ヴァンキッシュからXJサルーンに乗り換えたら、ホッとした。
 理由はなんといっても、価格の気楽さである。2340万円のあちらに対して、XJ8 3.5は、833万円だ。なーんだ、安いじゃん。いや、安かないが、XJサルーンとしてはいちばん安い。
 9年ぶりのフルモデルチェンジでも、新型はほとんど外観の印象を変えていない。アルミモノコックを採用するなど、中身は刷新されたのに、スタイリングの変化は、控えめに言っても、控えめだ。恥ずかしながら、僕はいまだにパッと見て、新旧の差がわからない。
 しかし、なによりいちばん変わっていないのは、ドライバーズカーとしてのキャラクターである。運転していて、人をこんなにやさしい気持ちにさせる高級セダンはほかにない。ヴァンキッシュから乗り換えてホッとしたのは、値段のせいだけではない。
 自動車とは思えないくらい、このクルマの運転感覚がやさしいのは、エンジン、サスペンション、ステアリング、ブレーキなど、クルマのもつ手応えや感触が、ひとくちにセンシブルだからである。最近はメルセデスSクラスやBMW7シリーズも、この点で侮れない変貌をみせているが、まだXJジャガーには及ばない。
 267psを発する新開発の3.5リッターV8は、それほどパワフルというわけではないが、十分以上である。XJサルーンに、力任せのエンジンは似合わない。
 新型で驚くのは、フルサイズ高級セダンとは思えない燃料経済性だ。今回、約300kmをツーリングした燃費は、8.0km/リッターだった。以前、僕が同じような走行パターンで試乗した4.2リッターモデルは、8.8km/リッターをマークした。アルミモノコックによる軽量設計や、新しい6段ATなどがもたらした福音だろう。
 5mを軽く超すボディ全長は、ヴァンキッシュより40cm以上長いのに、車重は1680kgに抑えられている。ちなみに、同行したヴァンキッシュの燃費は4.3km/リッター、レンジローバーは5.0km/リッターだった。
 こうした新しさを備えながら、しかし、スタイリングとキャラクターは変わっていない。その2つは、たぶん世界中のXJオーナーにとっても「変わってほしくなかったところ」ベスト2であるはずだ。XJサルーンは、ジャガーがジャガーであり続けるための橋頭堡という気がする。
 
 極限までスペースの効率化を図ることで、広い室内空間を確保。リアのレッグルームは49mmも伸びるなど、居住性も大幅に向上。
 上質な素材に彩られたエレガントなインテリアに加え、最新マルチメディア情報システムも搭載し、ドライバーサポート機能も充実。
 ホイールは18インチ“ラグジュアリー”アルミが標準装備。


その姿は紛れもなくジャガーそのもの。最新のアルミモノコックボディは従来に比べ剛性で60%アップ、重量で40%の軽量化を実現。


 
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