フランス車の中でも、とりわけ魅力的かつ個性的なモデルが揃っているのが、このコンパクト・クラスだ。
ここではルノー・ルーテシア、シトロエンC3という2台の代表的モデルを題材に、フレンチ・コンパクトの魅力と、その楽しみ方を探ってみる――。


リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|郡大二郎|D.Kori

 ここではルノーとシトロエンの立場が逆転している。リポーターの事務所界隈は小洒落たフレンチを供する激戦区で(実はほとんどいったことがないが)、数カ月のうちに新しい店が出来たり消えたり名前を変えたりと忙しい。フランス車も、新しいテイストを感じるようになって間もないので、モデルによって立場は異なるのだ。
 シトロエンは、C3によって新しいデザインを提案している。ゴツい顔つきにマルい身体という、パッと見には理解しにくいが味わいは深い。続いて登場するC2にも同じデザインテーマを感じるので、このカタチがこれからのシトロエンを表すことになるのだろう。
 ただ、インテリアは樹脂類の質感がクラスの平均に達していない点は惜しまれる。この点は緊急課題であり、乗る気にならなければ味わい深くても意味がない。とはいえ、そういってしまったら自動車雑誌のリポーターなど必要がないわけで、見れば誰でも分かることをことさらに評価しても仕方がない。見た目はいまひとつでも、実際に食べてみたらほっぺたが落ちた……という例が、クルマにもあることがC3に乗るとわかる。
 とくに、1.6の走りがゴキゲンなのだ。しなやかさやフラット感が魅力のフランス車の中にあって、コンパクトカーは別の価値を持っている。まさにラテンの血が滾っているというか、軽快なハンドリングが実感できる。適度に締まったサスペンションがボディの潜在性能を引き出しているようにも思え、コーナリング中はしたたかに路面を掴んで放さない。
 しかも、1.6リッターエンジンがまた刺激的。パワーは110psと控えめだが、体感的には140psぐらいに感じる。というのも、センソドライブと呼ぶ2ペダルの5速MTを組み合わせるので、エンジン性能を余すことなく生かせるのだ。それこそ交差点を立ち上がり、ステアリングのパドルで1速から2速へパコッとシフトアップすることさえ楽しくなってしまう。
 フランス車の楽しさを実感するコツは、MT仕様を選ぶことなのかも知れない。逆にいえば、AT仕様では魅力が半減する……、ということなのだろうか。
 ルーテシアに乗って、ウームと考え込んでしまった。ルーテシアに限らず、フランス車全体にATは洗練度を欠いている。というよりも、ATに対する考え方が違うのだ。基本的に、ATであっても積極的にマニュアル操作することが前提なのだろう。多くの日本人のように、リポーターもそうだがDレンジに放り込んだら最後、セレクターにはバックをするかクルマから降りるまで手を出さないという走り方をすると違和感が大きくなるわけだ。
 変速ショックというより、あえて変速感を伝えているようなところもあり、減速時には停止前に1速までガクッと落とす。逆に、高いギアに入っていると、かなりアクセルを踏まないと落ちない。
 だが、フランス車にはフランス車の走りがあると思えば、自ずと違和感がなくなる。例の「ガクッ」もメリハリとして納得できるし、高速域では無意識にセレクターに手が伸びるようになる。そうこうするうちに、ジワーッと味わいが深まってくるから不思議だ。
 ルーテシアは、そもそもドイツ車のようなボディの硬質感を持っている。それでいて、サスペンションはしなやかに動く。最近のプジョーで感じる、新しいフランス車の走りを先取りしていたようなところがある。しかも、ルノーはシトロエンやプジョーと比べても樹脂類の質感が高い。でも、デザインだけで人心は動かないが……。
 

 
RENAULT LUTECIA1.4RXT 5DOOR
CITROEN C3 1.6
■全長/全幅/全高(mm)
3810/1640/1420
3850/1670/1540
■ホイールベース(mm)
2475
2460
■車両重量(kg)
1060
1090
■エンジン種類
直4DOHC16V
直4DOHC16V
■排気量(cc)
1389
1587
■最高出力(ps(kW)/rpm)
98(72)/6000
110(80)/5800
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
13.0(127)/3750
15.3(147)/4000
■トランスミッション
4AT
5速センソドライブ
■サスペンション(F:R)
ストラット:トレーリングアーム
ストラット:カップルドビーム
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ドラム
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
175/65R14
185/60R15
■東京標準現金価格
\1,850,000
\1,998,000
 
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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