何と言っても総合的な完成度ではA3だ。4気筒仕様でも優等生ぶりには舌を巻かされたが、その倍以上の排気量のV6エンジンを詰め込んでも欠点が見えない。厳密に言えば少し鼻先が重いかとは思うものの、「それがどうした」の範囲でしかない。
 最も嬉しいのはサスペンションのしなやかさだ。4気筒FF仕様より200kg重いが、すらすら自在に伸縮しつつ、きっちり良好な姿勢を守り抜く。操作感もスラッとしていれば反応もスマートで、どう攻めてもカドがない。32.0kg-m以上の大トルク(これがまた全域フラット)を叩きつけても、まるで合気道の達人演技のように涼しい顔で吸い取ってしまう。
 4気筒モデルの場合、荒れた舗装面で半端に扱うと多少ヒョコヒョコ不自然な上下動があるのに、不思議と3.2クワトロではそれが出ない。225/45R17と4気筒モデルよりも2回りも太いタイヤなのに、よほど鍛えられたネコ足ダンパーなのだろう。
 4WDシステムも簡潔なハルデックス式なのに、きつく攻めても前輪の空転と後輪への伝達開始までの間の遅れを感じにくい。グリップの総和もかなり高いので、滑りやすい路面でも基本的にオンザレール感覚で行けてしまう。
 逆に言えば、クルマを操る行為そのものに汗ばむ喜びは薄い。それよりA3の場合は、クルマに任せて早く目的地に到着できることに値打ちを感じさせるタイプだ。
 


 シンプルにまとめられたインテリアの雰囲気は、どちらかと言えばラグジャリーで、他の2台とはテイストを異にする。6速MTモデルだが、DSG搭載車だけに、シフト周辺などは、まったくATモデルと同じとなる。また、ステアリング裏にもシフト操作用のパドルが備わる。

シートはアルカンタラ+本革を標準とするが、撮影車にはオプションで用意される本革仕様のシートが奢られていた。
 
タイヤサイズは2リッターFSIよりも1インチ大きい225/55R16(7.5J)を装着。





 
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