飛躍的に高めたE320
4マチックと、頂点といえる存在、E55 AMGがそれ。 このうち、後者2モデルに試乗した。
リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|郡大二郎|D.Kori |
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あいにくのウェットコンディションだった。クルマはAMGのE55ステーションワゴンである。Eクラスのステーションワゴンに5.5リッターのV型8気筒エンジンを搭載するだけでも、想像のつかない走りをしそうだ。そのエンジンに、スーパーチャージャーを組み合わせ476psを発揮するというのだから、ドライコンディションでも身構えてしまいかねない。 アクセルを踏み込んでみる。その瞬間に、強大なトルクが背中を押す。超現実的な476psよりも、71.4kg-mという最大トルクを気にした方がいいということなのか……。このエンジンは回転数でパワーを稼ぐのではなく、全域で過給効果が得られるスーパーチャージャーの威力により、シリンダーへ盛大に混合気を詰め込みトルクを引き出している。なおかつ、応答性が鋭いだけにアクセルを踏む右足の動きが、そのまま加速に置き換えられる。 ただ、今回ばかりはアクセルを床まで踏み込むまでもなく、メーター内でESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)の作動を示すコーションランプが点灯する。とはいうものの、その制御が自然なのでコーションに気付かなければ違和感なくアクセルを踏み続けられるはずだ。機能としてはエンジンのトルクを絞りつつ、スタート時はトラクションが抜け気味となるホイールにブレーキをかけているのだろうが、それでも加速の強烈さは実感できる。クルマそのもののトラクション性能が優れているのだろう。 試しにESPを解除してみる。正確にいえば、ESPを完全解除することはできず、トラクションコントロール機能だけが停止になる。さすがに、こうなるとリアタイヤは路面を滑るばかりだ。スタート時はアクセルを踏む過程からホイールスピンが始まり、エンジン回転数だけが上昇する。2速にシフトアップされてもホイールスピンはまだ収まらない。 だが、そうした状況でもスタビリティを失わず、直進性は確保される。コーナーでアクセルを踏みすぎた場合もESPに残った制御が働き、危険な状況に至ることはない。そもそもESPを解除しなければ、何の問題も生じない。加速時と同様に、制御の違和感がないので強大なトルクを有効に生かしながら、ウエットコンディションでもスポーティに走れるのだ。 サスペンション自体はAMG専用の設定となっている。だが、ガチガチに固められているというわけではない。適度に引き締められているといった印象を抱く程度であり、エアマティックDC(デュアルコントロール)を組み合わせているので、加減速やコーナリングでボディが無駄な動きをしない。基本的にフラットな姿勢を保つので、快適性の面でも十分な満足感が得られるのだ。 さらに、4リンク式となるフロントサスペンションは、アンチダイブ機能を採用する。そのため、ブレーキング中の姿勢が安定している。ボディ全体が、まさに路面に吸い付くように減速するので、ウエットコンディションでも確かな接地性を獲得。したがって、万一の際には高速域からでも思い切ったブレーキングができそうな、クルマに対する信頼感が持てる。 SBC(センソトロニック・ブレーキ・コントロール)は、素直な操作感を実現している。日常においても右足の微妙な力加減に忠実な反応を示すので、こうした超現実的なハイパフォーマンスカーであっても、ラグジャリーサルーンのような洗練された走りを導き出すことが可能。もちろん、ステーションワゴンとしての機能はいささかも損なわれてはいない。
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