もともと2リッター〜2.5リッタークラスのエンジンを搭載しているベースモデルに 3.2リッターのV6を詰め込んだアルファ・ロメオのホットモデル、156GTAと147GTA。
ここでは、まったく同じパワーユニットと異なるボディ形状を与えられた2台の辛口ホットモデルを乗り比べる。

リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|赤松 孝|T.Akamatsu

 どちらを選ぶか。答えは8割方決まっている。147GTAだ。2リッターがオリジナルのエンジンルームに、強引に3.2リッターユニットを詰め込んだ激辛ホットハッチである。156GTAと比べて全長は20cm以上短いし、ホイールベースも5cmばかり短い。ついでに5mmばかりタイトだ。さぞやバランスが悪かろうと思ったら、とんでもない間違いで、バランスはむしろ156よりもいいくらいだ。
 高速コーナーの続くワインディングを走らせてみると、それがハッキリと表れてくる。高速旋回での安定感は147の方が一枚上手で、156よりもトレッドが広いのか? と思えるほど落ち着きがあるのだ。しかもコーナーを攻めていくと、徐々にフロントタイヤの接地感が薄れてきて、それとともに旋回軌跡も膨らんでくる156に対し、147は同じコーナーを同じスピード、同じアプローチで進入していってもクルマがピタリと安定し、タイヤの接地感も薄れてこない。とはいえ、156もそうした挙動が露わになるのは、かなりのハイペースで走らせた時ではあるのだが……。
 もっとも、素の147ではターンインこそ機敏に曲がるが、そこからステアリングの舵角を増していくとアンダー傾向が強まってくる。素性としてリアのスタビリティが高いのか、リアに対してフロントが負けているような感触があるのだが、GTAではそうした挙動が顔を出さないということは、それだけ足回りが強化されているということだろう。おそらくは、ただ単にバネ/ショックのチューニングにとどまらず、前後のサス・ジオメトリーから変更されているのではないだろうか。
 ついでにいえば、タックインの特性も147の方が穏やかで、クルマの挙動がゆったりしている。そもそも、ちょっと攻めたくらいでリアを滑らそうとしても、簡単には滑ってくれないが。
 ――と、こう書いてくると156が圧倒的に不利なように思われるだろうが、156は156で魅力がある。それは147の乗り味とは反対方向のベクトルになるのだが、穏やかで安定感のある147に対して、156の方がシャープでキレのいい乗り味を持っている。それは運動性能的なシャープさとは少し違って、乗る人に適度な緊張感というか、刺激を与える類のものだ。
 確かに、高速コーナーでの安定感は147の方が一枚上だと思うが、クルマを走らせているという刺激や実感は147に勝るとも劣らない。サーキットで速さを競うのならともかく、走る愉しさというものは、実際にステアリングを握り、クルマと対話する中で完結する。つまり、曲がらなければ曲がるように工夫すればいいし、限界を超えないギリギリのところをせめぎ合いながらドライブを楽しめればいいのだ。そういう意味で156は十分に刺激的だし、運転するオモシロさを持っている。
 そしてもうひとつ。どうしても捨てがたく、強くボクのイメージに焼き付いて剥がれないのがエンジンフィールの良さだ。
 たぶん走行距離の問題で、147も1万kmくらい走るとエンジンがある程度柔らかくなり、いいフィーリングが出てくるのだろうとは思う。今回試乗した147は、走行距離がまだ3000kmをちょっと超えたところなのだ。あるいは吸排気系の取り回しなどで、微妙にパワー特性が違うのかも知れないが、5000〜6500rpm付近のパワー感では156の方が勝っており、より官能的な吹け上がり方をする。
 距離を重ねれば、たぶん147もほぼ同様のエンジンフィールになるのだろうとは思うが、この2台を比べてどっちを選ぶかといわれた時、スムーズでパワフルに回ってくれるが、まだこなれていない感じの147と、十分にこなれ、いまが絶好調の156とでは、156のそのフィーリングに後ろ髪を引かれてしまう。実は、それが8割方147に傾いた気持ちの、足りない2割なのだ。
 たぶん他のメーカーであれば、ほぼ同じ性能なら新しい方、あるいは乗って楽しい方をすぐに選ぶ事ができるのだろう。だが、ことアルファというメーカーに限っては、その魅力はクルマの絶対性能ではなく、いかに自分にとって官能的であるかというところに収束する。147GTAも156GTAも単独で乗ったら、すぐに惚れ込んでしまうくらいそれぞれに魅力を持っているだけに、いまある楽しさや魅力が代え難い物のように感じられてしまうのだ。。
 


ALFA ROMEO
ALFA156GTA
ALFA147GTA
■全長/全幅/全高(mm)
4430×1765×1400
4213×1764×1412
■ホイールベース(mm)
2595
2546
■車両重量(kg)
1420
1360
■エンジン種類
V6DOHC24V
■排気量(cc)
3179
■最高出力(ps(kW)/rpm)
250(184)/6200
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
30.6(300)/4800
■トランスミッション
6MT
■サスペンション(F:R)
Wウイッシュボーン:ストラット
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
■タイヤ
225/45ZR17
■東京標準現金価格
5,440,000円
4,280,000円
  カーボックス横浜ブランチ TEL:045-372-1775
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。



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