英国が元祖であり、王道でもある分野は数多いが、このライトウェイトスポーツもそのひとつだろう。
ここではエリーゼとロードスターの比較を通して、英国流ライトウェイトスポーツの在り方を考える。


リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|郡大二郎|D.Kori

 イギリス人には「スタイル」があるのだと思う。ゴルフにしろテニスにしろ、イギリス人がスタイルを確立したスポーツは数多い。クルマもそうだ。レースの起源という話になると諸説紛々だろうが、クルマを走らせることをスポーツとして位置づけたのはイギリス人ではないだろうか。
 実際に、ライトウェイトスポーツと呼ばれたクルマもイギリス車に多い。ライトウェイトであることをスポーツに結びつけたこと自体が、イギリス人のスタイルに基づいている。走ることに必要な機能以外は徹底的に省く。屋根さえも取り除く。ライトウェイトスポーツとオープンスポーツは同じ意味になることがあるが、そもそもは「屋根など必要ない」というスタイルが前提となるのであろう。
 そうしたスタイルがあったからこそ、ロータスはエリーゼを現代の技術で復活させたのだ。バスタブ形状のアルミとセラミックを用いたシャシーを持ち、その重量はわずか68kgとされている。初期型エリーゼはデザイン的にもシンプルであり、ルーフは着脱式の簡単なソフトトップしかなかった。
 現行型はデザイン的にかなりアグレッシブになったものの、それは空力性能を向上させ、冷却性能を改善した結果でもあり、基本的に走りに徹したクルマであることに変わりはない。ただし、装備の充実を望む人のために、'04年モデルからはモデル名の後に「S」を記したシリーズを投入。その内容はパワーウインドー、集中ドアロック、カーゴネット、ソフトトップを防ぐ防音処理などだが、ドリルドタイプのディスクブレーキなど走りの機能の充実も怠りない。
 もちろん、エンジンの高性能化に頼ることなく、車重の軽さで走りをスポーツとして成立させていることもイギリス車ならではのスタイルだ。車重は710kgしかなく、1.8リッターの4気筒エンジンは121psを発揮するにとどまる。ところが、アクセル操作に対して驚くほど鋭い応答性を示す。それはほとんど、右足をペダルに乗せた瞬間にクルマが前に出る動きといってもよく、意識とクルマが神経系統で直結しているような感覚といえる。そうした感覚は、まさに軽さがもたらした特徴だ。
 ハンドリングは、軽快という表現では表しきれない。小径のステアリングに舵角を与えるというよりも、腕に力が入るのと同時にノーズがククッと反応する。そのため、安心して走りが楽しめるといったクルマではなく、それなりの緊張感をともなう。だが、決して余計な緊張感ではなく、走りの集中度を高めるための覚醒感と言葉を置き換えてもいいだろう。
 エリーゼから乗り換えると、ロードスターがライトウェイトスポーツとしての種類が異なるクルマであることが分かる。実際に、ロードスターは車重が1000kgを超えているのだ。したがって、軽さによるアクセル操作に対する応答性の鋭さは得られない。とはいうものの、応答性が鈍いわけではない。力強さの立ち上がりは、エンジン自体の特性として俊敏になっているのだ。さらに、適度なピッチングによって、アクセルを踏むと同時にリアにグッと荷重がかかり、腰のあたりにトラクション感が伝わってくることも、応答性の鋭さを際立たせてくれる。
 ロードスターは、こうした演出が巧みなのだ。ハンドリングも、軽快かつ正確だ。それを、車重の軽さではなくサスペンションの設定で実現している。ステアリング操作に対してアウト側のサスペンションをスッと沈ませつつ荷重を乗せ、いかにも「曲がっている」様子を実感させてくれる。
 エリーゼには、そうした演出はない。だが、イギリス車ならではのスタイルがもたらす走りは、正統派ライトウェイトスポーツとしてきわめて高い価値を持つ。
 


英国を代表する正統派ライトウェイトスポーツ

世界で最も愛されているオープン・スポーツ

 
LOTUS ELISE S
MAZDA ROADSTER RS-II
■全長/全幅/全高(mm)
3785/1850/1117
3955/1680/1235
■ホイールベース(mm)
2300
2265
■車両重量(kg)
710
1070
■エンジン種類
直4DOHC16V
直4DOHC16V
■排気量(cc)
1796
1839
■最高出力(ps(kW)/rpm)
121(89)/−
160(118)/7000
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
16.8(164.7)/3000
17.3(170)/5500
■トランスミッション
5MT
6MT
■サスペンション(F:R)
Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
F:175/55R16 R:225/45R17
205/45R16
■東京標準現金価格
\5,150,000
\2,442,000
 
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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