Z4オーナー予備軍最大の関心事は、「じゃあ、ボクスターと比べてどうなのか」ということに尽きる。
駆動方式の違いこそあれ、両車はともにドイツ製の2シーター・オープンスポーツ。おまけにプライスタグまで550万円で共通とくれば、さらに悩みは深まるばかり。それならジックリ走って、どこがどう違うのか、白黒ハッキリさせようじゃないか!

リポート|笹目二朗|J.Sasame  フォト|郡大二郎|D.Kori


 2台のロードスターで金沢を目指す。さしずめ気分はカーチェイス(?)というところだろうか。いまや簡単操作でお手軽にルーフの上げ下ろしは可能。だからどこまでオープンのまま過ごせるか、クルマから挑戦されている気もする。今回はスポーツカーらしさを堪能しながら梅雨の隙を縫い、白川郷、白山スーパー林道を経て、能登半島の千里浜なぎさドライブウェイへ。時間的には、そこで夕日を眺められるかが勝負どころだ。
 思ったより短命に終わったZ3の後を受け、Z4は華々しく登場した。いまから思えば、この本命となるZ4を送り出すために、Z3はただ繋ぎの役目を果たしただけのような気もしてくる。個人的にはZ3の丸味が好きだったが、そのスタイリングをはじめ、Z4はなにもかも新しい。スポーツカーといえばスパルタンな難行苦行こそが面白さに通じると思っていた頭の古いオジサンにとって、最近のハイテクスポーツカーはATが常識でもあるし、まずはそうした安楽さの中にも楽しさはある、という驚きから始めなければならないだろう。
 連れとなるポルシェ・ボクスターは、いわずと知れたミッドシップスポーツカーの一方の雄。しかし、これもいまや主力はATだ。クラッチミートの難しさを省略し、お手軽なATでステアリング操作に専念し、横Gにこそ楽しさを見い出す。そんなところだろうか。
 まず最初はZ4から試す。インダストリアルデザインなんて書くと、いい回しが古く聞こえるかもしれないが、このZ4を見た最初の印象は、まさに工業製品の極致だと思った。意外にスクエアな形がそう感じさせるのかもしれない。リバースさせた面構成とビジュアル重視のプレスラインの交錯したあたりが、必然より見せ場として強調されているフシもある。これらのモダンな処理は、いまではなく10年くらい後で見た時に、より新鮮に見えるのかも知れない。
 大きく見えるのは事実ながら、実はボクスターの方が全長は長く、幅や高さはほぼ同じとなる。Z4のデザインは商業的にアメリカを意識したものであろうから、まずは大成功と拍手を送ろう。中から見てもサイズ的に大きさを感じるのは、Aピラー間が広めに採ってあり、前から横方向の路面までよく見えるからだ。このあたりはいわばセダン的ではあるが、新しさの追求ともいえる。
 ATは2速発進で、これはドイツ車ではいまや常識。ポルシェやメルセデスも同じだ。最初にボーっとエンジン音が高まる方が、気分を盛り上げるという発想だ。頭の古い筆者は、1速から出ないと半クラッチを使って滑らせている感覚が先行して、イケナイことをしている気分になってしまう。このあたりも新人類感覚だ。
 新開発の電動モーターアシストによるパワーステアリング(EPS)もなかなか新しい。直進時にもサーボを働かせてレスポンスを上げているせいか、指添えの保舵でも絶えず右に左に軽い力を感じる。目で見ていてステアリングが舵角として動くほどではないが、指先を刺激されることが、音楽を聞いているようなリズム感を与える、とでもいうのだろうか。操舵力そのものは全体に軽く、車速度感応であるから、低速でも高速でも重さの変化は少ない。
 そして、これまでの歴史にはこだわらず、スクラブをゼロ付近に持ってきたのもニュースだろう。その結果、路面からの反力感をなくしてわずかなキックバックを容認することにより、パワーステアリングに新感覚の提案をしている。
 3リッター直6エンジンはトルク感に溢れ、上まで回さずに有効な加速を手に入れられる。このあたりもアメリカ市場の要望を受け入れた設定なのだろう。スポーツモードはATのホールドが長めなだけでなく、ステアリングの操舵力にも連動させている。スイッチを押しただけだと、ATはDのままでも4速にホールドされてしまうから、レバーを左に倒してMモードにして5速にいれれば大丈夫だ。前に倒してマイナス、後ろへ引いてプラスなのもG感覚に適応していて、さすがはBMWといえる。
 ボクスターに乗り代えると、なにもかも違うから面白い。Aピラー間は狭く、室内はよりタイトだ。この方がスポーツカーらしいとは思うが、新人類には狭苦しいだけなのだろう。あれほど低く見えたZ4の視点は、このボクスターではさらに低い。この方が年寄りには安心感があるが、ボンネットで切られた四角い画面を見ながらドライブするZ4の方が、ゲーム感覚で気がおけないのだろう。左右両フェンダーの峰が見えれば、中間の谷間は見えなくてもいい。流れる路面が見えていい、と思ってしまうのは古い感覚なのだろうか。
 

 
 

 
 
 
 
 



■広告■

Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved.