「技術による前進」を標榜、その先進性と洗練されたイメージを武器にプレミアムブランドとしての地位を着実に固めつつあるアウディ。
今回は、そんな彼らがアピールする最新技術を軸に、それらがもたらす魅力に迫ってみた。まずはアウディがいち早く日本に上陸させたDSGの出来映えをチェックしてみよう。
リポート|吉田 匠|T.Yoshida フォト|柏田芳敬|Y.Kashiwada 問い合わせ先=アウディ・ジャパン |
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いわゆる2ペダルMTの最新バージョンであるDSG=ダイレクト・シフト・ギアボックス。それを装着した初の市販車、アウディTT3.2クワトロを初めてドライビングしたのは今年2月、モンテカルロの裏山を駆け上るワインディングを舞台にしたプレス試乗会でのことだが、そのときの印象を端的に表現すれば、「う〜ん、参った!」というものだった。 実用車はATでいいが、スポーツカーはピュアな3ペダルのMTで走らせたいと普段から思っている私でも、これなら2ペダルでもいいかと思わせる完成度を、DSGは持っていたからだ。 そのTTクーペ3.2クワトロがいよいよ日本にやってきた、と思ったら、それとほぼ同時期にもうひとつ、DSGを装着した最新のアウディが日本に上陸した。A3の3.2クワトロである。 今年のジュネーブ・ショーで第2世代にフルモデルチェンジしたA3は、すでに日本でも直噴方式の2リッター直4エンジンと6段ティプトロニックATを3ドアボディに搭載したFFモデル、2.0FSIが発売されて注目を集めている。そのA3の3.2クワトロまで右ハンドル仕様として早くも送り込んできたところに、日本市場に対する最近のアウディの気合いのほどが伺える。 そこで、3.2リッター狭角15度V6に6段DSGを組み合わせた2台の最新アウディ・クワトロを、伊豆修善寺のサイクルスポーツセンターに運び込んだ。と同時に、DSGの2ペダルMTとしての実力をより明確に知るために、クラッチペダルレスMTの先達であるSMG搭載のBMW330iもテストフィールドに送り込んだ。 まずはTTクーペのコクピットに身体を収めると、低いシートから前に脚を投げ出すスポーツカー的なドライビングポジションに決まる。そこで、DSGのレバーをオートマチックモードのDレンジに送ってスロットルを踏み込むと、TTクーペは熟練したドライバーのクラッチミートに匹敵する滑らかさをもって走り出した。 そのまま加速すると、この手の2ペダルMTにありがちなシフトアップ時のパワーフローの途切れと、それに伴う身体が前につんのめるような違和感がまったくないことにあらためて感心させられる。DSGはよくできたトルコン式ATと変わらぬスムーズさで6段変速をこなしながら、TTクーペを力強く加速させていく。 オートマチックモードにはSレンジもあって、そこを選べばDレンジより低いギアを駆使した鋭い加速が手に入るが、私はそこではなく、右側のマニュアルゲートにレバーを移動した。そこではレバーを前に押せばシフトアップ、手前に引けばシフトダウンできるほか、ステアリングホイール裏のパドルでも手動シフトできる。 パドルは右側がシフトアップ用、左側がシフトダウン用で、後者を手前に叩くとエンジンが空吹かしされて回転を合わせ、スムーズなシフトダウンが決まるのは2ペダルMTの定石どおりだが、その作動は他社の同類より素早く思える。もちろん手動シフトアップでも途切れのない加速は維持され、右のパドルを叩くと一切のギクシャクなしに次のギアに変速される。 したがって、250psのパワーと32.6kg-mのトルクを出す3188cc狭角V6で車重1550kgのクーペボディを引っ張る加速はすこぶる痛快な上に、サウンドチューンが施されたV6は踏めば快音を奏でるから、TTクーペは直線を加速するだけでも胸の透くクルマに仕上がっている。 しかも日本仕様TTクワトロは、Sラインと呼ばれるスポーツ装備が標準になって、225/40R18のコンチネンタル・スポーツコンタクト2を履いていた。その結果、不整路面では18インチタイヤの重さを意識させられる反面、ハンドリングの分野で明らかなアドバンテージが感じられた。南仏で乗った17インチタイヤ装着の試乗車が、タイトベンドで明確なアンダーステア傾向を示したのに対して、18インチ装着の日本の試乗車は、アンダーをほとんど意識させなかったのだ。18インチ化で快適さは若干損なわれたものの、TTのスポーツGTとしての魅力はアップしたといえる。 それを確認したところで、A3の3.2クワトロに乗り移る。ハッチバックとしては低めにセットされ、しかも形状から想像するよりしっかりと身体を支えてくれるシートに腰を落とすと、スポーツカーでもないのに気分が引き締まってくるから面白い。 最大トルク発生回転数が若干下がっているのと、DSGのギアレシオが微妙に変わっているのを除けば、A3クワトロのパワートレーンは250psおよび32.6kg-mという数値を含めて基本的にTTのそれと同じだといえる。その一方で、1600kgという思いのほかヘビーな車重が公表されているところがTTと異なるが、いざ出撃してみると、その身のこなしは車重から想像するよりずっと軽快に感じられる。 3.2リッターV6はTTに搭載されているものよりサウンドチューンがおとなしいが、それでも耳に心地良いウエットな咆哮を奏でて鋭くそして滑らかに吹け上がり、全長4.2m強の3ドアボディを思いのままに引っ張り上げる。ちなみにA3クワトロの動力性能は、本国仕様のメーカー公表値で0〜100km/h加速6.6秒、最高速はリミッター制御の250km/hと、同じく6.4秒と250km/hを標榜するTTクワトロに加速が若干劣るだけにすぎない。いずれにせよ、スロットルのひと踏みで爽快な加速を味わえる高性能車なのは間違いない。 その一方、シャシーのポテンシャルはTTと明らかに異なる。TTクワトロより一世代新しいプラットフォームに、4気筒の2.0FSIスポーツと同じ225/45R17サイズのミシュラン・パイロットプライマシーXSEを履くA3クワトロは、硬めの脚にもかかわらずバネ下の動きを意識させず、路面の凹凸をスムーズに吸収していく。ボディの剛性感もTTを確実に上回り、乗り心地が洗練されている上、不整路面でのボディの上下動も最小限に抑えられて、コーナリングも実に安定している。 少々意外だったのは、アンダーステアが顕著なことだ。直4のFSIは踏んでも放してもコーナリングの軌跡が変わらぬほど徹底したニュートラルステアカーだったが、V6クワトロは違った。タイトベンドからの脱出で深く踏み込むとフロントが確実にアウトに膨らんでいくし、そこでスロットルを閉じるとタックインが発生して、ノーズが内側に引き戻される。 V6エンジンによる前輪荷重の増加と100psの増強によって、ハンドリングのバランスが少し崩れたという印象なのである。ただしそれは17インチタイヤでの話だから、TTクワトロにニュートラルステアをもたらした225/40R18タイヤに履き替えると、アンダーステはかなり抑えられるのではないかと想像できる。
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| DSGのインターフェースは同一(写真はTT)。ステアリングのパドルは、いずれも小振りだ。ただしギア比は別物で、A3は(1)2.933
(2)1.791 (3)1.266 (4)0.975 (5)1.030 (6)0.825 (R)3.352 (F)4.800((1)〜(4))/3.600((5)(6)(R))。TTは(1)3.461
(2)2.045 (3)1.451 (4)1.078 (5)1.114 (6)0.921 (R)3.989 (F)4.058((1)〜(4))/3.136((5)(6)(R))。

 | | エンジンは、両者3.2リッターの狭角V6。VWグループ内で幅広く使われている、扱いやすさが持ち味のユニットだ。 |
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| 新生A3のトップモデルとして上陸した3.2クワトロは、DSGだけでなく洗練されたシャシーやアウディならではの上質感も魅力。その名の通り、組み合わせる駆動系はハルデックス・カップリングを介した4WDのみ。装備類は、先に上陸した2.0FSIスポーツとほとんど変わらない。 |

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