ラインナップ中、オーナーカーの頂点に位置するA6と166。
デビューしたのはA6が'97年、166が'99年だからそれぞれがデビューしてからもうしばらく時が経つ。
しかし、独特のキャラクターは色褪せる気配すらない。
それはなぜか。スタイリングだけではなく、走らせれば走らせるほど、その理由が明確になってくる。

リポート|笹目二朗|J.Sasame  フォト|高橋信宏|N.Takahashi


 アッパーミドルクラスのクルマは、オーナーカーとして裕福な暮らしを象徴するものだ。ゆえに、様々な車遍歴を通過してきた末の選択ともいえ、一般性よりも個性を尊ぶ種類の、嗜好を明確にしているクルマが多い。だからこそA6や166のような、奇抜なデザインのクルマが登場してくるのだ。
 A6は、A4/A8の中間にあって埋没するどころか、個性という意味でこのラインの頂点を形成する。細部は微妙にチューンが異なるものの、4輪独立懸架のサスペンションや4WDのクワトロ・システムはシリーズの共通項であり、どれもが四季を問わずライバルの追従を許さない走行安定性を誇る。その3家族の中でもA6はもっとも操縦安定性に優れ、乗って面白い特性が与えられている。
 2.7Tはターボのノウハウを知り尽くしたアウディらしく、過給エンジンを押し売りしない洗練度を身につけている。負荷の高まりに応じた過給圧が与えられる性格は、極端ないい方をすれば、どのギアポジションでも同じような加速Gを味わえる。高いギアのまま加速すれば過給圧は高くなり、低いギアならば負荷が低いから過圧で助ける必要がないというわけだ。ともかく250psあれば、車両重量1780kgの大型車とは思えないほど軽く強引に加速する。絶対値の高いパワーとトルクを持つゆえ、ファイナルは小さく各ギアはよく伸びる。排気量は小さめだから、上手く転がせば省燃費運転も可能だ。こうした緩急自在の使い方ができるということは、どんなに下手な乗り方をしても破綻しないし、能力を上手く引き出すテクニックも使える。それだけ奥の深いクルマであるということだ。
 4WDはいまや雪国の覇者、という認識が定着しているが、4WDならすべて同じかというととんでもない。簡便な4WDはそれだけのものでしかない。クワトロはたくさん必要な歯車の精度を含め、現状で考えうる最高峰に位置する。滑らかな走行感覚は、普段でも2WDでは得られない高級感がある。そして、車酔いしやすい人にも優しいもてなしをしてくれる。
 一方、166が似合うのはやはり伊達なイタリア人紳士というイメージが強く、ドライビングテクニックも含めて、生半可なスタイルや身なり、乗降の立ち居振る舞いでは恥ずかしさが先に立つ。クルマの性格もそれに準じており、軽薄なところはなく温厚、しかし一度ムチをくれれば、駿馬の疾走を約束し、止まる時には息切れもなく立髪も乱れない。ソフトなスプリングは簡単にバンプラバータッチを許すほどながら、ゆったりと動くサスペンションはボディを終始フラットに保ち、この接地性の良さは乗り心地と操縦安定性を見事に両立させている。
 ロール感抜群のコーナリングは、前後輪ともスッと外輪が沈み込み、内輪は浮かない。前輪の外側が沈んで後輪の内側が浮く、ロール軸前下りの対角線ロールを好むクルマたちとは品性が異なる。このあたりは、FRの時代からアルファがこだわっている部分であり、そう簡単に真似できるものではない。
 3リッターV6エンジンは220psと強力ながら、4.7mの全長をもつボディは高級車なりに1600kgと重い。しかし、4ATはほどほどに分散したレシオをもち、2速の伸びを利用すれば期待以上の速さを実感できる。
 そして、166はドライバーズカーではあるが、リアシートから降り立つ姿も絵になる。それだけではない。フロアが低く前後長のたっぷりした室内は、脚を組んで座れるほど実用性も高い。
 A6と166は、比べようもないほど容姿も性格も異なる。しかし、600万円前後の価格帯で良品を選ぶとなると、必ず候補に残るクルマであることは間違いない。
 

A6のインテリアはアウディらしいクリーンな仕上がりとなるが、スポーティモデルの2.7Tクワトロはスポーツシートを標準装備するなどクールな一面も。クワトロがもたらす走行感覚は上質さとスポーティさを併せ持つもので、あらゆる状況に完璧に対応。エンジンラインナップは2.4リッターと3リッタークワトロ、そしてこの2.7リッターツインターボ+クワトロの3種類。ほかにアバントモデルもある。2.7Tクワトロの東京標準現金価格は6,680,000円。

イタリアンテイスト全開でまとめられたインテリアは、A6とはまったく好対照な雰囲気をもつ。甘い香りを漂わすMOMO製レザーは、高品質の革製品を送り出すイタリアらしいしなやかさ。ラインナップは当初2.5リッターと3リッターの2本立てだったが、現在は3リッターに統一されている。クォーンという快音とともにコーナーを抜けてゆく様はアルファならでは。ハンドリングもこのクラスとしては異例にクイック。東京標準現金価格は6,000,000円。

  フロントオーバーハングにV6エンジンを積む両者だが、そのキャラクターはあらゆる意味で対照的だ。エンジンが存在を主張せず、さりげなく速いのがA6。一方、166はまずエンジンありき。積極的にブン回し、速く走らせるのがアルファ流儀だ。

 
A6 2.7T quattro
ALFA166 3.0 V6
■全長/全幅/全高(mm)
4805×1810×1450
4730×1815×1415
■ホイールベース(mm)
2760
2700
■車両重量(kg)
1780
1600
■エンジン種類
V6DOHC30V+
ツインターボ
V6DOHC24V
■排気量(cc)
2671
2958
■最高出力(ps(kW)/rpm)
250(184)/5800
220(162)/6300
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
35.7(350)/
1800〜4500
27.0(265)/5000
■トランスミッション
5AT
4AT
■サスペンション(F:R)
4リンク:
Wウイッシュボーン
Wウイッシュボーン:
マルチリンク
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
Vディスク:ディスク
■タイヤ
235/45R17
225/45ZR17
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。



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