エボリューションモデルに続いてはコンパクトスポーツ。
毎日気軽につき合うなら、やはりクルマは小さい方がいい。
肩肘張らず、軽快に街中を駆け抜けるのに適したコンパクトとは?
3車種それぞれが持つ個性、そしてアドバンテージを考える。


リポート|熊倉重春|S.Kumakura フォト|郡大二郎|D.Kori


 スッパリさっくり行動できてこそ、クルマは生きる。だったら、こんなに狭い日本だもの、やっぱりコンパクトで行くしかない。
 そこで選んだのが、アウディA3、メルセデスC180スポーツクーペ、BMW318tiの3台。メルセデスだけクーペと名乗っているが、この際A3も318tiもそう呼ぼう。どれも後ろにちゃんと乗れるとはいえ、フロントシートを倒してドッコイショと乗り降りするのはスマートとは言えない。やはりあくまで前だけ主役、むしろ後ろは畳んだりして、大きなテールゲートから荷物を放り込む、ちゃきちゃき身軽な3ドアクーペと解釈したい。ま、洒落た高級スニーカーという位置付けか。
 だったら記号性としては都会派、だったらファッションが第一となると、やはり最も新しいA3の存在感が光る。どこかボディの奥に引力の中心が潜むように引き締まり、ズシッと重量感あふれるのに堅苦しくないスタイリングは、摩天楼の谷間にも避暑地にも似合う。ただしドイツ系の常として、真夏のカンカン照りの中では暑苦しく見えるのが惜しい。
 カッコいいのは室内もそうで、いかにも精密な型から抜いたようなダッシュボードなど、これだけでアウディを選ぶ値打ちがある。ボンネットの中の眺めも、やたらカバーしたがる最近のドイツ勢にしては珍しく、配線類をきれいに引き回すなど演出に余念がない。
 走りの重厚感も一番で、きっちり腰を静めた姿勢のまま、どこまでも滑らかにオン・ザ・レール感覚を守る。ただし2.0FSI直噴エンジンは実際にはパワフルなのに、軽く踏んだ瞬間グイッと来るものが薄いので、なんだか頼りなく思える。ただし、それを補う6速ATが上出来なので、Dレンジで適当に踏んでいれば、常に最適の回転域を保てるから、結果として環境にも良さそう。このへん、知性派に訴えるものが濃い。
 そういえばエンジンは三者それぞれで、C180の4気筒は、最近とかく無機質っぽいメルセデスにしては例外的に、ちょっとラフな息吹がある。もちろんパワーも十分だが、ググーッと踏むとドライバーにまで元気が伝わる。ホイールベースがCクラスそのものなのに、後ろのオーバーハングだけ極端に切り縮めてあるので、一瞬ピュッと曲がり込む技など大得意、あえて言うならリッターカー並みの機動力が嬉しい。
 BMWは、なんといっても磨き抜かれた4気筒に先進のバルブトロニックだけに、もうこれ以上の自然な手触りはない。一事が万事で、全身くまなく自然さの塊だ。運転の手応えも、まるでタイヤまで神経が直結したかのような素手素足感覚だ。ただし、だからといって、ほかにはないMTを選ぶと左ハンドルしかないのが悩みどころ。クーペだけに大きなドアが、ぱきぱき行動するのに邪魔になる。
 で、ここまでは一長一短、贔屓のブランドを選びなさいということになるが、せっかく街でコンパクトに乗るなら、視界や車体感覚が良くないと意味がない。その点ではオーソドックスなボディの318tiが有利だ。もともとガラス面積が広いので、斜め後ろもよく見える。しかし、駐車などで後ろが最も把握しやすいのはC180だ。テールゲートの下にある第二のリアウィンドーが効果的で、子供がいても発見しやすい。それに対してA3は、振り向くと穴蔵みたいな感じだ。できれば日本車みたいな後方カメラが欲しいところ。コンパクトだから慣れれば問題ないとはいえ、やはりお洒落にはやせ我慢が付き物なのだろう。
 そういうわけで、スニーカーに例えれば、318tiは本当の運動靴、C180は凝ったエアクッション入り、A3は本革製のブランド物ということになる。

 



 
Mercedes-Benz C180
KOMPRESSOR SPORTS COUPE
BMW 318ti M-sport
Audi A3 2.0FSI Sport
■全長/全幅/全高(mm)
4345/1730/1405
4295/1750/1410
4215/1765/1415
■ホイールベース(mm)
2715
2725
2575
■車両重量(kg)
1450
1350
1390
■エンジン種類
直4DOHC 16V+SC
直4DOHC 16V
直4DOHC 16V
■排気量(cc)
1795
1995
1984
■最高出力(ps(kW)/rpm)
143(205)/5200
143(105)/6000
150(110)/6000
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
22.4(220)/2500〜4200
20.4(200)/3750
20.4(200)/3500
■トランスミッション
5AT
5MT
6AT
■サスペンション(F:R)
マルチリンク:マルチリンク
ストラット:セントラルアーム
ストラット:4リンク
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
Vディスク:Vディスク
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
205/55R16
F:225/45R17 R:245/40R17
225/45R17
■東京標準現金価格
\3,600,000
\3,470,000
\3,300,000
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。



■広告■

Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved.