これらドイツ系に対して、147GTAはあまりにも異質だ。機械としての完成度で言えば勝負にならない。そんなこと前からわかっていたのに、あらためて比較すると落差に驚く。そのぶん扱いに多少コツを要するので、スポーツ度が高いとも言えるだろう。少なくともドイツ系よりは人間に仕事をさせてくれる。
 つまり147GTAの魅力はアンバランスなところにある。きらきら輝く吸気管の60度V6は姉さん格の156GTAから譲られたもので、しっかり中速を太らせた仕立てが嬉しい。
 しかし、これの重量とトルクでは156との組み合わせのほうがベターで、147では荷が勝ちすぎる。ドライ路面なら問題ないが、雨だと気楽に攻めきれない。パワーアップに呼応してリアサスペンションまで強化してあるのに、うっかりアクセルを戻すだけで、てきめんにテールが流れ出す。フロントもASCの効きが遅いため、踏めばどんどん膨らむ。往年のFFの常識からすればたいした挙動ではないが、現代の基準から言えば極端な方だろう。
 そのうえアルファの場合、156でも147でもステアリングの切り始めに思い切り反応する、いささかわざとらしい演出が目立つから、ビュッ、ザザッ、シュルッと落ち着かない。ただしノーマルよりGTAの方が、深く切り込んだ時にグリップ感が抜ける感触が少ないので救われる。
 だから147GTAの本当の味を引き出すには、まずしっかり減速してからコーナーに入り、それも最小限の舵角ですむようにラインを読み、余裕で全開にできるまで一種のためを作るのがコツだ。
 ――と書くと欠点だらけに見えてしまいそうだが、そんなことはない。なにも走る手応えや速さだけが値打ちではなく、こういうクルマにはアピアランスも重要だ。その点、妙に小利口にまとめたアウディやVWよりアルファが魅惑的に見えるのは当然。これだけでスポーツしてる気分になれる。


 ところで、今回のテストでA3の印象が一番だったのは、シャシーの完成度のためだけでも、設計時点の新しさのためだけでもない。DSGのせいだ。スポーツモデルの場合、こういうものは好みで大きく左右されるが、少なくとも私なら、DSGだけを理由としてA3を選ぶ。
 たまたま今回は3台ともMTだったが、どうしてもクラッチを踏んで手漕ぎで、と操作そのものに執着するなら、147かゴルフだろう。一方、適切に選んだギアが機械的に噛み合うダイレクト感ゆえにMTを選ぶ立場なら、これからはDSGに勝るものはないと言っても大袈裟すぎない。
 ここでは構造と機能を詳しく紹介する余裕はないが、この種のシーケンシャルMTにとって最大の難問が、二つとも完璧なまでに解決されたのがDSGなのだ。それはシフトアップ直後の自動的なクラッチミートまでのタイムラグの解消であり、フルオートモードで使いたい時のぎごちなさの解消だ。さすがにコストをかけて専用ギアボックスを開発しただけのことはある。マニュアルモードはもちろん、いかにも優秀な人工頭脳の存在を感じさせるSレンジも、内燃機関時代の最終章を飾るにふさわしい出来だと思う。
 クルマ界に本当の21世紀が訪れる前に、ぜひとも味わっておくべきメカニズムだ。
 



 右ハンドル仕様を用意する2台に対し、147GTAは左ハンドル仕様のみをラインナップ。フロントシートにはヘッドレスト一体型のスポーツシートを採用する。試乗車のシート地は特別仕様となるレザー。
 エクステリア同様、抑揚のあるラインと面で構成されるインテリア。やや狭い感じも否めないが、スポーツモデルらしい艶っぽさということでは147GTAが一番。
 フロントブレーキには305mm径のディスクと対向ピストンのブレンボ製4ポッドキャリパーを標準で装備している。タイヤサイズは前後とも225/45ZR17。

 
AUDI A3 3.2 quattro
VOLKSWAGEN GOLF R32
ALFA ROMEO ALFA147 GTA
■全長/全幅/全高(mm)
4215/1765/1415
4165/1735/1435
4200/1765/1430
■ホイールベース(mm)
2575
2520
2545
■車両重量(kg)
1600
1510
1390
■エンジン種類
V6DOHC24V
V6SOHC24V
V6DOHC24V
■排気量(cc)
3188
3188
3179
■最高出力(ps(kW)/rpm)
250(184)/6300
241(177)/6250
250(184)/6200
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
32.6(320)/2500〜3000
32.6(320)/2800〜3200
30.6(300)/4800
■トランスミッション
6MT(DSG)
6MT
6MT
■サスペンション(F:R)
ストラット:Wウイッシュボーン
ストラット:マルチリンク
Wウイッシュボーン:ストラット
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
Vディスク:Vディスク
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
225/45ZR17
225/40ZR18
225/45ZR17
■東京標準現金価格
\4,375,000
\4,050,000
\4,230,000
 
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。

Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved.