ミッドシップ、という半ば「反則ワザ」的手法でホットハッチの中でも別格の存在感を放つクリオ(日本名ルーテシア)V6。その最新版が、日本にも上陸した。
一見、内外装をFF版に合わせただけのようにも感じられるこのクルマ、走らせてみると実は中身の変化の方が大きかった!!


リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|柴田幸治|K.Shibata


 コンパクトなクリオ(日本名ルーテシア)にV6エンジン……、しかも搭載手法はリアシートを取っ払い、そこにミッションごと押し込むことで成立させたミッドシップ。こんな、いささか強引な成り立ちを持つスポーツカーが、クリオV6 3.0RSである。今回試乗したのは、その最新バージョンであるフェイズIIだ。
 このクリオV6、初代の開発・生産はTWR(トム・ウォーキンンショー・レーシング)に委託されていたが、そのためかどことなくモディファイドカー的匂いがあった。たとえば3リッターのV6エンジン。ファインチューンを施してはいるものの、パワーは220psと控えめ。サスペンションは思いのほか柔らかく、ロール剛性が不足気味で限界も決して高くなかった。まあ、それが適度なコントロールの面白さを作り出していたのは事実だが……。それに対して、今度のフェイズIIは完全なルノー内製だ。エンジンパワーは254psまで引き上げられ、シャシー回りもリアのサブフレームを新設計するなどの変更を受けている。
 TIサーキットに用意されていた試乗車は、大阪レマンカーズの山口さんがプライベートカーとして購入したもの。つい最近、入庫したばかりということで残念ながら今回はエンジンにアタリがついておらず、回転数を4000rpm程度に抑えざるを得なかったのがちょっと残念だったが、それでもフェイズIIが先代クリオV6とはまったくの別物であるということはハッキリ感じ取れた。
 それは、走り出した瞬間から明らかになる。なによりもまず、ボディがしっかりしている。先代はどことなくボディがゆるく、それがモディファイドカー的印象の一因でもあったが、新型は文字通りピシッとしまっている。ボディの剛性感が、しっかり出ているのだ。両者には、まさにプロトタイプと市販モデルほどの違いがあった(まぁ、初代とフェイズIIの関係はそのまんまプロトと市販車の関係が当てはまるが……)。
 エンジンも、すこぶるシャープで軽快だ。先代もピックアップは良かったが、これはフライホイールを軽量化したことによる感覚的効果によるところが大きかった。ところが新型は、エンジン自体のレスポンスがいい。いかにもフリクションが少なく、そして圧縮比を高くして爆発力を高めることでパワーを引き出しているような骨太な印象がある。4000rpmをレブリミットに走らせてもそれなりに走れてしまうし、1400kgというボディの重さも気にならないほどトルクがある。一度だけバックストレートで5000rpmまで引っ張ってみたが、3500rpmを過ぎた辺りから、パワー感がさらに充実してきて4000rpmを過ぎると吹け上がりに一段弾みがついたようにシャープさを増す。正直、5000rpmでアクセルを戻すのにかなりの自制心が必要なほどフィーリングには刺激があった。
 ハンドリングも大幅に進化していた。明らかにバネとダンパーが引き締められている。ついでにいうと、サスペンションの取り付け剛性(感)もかなり上がっていて、足回りがガシッと路面を踏みしめているような印象がある。ロールが少なく、加速時のリアの沈み込みも抑えられている。もちろん必要なストロークはしているのだが、それ以上の無駄な動きを抑えることで、全体にカチッとした乗り味とステアリング操作に対する正確な応答を作り出していた。
 つまり先代をスポーティな気分を味わうクルマだったとすれば、フェイズIIは明らかにスポーツカーなのだ。ミッドシップの後輪駆動、というクルマ本来の特性を引き出すことで、気分だけではない本格派へと進化を遂げていた。

 


FF版と同じフロントマスクが与えられたフェイズIIだが、この独特な顔つきとボディのマッチングはV6の方が良好かも? ボディカラーは、現状シルバーとブルーのみだが、間もなくバリエーションが拡大される予定。
 先代同様、極端に拡がったサイドシルと盛り上がったセンタートンネル、手元に近づいたシフトレバーなどがFF版との違いを主張。試乗車のシートはアルカンタラとレザーのコンビだったが、オプションでフルレザーも選択可能。
 ご覧の通り、インテークマニホールドの形状からして先代とは大きく異なるフェイズIIのV6ユニット。パワーで34psほどの上乗せを実現している。トルクの絶対値は変わっていないが、発生回転数は900rpmほど高回転寄りになっている。フィールも、より刺激的になった。
 ホイールは、先代の17インチから18インチへと拡大されている。タイヤは、ミシュランのパイロットスポーツ。


ラゲッジスペース(のようなもの)の容量は先代と変わらず。リアのサブフレームを新設計、ショックの減衰力などもリセッティングしているフェイズIIだが、フロントのストラット取り付け部なども相応に強化されている模様。
 
RENAULT CLIO V6 3.0 RS
■全長/全幅/全高(mm)
3800/1810/1360
■ホイールベース(mm)
2510
■車両重量(kg)
1400
■エンジン種類
V6DOHC 24V
■排気量(cc)
2946
■最高出力(ps(kW)/rpm)
254(187)/7150
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
30.6(300)/4650
■トランスミッション
6MT
■サスペンション(F:R)
ストラット: マルチリンク
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
F:205/40ZR18 R:245/40ZR18
■東京標準現金価格
\5,680,000
レマンカーズ TEL:0722-70-6896
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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