ひょっとしたら、スポーツカーのシャシー性能はその程度でもいいのかもしれない。それこそ、手に汗握っていても「オレだからアクセルを踏み続けられるんだ」といった一瞬の充足感というか、刹那的快感に価値を覚える人がいても不思議ではない。
 そう考えると、911とサーブラウは対極に位置するスポーツカーだ。911は機能的側面、サーブラウは情緒的側面から、スポーツカーの在り方を極めようとしている。最後に紹介するシボレー・コルベットは、その中間に位置づけられる。正確にいえば、デビュー当初は情緒的な側面からアメリカンスポーツの魅力を訴えかけていたが、マイナーチェンジのたびに機能的側面を進化させてきた。
 この50周年記念モデルは、専用マーク入りの数々の装備追加に加え、新サスペンションシステムのマグネティック・セレクティブ・ライド・コントロールを装備する。このシステムは、ダンパーの減衰力を可変するにあたって、オイルの粘度特性を磁力によって1/1000秒単位で制御していることが特徴となる。
 実際、バネ下がドタドタと震える感じや荒れた路面を通過するときのバシッバシッという衝撃が軽減され、とくにモードを「ツアー」に設定すると、歴代のコルベットでは最高の乗り心地を提供してくれる。ハンドリングも洗練度が増し、モードを「スポーツ」に設定するとステアリング操作に対する応答性は鋭くなるが、かつて感じたゴーカートのような過剰なダイレクト感とは別もの。サスペンションが適度にストロークし、それによって4輪がバランスのいい接地感を発揮する。
 荒くれた感じこそ、アメリカン・スポーツの醍醐味と考えていた人にとっては物足りないかもしれない。とはいうものの、エンジンは相変わらず迫力十分であり、ドドドッとトルクが沸き上がる感覚も楽しめるので、この点は安心していい。アメリカン・スポーツならではの、ダイナミックなプロポーションも健在である。
 もし成功をすれば、ここで紹介した3台のスポーツカーだけではなく、それぞれのベクトルに乗っているあんなスポーツカーもそんなスポーツカーにも乗れる。幸運を呼ぶなんとかの広告のような締めくくりになってしまったが、リポーターは成功を夢見るゾッ!!
 
スポーツカーとはいえ、そこはアメリカ車。やせ我慢を強いるような部分は皆無で、快適性は高い。今回、試乗したのは限定車(日本向けは20台)の50周年記念モデルで、アニバーサリーレッドの専用ボディカラーやシャンパンゴールドホイールなどでも独自性を主張していた。
古典的と誤解されがちだが、実はヘッド回りをコンパクトにして低重心化を図るためにOHVを採用したというコルベットのV8。大雑把なようでいて、実は緻密に作られているのだ。
 
■全長×全幅×全高=4555×1870×1230mm
■ホイールベース=2655mm
■車両重量=1500kg
■エンジン種類/排気量=V8OHV 16V/5665cc
■最高出力=355ps(261kW)/5200rpm
■最大トルク=49.8kg-m(488Nm)/4000rpm
■トランスミッション=4AT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=P245/45ZR17:P275/40ZR18
■東京標準現金価格=7,980,000円
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※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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