5ドアハッチバックからワゴンへ。ヨーロッパにおいてこの流れが明らかになったのは、ここ数年の出来事だ。
アウディは「アバント」の名の下にラインナップを拡充し、一方のアルファは33以来となるスポーツワゴンをリリース。
どちらもラゲッジルームに荷物を満載して……というよりは、ファッションで乗るクルマ、という点で共通している。

リポート|笹目二朗|J.Sasame  フォト|郡大二郎|D.Kori


 ワゴンという車型は、セダンよりたくさん荷物を積めるというアドバンテージがありながら、積まずにひとりで乗ってもサマになる。いわば包容力が大きいというか、一種独特な雰囲気を持つ。普段は用途に叶う使い方をしなくとも、可能性を楽しむことができるからだろう。そう考えれば、ワゴンはキャビンの大きなクーペだ。
 だから積載能力の絶対値よりも、スタイリッシュなワゴンを欲しがる人もいる。そんな要求を満たすクルマとして、A4アバントもアルファ・スポーツワゴンも最適な選択といえる。
 A4アバントは贅沢なワゴンだ。特にこの2.4リッターは、アウディ製V6の中でも最も気持ちのいいエンジンである。ショートストロークゆえコンロッドは長く、レスポンスとスムーズさは段違いにいい。このくらいの排気量になるとパワーの絶対値よりも、パワーフィールの方が大事なことはいうまでもない。アウディといえば4WDだと短絡してしまうほどクワトロの走行性は素晴らしいが、このFF仕様とて捨てたものではない。むしろ束縛されない軽快感のようなものがあるし、後ろから押されないせいか、アンダーステアもより軽いような気がする。
 造りの精密度が高いのも最近のアウディの例に洩れない。これだけで高級感は格段に違ってくる。加えて、CVTによる変速作業も通常のATらしからぬ密度感がある。トルコンのスリップ感がなく、ちゃんとダイレクトな接続感を持ちながら、一旦フルスロットルを与えれば瞬時にエンジン回転は4000rpm近くに跳ね上がり、低いギア比に移行して強烈な加速態勢に移る。この時、タコメーターを見ていると、針の動きの速さにスリップしているかと見紛うが、体感するGがちゃんと仕事をしていることを証明する。
 ただし、これも最近のドイツ製AT車の例に洩れず左足ブレーキ派には冷淡で、両足を使っている時にはエンジンがサボタージュする。もちろん、ブレーキを優先させていることはいうまでもないが、ドイツ人が左足ブレーキの有効性を理解するまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。
 さて、スポーツワゴンにはツーペダルのセレスピードもある。隣の住人との会話を楽しみたければCityモードで自動変速に任せればいいし、ひとりで峠を目指す時にはシフトレバーやパドルを急かして、積極的に変速作業にいそしんでもいい。セレスピードとJTSエンジンの相性はよく、これまで以上にシフト段差は少ない。
 だが、1速のレシオをノーマルより低く設定してしまった結果、2速へのステップアップ比が開いてしまっている。だから本当はラグが大きいはずなのだが、JTSはエンジンの回転落ちが速いのか、繋がりはこれまでより格段にスムーズだ。シフトダウン時に使うダブルクラッチ用の中吹かしで回転を上げる作業は俊敏でも、いかに電制スロットルといえど下げる方はエンジン自身が静まるのを待たなければならない。そのあたりの呼吸が、JTSエンジンに合っているのかもしれない。
 右ハンドル化は概ね上手くいっているが、ブレーキはマスターシリンダーをオリジナル位置に置くタイプで、ペダルフィールはあまり芳しくない。ストロークも大きめでしっかり踏むことを要す。
 肝心(?)のラゲッジスペースは両車とも外から見た通りで、決して広くはないが順当な空間を提供する。ワゴンは積めなければ意味なしというなかれ。世の中には履いてもいいけど歩いてはいけない靴があり、座ってはいけないソファーもある。芸術品のごとく大事にすべきということだ。日本にだって、畳の縁を踏んではいけないという礼儀作法があるのだから。
 









 
A4 AVANT 2.4 SE
ALFA SPORTWAGON2.0 JTS SELESPEED
■全長/全幅/全高(mm)
4555×1765×1455
4430×1755×1415
■ホイールベース(mm)
2645
2595
■車両重量(kg)
1640
1400
■エンジン種類
V6DOHC30V
直4DOHC16V
■排気量(cc)
2393
1969
■最高出力(ps(kW)/rpm)
170(125)/6000
165(121)/6400
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
23.5(230)/3200
21.0(206)/3250
■トランスミッション
CVT
5MT(セレスピード)
■サスペンション(F:R)
4リンク:トラペゾイダル
Wウイッシュボーン:
ストラット
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
Vディスク:ディスク
■タイヤ
205/55R16
205/55R16
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。



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