もはやファミリーカーの主役はミニバンとなり、ボディ形状のクロスオーバー化が急速に進みゆくなかで、セダンの存在意義が薄まりつつあるのは確かだろう。
だからセダンがセダンであるためには、プラスαの価値が必要。
勝ち組、負け組を決めたのは、まさにそこだった。

フォト||郡大二郎|D.Kori


河口  5シリーズって不思議ですよね。なんかシーンによって、ぜんぜん印象が変わっちゃう。日本仕様はアクティブステアリングが標準じゃないですか? だから、何をやっても思い通りに動いちゃうというか、物理の法則をある程度無視してでもハンドルだけ切れば曲がっていくし、少しキモチワルイなと(笑)。でもクローズドコースで乗ると印象が違うんですよね。DSCを解除して走らせると、そういう違和感みたいなのがまったくなくなる。FRとして理想的な動きをするんです。それが不思議というか、よくこういうクルマができたなと。
萩原  そのあたりの違和感ってよくいわれるけれど、一般の人って実はそんなに経験値が多くないから、僕たち以上に素直に受け入れられるんじゃないかな。サーキットがおもしろかったのは、ダイナミックドライブとアクティブステアリングの相性がいいということもあるでしょうね。あとコーナリングブレーキコントロール。使い方がすごく緩くなってるんですよね、最近のBMWは。従来モデルの5が出たとき、あれを思いっきり効かせて、それこそ荷重にぜんぜん依存させないというか、ちょっと荷重移動するとアンダーになってたのを、それを使える方向にZ4から軌道修正している。
熊倉  そう、5シリーズはもう自分の運転のチャンネルをいままでのBMWと違えていかないと、よさが見えて来ないんですよ。一般的にいってBMWのユーザー、特に5シリーズのミディアムクラスのユーザーってのは急激な変化を好まない。自分のBMW像というか、過去に初めて乗ったBMWに教えてもらったものが身体に染みついてて、それをモノサシにしてほかのクルマも見ちゃうし、新しいBMWも見ちゃうって人が多いと思うんですよ。このあたりを思い切って5シリーズに投入してきたというのは、これはかなり度胸のある仕事じゃないかと思いますね。5シリーズに乗るには「ユーザーのモデルチェンジ」が求められる。それを求めることがいいことかどうかは別の議論だとして、クルマとしては理想型に向かっているわけだから、とても優等生的ないいクルマに仕上がっていると僕は思いますね。

萩原  新しいXJはボディ剛性を上げているし、サスペンションもどんどん引き締めているんだけど、ぜんぜんドイツ車っぽくないんですよ。「いい自動車」を目指していくと、結局ドイツ車っぽくなっちゃうじゃないですか。それをちゃんとジャガーのキャラクターでまとめてるところがスゴい。どうやってるのかわからないけど、自分のブランドをきちんと認識してる。
河口  僕のジャガーの原体験って先代のXJなんですよね。10年以上前に一度乗って、その後はまったく触れる機会がなかったんですけど、新しいSタイプとかXタイプとかが出て来たじゃないですか。それを自分で運転してみたときに、これはもうなんか、自分の知ってる感触というか雰囲気じゃないなと思って……。でも新しいXJは、乗った瞬間に、かつてXJに乗ったときと同じような感触を強く受けましたね。
熊倉  あのさ、たとえばメルセデスのEクラスやSクラスなんか、機械に任せてガンガン行けるじゃないですか。でもそれに比べると、XJは相変わらず生き物なんだよ。愛犬と付き合うような感じじゃないと。もの凄くメカニズムとしては優秀なんだけど、どことなくか弱い感じを残しているというかね。ドアなんかをバターンと叩きつける気にならないでしょ。あれはもう、わざと繊細さを出そうとしてるとしか思えない。
河口  ただデザインは、ちょっとがっかりしたな。
――もっとドラスティックに変わったほうがよかった?
河口  いや、変わって欲しくはなかったんですけど、なんかニュービートルやニューミニに近いものを感じましたね。昔のクルマをモチーフにして……というような。
萩原  それはいいんだけど、パッケージングをありきたりにしちゃったじゃないですか。ジャガーはやっぱり全高が1400mm以下だったからカッコよかったんですよ。XJはスペシャルティカーでいいと思うんですよね。4ドアのスペシャルティカーで、2+2ほど広くなくてもいい。先代は極端すぎたけど、現行と先代の、ちょうど中間くらいのサイズを狙ったらよかったんじゃないかな。
河口  こういういい方が適切かどうかよくわかりませんが、J・メイズが昔のXJを現代風に解釈したような(笑)。
萩原  J・メイズのほうが表現力が多彩な気がしますけど……。
 



一連の新BMWデザインを纏って登場した5シリーズ。ラインナップは2.5リッター直6の525i、3リッター直6の530i、そして4.4リッターV8の545i。オーディオやナビ、エアコンをひとつのダイヤルで制御する話題のインターフェイス、iドライブも採用する。530iの東京標準現金価格は6,750,000円(問い合わせ先



総アルミボディやエアサスといったハイテクを駆使し、伝統のクラフトマンシップによって仕上げられたジャガーの旗艦。ラインナップは3.5リッターV8、4.2リッターV8のXJ8、4.2リッタースーパーチャージャーのXJR、スーパーV8の4グレード。XJ8 3.5の東京標準現金価格は8,330,000万円(問い合わせ先
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