安全性をはじめとした時代の要請により、ハッチバックも大きく重くなる傾向にあるが、やはり、ホットハッチのイメージといえば、小さくて軽くてキビキビ走ることに尽きる。
ここでは、そんなイメージにピッタリの3台、サクソ、ヴィータ、ルポを集めて比較試乗。
それぞれのキャラクターを探ってみる――。


リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|郡大二郎|D.Kori

 ここではハッチバックでも一番小さいクラス、スモール・ホットハッチを取り上げる。俎上に上げるのは、VWルポGTI、シトロエン・サクソ・スーパー1600、オペル・ヴィータGSiという3台。いずれもB、もしくはサブBセグメントに属するモデルだ。この3台の比較試乗を通して、それぞれのキャラクターを知るとともに、Bセグメントというサイズの意味について、改めて考えてみることにしよう。
 サクソ・スーパー1600は、Bセグメントのボディを持つサクソに、1.6リッター16バルブのDOHCユニットを詰め込んだホットモデルだが、その本質はタウンカー。元気のいいエンジンを搭載し、それ相応に引き締まったサスペンションを与えられてはいるが、乗り味はやはりシトロエン風味だ。
 ロールさせていくときのダンパーの減衰の出方は、まさしくシトロエンの匂いがする。ただし、それほどストロークがなく、きつい路面のうねりを高速で越えるとバンプタッチしてしまう。とはいえ、バンプラバー自体の当たりが柔らかなため、ガツンとくるような不快な硬質感はない。
 クルマの動きはボディの軽さも手伝って軽快で機敏な印象。ステアリングを切り出すとクイックイッと面白いようにノーズが向きを変え、スイスイとワインディングを駆け抜けていってくれる。
 試乗車は、走行5000km程度。それだけにエンジンは、まだちょっと硬さが取れ切れていない印象で、高回転域での吹け上がりには本来のシャープさが見られなかったが、基本的には軽快。アクセルに対するピックアップもいい。
 とはいえ、そもそもクルマの特性として、80km/hくらいまでの速域が守備範囲。それ以上になるとボディの華奢さが前面に現れてくる。とくに直進性は、100km/hくらいになると轍の影響を受けやすく、クイックイッと動くクルマの挙動が裏目に出てくるが、このあたりは、作り手の方がボディサイズをきっちり見切っているようで、乗っているとむしろその潔さが好ましく感じられる。


 ヴィータは同じBセグメントに属するが、今回の3台では一番大柄なボディを持つ。しかし、全幅は1645mmと意外にスリム。サクソやルポと比べるとボディのボリューム感もあるのだが、走らせてみると確かにボディ幅は他の2台と同等の印象がある。Bセグメントとしては大柄ではあるが、ボディをスリムにすることで得られるメリットを決して忘れていない。
 乗り味はいかにもオペル的なカチッとしたもので、ボディ剛性が特別に高いというわけではなさそうだが、ブッシュの締め上げ方や、バネの選び方、ステアリングの支持剛性、サスペンションの取り付け剛性などに、緩さを感じさせないような味付けが施されている。
 エンジンの味付けも、オペルらしいフラットなトルク特性。特別なパワー感や刺激はないものの、スムーズに回る実用性に徹したエンジンという印象だ。ただ排気量が1.8リッターあるので、刺激はないがスムーズに車速は伸びる。
 高速直進性もいい。ホイールベースがサクソに対して105mm、ルポに対して170mm長いのをきちんと反映させている。また、ホイールベースが長いため、ピッチングもよく抑えられている。室内に乗り込むと明らかに他の2台よりも一回り広く感じるのは、このホイールベースを活かして室内長を得ているからなのだろう。
 


濃密なシトロエン風味を味わえるホットモデル
 シートの形状などはVTSと共通。シート地はベロアとブヴロイユのコンビネーションとなる。
 VTSの14インチに対しスーパー1600では15インチを採用。タイヤサイズは195/45R15(6J)で、銘柄はミシュラン・パイロットSX-GT。

硬質な乗り味をもつ実用的ホットハッチ
 エンジンはZ18型の直4DOHC16Vユニット。1.8リッターから最高出力125ps/6000rpm、最大トルク16.8kg-m/4600rpmを発揮する。ドラマチックな回り方をするユニットではないが、フラットなトルク特性で、キッチリと仕事をこなす。組み合わせるミッションは5速MT。
 インテリアではクロームのリングで縁取りされたホワイトメーター、本革巻きのステアリング、アルミ製のABCペダルなどを装備し、スポーティ性を強調している。フルオートエアコンを標準採用するなど快適性も高い。
 GSiではフロントに本革製となるスポーツ形状のシートを採用する。また、運転席/助手席エアバッグのほか、カーテン・ヘッド・エアバッグを装備。リアシートの中央席にもヘッドレストを用意するなど、安全性に対しても十分な配慮がなされる。
 通常モデルが14、15インチを標準とするのに対し、GSiでは16インチタイヤを採用。タイヤサイズは195/45R16(6J)。銘柄はダンロップのSPスポーツ9000。

 
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