通算3代目にあたる現行レンジローバーは、BMWとの共同作品である。
 2000年6月にフォード傘下に入る以前、ランドローバー社は6年間にわたって、BMWのもとにあった。現行レンジローバーはちょうどそのころに開発されたモデルで、大まかに言うと、デザインはランドローバー、エンジニアリングはBMWである。フォードへの移籍が決まってからも、発売2カ月前までは、BMWがエンジニアリングに責任をもつこと、という契約が取り交わされていた。
 BMWとのコラボレーションを端的に示すのはパワーユニットだ。元を辿ると'70年代のビュイック用に行き着くローバー製V8OHVは、最新のBMW製4.4リッターV8DOHCにバトンタッチした。ステップトロニック付き5段ATと組み合わされるこのエンジンは、つまり、X5 4.4i用と同じものである。
 だが、これがレンジローバーを大幅に若返らせたのは間違いない。286psのパワーはローバー製4.6リッターより一挙に68psも向上し、重さ2.5tのモノコックボディを208km/hまで引っ張る。ライバルはメルセデスSクラスとBMW7シリーズだ、と開発スタッフが公言してはばからないのも、まずはこのパワーユニットを得たがためである。 
 旧型で耳についた低回転域でのファンノイズは消え、全体に静かになっただけでなく、高回転ではいかにもBMWパワーを感じさせる硬質なV8サウンドが室内にも洩れる。将来的にBMWとの契約が切れれば、エンジンはこの先、フォード・グループから調達することになるが、V8にはまだ十分余裕のあるエンジンルームや、フロントフェンダーに開く熱気抜きなどから勝手に想像すると、この先、ヴァンキッシュのV12が載る可能性だってゼロではないはずだ。 いまのレンジローバーで、乗るたびに感心するのは、インテリアの美しさである。ドライバーの視界にいつもあるダッシュボードが、とくに目をひく。
 ウッドパネルの太い柱を真ん中に2本立て、縦方向の量感を強調している。しかも2本の柱は、一部、ダッシュボードの裏側を貫通するように見せている。おかげで、全体がきわめて立体的に見える。いままでのどんなクルマにもなかった新しいつくりである。『たてもの探訪』の渡辺篤史を招いて、感心させたい。レンジローバーは、内装デザインの分野でも、他の高級四駆車から一頭地を抜く存在である。
 しかし、今回乗ったクルマは、いずれもすばらしかった。なかでもアストン・マーティン・ヴァンキッシュは、たちどころに僕のドリームカーになってしまった。
 総額4158万円ではあるけれど、冠婚葬祭から、サーキットランから、冒険旅行まで、この3台があれば、とりあえず無敵である。ひと組のアイデアル・トリオが、すべて外資系英国車で賄える。英国ブランドは元気なのである。
 

 日本仕様のエンジンは4.4リッターV8のガソリン仕様。286ps/5400rpm、44.9kg-m/3600rpmのスペックは、BMW X5とまったくの同値となる。


ゆったりしたシートと、高級クルーザーのコクピットを彷彿とさせるハイクオリティなインテリア。ウッドとレザーを上品に使い、クラシカルで独創的な室内空間を演出。ヒルディセント・コントロールとローレンジの切り替えスイッチはATセレクター後方に位置。
 伝統の上下分割式のテールゲート。ゲート下部は、大人二人分の重量にも耐えられる強靱な設計。ラゲッジルーム容量はこの状態で535リッター、リアシートを畳むと最大で1756リッターとなる。


電子制御エアサスぺンションは、セルフレベリング機能を持ち、4ポジションの車高調整が可能。最も低い状態なら乗降も容易だ。

 
ASTON MARTIN V12VANQUISH
JAGUAR XJ8 3.5
LAND ROVER
RANGE ROVER VOGUE
■全長/全幅/全高(mm)
4665/1923/1318
5090/1900/1450
4950/1955/1865
■ホイールベース(mm)
2690
3035
2880
■車両重量(kg)
1835
1680
2500
■エンジン種類
V12DOHC48V
V8DOHC32V
V8DOHC32V
■排気量(cc)
5935
3554
4398
■最高出力(ps(kW)/rpm)
460(343)/6800
267(196)/6250
286(210)/5400
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
55.3(542)/5500
34.6(339)/4200
44.9(440)/3600
■トランスミッション
6AT
6AT
5AT
■サスペンション(F:R)
Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
ストラット:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
Vディスク:Vディスク
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
F:255/40ZR19 R:285/40ZR19
F:235/50R18 R:235/50R18
F:255/55R19 R:255/55R19
■東京標準現金価格
\23,400,000
\8,330,000
\9,850,000
 
 撮影車両協力=
横浜ゴム TEL:0120-667-520
日本正規輸入ラインナップ=
XJ8 4.2:\9,930,000/
XJR:\11,930,000/
Super V8:\12,530,000
日本正規輸入ラインナップ=
SE:\7,950,000円/
HSE:\8,750,000円
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。

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