ニューA3の高い基本性能を実感するには、やはり尺度となるべき既存モデルとの比較が最も真実味がある。
ならばアルファ147。スポーツハッチとして格段の進化を遂げたニューA3にとっては、まさに格好の好敵手といえよう。架空対決でお届けする。

リポート|吉田 匠|T.Yoshida
フォト|望月浩彦|H.Mochizuk|アウディ・ジャパン



  前項の海外試乗記に書いたように、ニューA3はいわゆるプレミアム・セグメントのスポーツハッチバックとして、かなり傑出したクルマに思えた。
 そこで、ここでは同じくプレミアム・スポーツハッチとして日本でも人気の高いアルファ147を引っ張り出して、ニューA3との架空対決を試みた。モデルはA3が2.0FSI、147が2.0ツインスパークである。
 まずはルックスの勝負だが、これは皮肉な戦いではある。何故なら、147を置き土産としてアルファを去ったウォルター・ダ・シルヴァが、現在アウディのスタイリングを統括する立場にあるからだ。いわば同一人物の息が掛かった新旧作品の対決だが、ロマンティックさでは依然として147が上で、逆にA3は硬質なクオリティ感で147を上回る。この勝負、スタイリッシュだという噂のA3の5ドアが登場した時点で、頂上対決を迎えることになるはずだ。
 コクピットに収まった印象も概ね同様で、インテリアデザインのエモーショナルさでは147が勝り、造りの緻密さやクオリティ感の高さではA3が勝る。着座位置の低さも幸いして、運転席に座ったときの落ち着きのよさでは、A3が147を上回るのではないかと思う。このへん、人によって空間の好き嫌いはあるので、断言できないところではあるが。
 エンジンはともに4気筒2リッターで、パワーとトルクはA3の直噴FSIが150psと20.4kg-m、147のツインスパークが150psと18.5kg-m。パワーは同等だがトルクでA3ユニットが上回る。MTのヨーロッパ仕様同士で比べると、ギアはA3が6段、147が5段で、車重は1275kgと1250kg、動力性能は0〜100km/h加速が9.1秒と9.3秒、最高速は211km/hと208km/hというふうに、少しずつA3が147を上回る。と同時に、燃費も直噴のFSIがツインスパークを大きく凌いでいる。
 ただし数値に表れない部分、エンジンの回転感やサウンドといった官能の分野では、昔からその演出に抜群の冴えを見せるイタリアの雄、アルファ・ロメオに一日の長がある。中速域ではFSIユニットもいい勝負をするが、6000rpm前後から上のトップエンドに至ると、回転のスムーズさでも咆哮の心地好さでも、ツインスパークがFSIを上回る。クールなアウディとホットなアルファの違いが明確に現れるのである。
 ところが、乗り心地やハンドリングといったシャシー関連の分野では、A3が俄然輝き始める。
 乗り心地に関しては147も悪くないが、ボディの剛性感の違いが影響を及ぼして、A3の方がタイヤの存在を意識させない。147は不整路面で若干タイヤのバタつきを感じさせるのである。
 ハンドリングに関しても評価は同様で、147もかなりファン・トゥ・ドライブではあるが、ニューA3のスーパーハンドリングには及ばない。147が前輪のタイヤのグリップに頼ってコーナリングしている印象を抱かせるのに対して、A3はサスペンションを含んだシャシー全体でコーナリングしている実感がある。もしも直接対決を試みたら、コーナーでの安心感、挙動の洗練度、コーナリングの速さとも、A3が147を上回るのではないかと思う。
 147を意識しながら開発されたに違いないA3が、多くの部分で147を凌いでいるのは当然だといえる。だからこの2台の架空対決は結局のところ、ホットで官能的だがちょっと緩い印象のあるラテンのテイストを好むか、クールでタイトな安心感のあるゲルマンテイストを好むか、という選択に行き着くのだろうと思う。
 

  ツインスパークユニットの滑らかな回転感や官能的な咆哮といった感性に訴えかける部分では、やはりアルファの右に出る者はいない。ごく自然なロール感など、波長さえ合えば最高のパートナー。
ツインスパーク派なら迷わず147をチョイス!?

日本仕様のアルファ147は3ドア/5ドアのボディタイプと、5MT/5速セミATのセレスピードという組み合わせから選べる。エンジンは、もはや旧世代とはいえ根強い人気を誇る2リッター4気筒のツインスパークのみ。なお、3.2リッターV6搭載のロケットハッチ、147GTAも正規輸入開始!

最新モデルゆえ、クルマの基本性能という面では147を大きく上回るニューA3。特に、ボディ/シャシー系の洗練度は、現時点でクラストップといえる存在。


ALFA ROMEO
ALFA147 2.0 TWINSPARK
■全長/全幅/全高(mm)
4170×1730×1420
■ホイールベース(mm)
2545
■車両重量(kg)
1310
■エンジン種類
直4DOHC16V
■排気量(cc)
1969
■最高出力(ps(kW)/rpm)
150(110)/6300
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
18.5(181)/3800
■トランスミッション
5MT
■サスペンション(F:R)
Wウイッシュボーン:ストラット
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
■タイヤ
205/55R16
■東京標準現金価格
2,800,000円
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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