ルノー・ラグナの持つ世界観は、良い意味で「枯れた」感じがする。
 たとえばアウディの持つ爽やかさや、メルセデスの持つ穏やかさ、ジャガーの持つ香り、アルファ・ロメオの持つような艶っぽさなど、すべては過去に経験済みだから、今はもう自由気ままに過ごしている……。そんな感じが漂う。
 その意味ではあらゆる部分でいい具合に力が抜けており、気負ったところがほとんど感じられない。同時に、他のクルマたちとは同列に比較させないような、狡猾なものをも感じさせるわけだが。
 面白いのは雰囲気として自由気ままなものを醸し出すにもかかわらず、スタイリングおよびデザインが最も未来的なものを感じさせること。この点に関しては、走りの世界から受ける感覚との間に大きなギャップがある。
 ラグナの走りには、これまで紹介した4台にある、全ての感覚が少しずつ備わる。スッキリと爽やかな面もあり、穏やかな面も刺激的な面もある。それにどこか香り立つ雰囲気も。だから、どこか一部が強く主張している感じがなく、やはり自由気ままな感じなのだ。
 また、目に見える部分においては、他の4台から比べると未来的にも関わらず庶民的な感じも強い。確かに以前のモデルから比べれば、明らかに品質を感じさせるものにはなったが、それでも他車比では、チープに思える部分も残る。しかし、それが決してネガティブなものとして認識されないのがこのクルマの特徴で、決して質が低いという風にはいいきれない。
 もしやそれがエスプリなのかもしれないが、私にはその言葉を使うほどの勇気はない。強いていっても「不思議な魅力」……という程度に抑えておきたいところだ。
 その意味では上質というキーワードで括った時に、ラグナは最も「どの部分が?」というのを表しづらいクルマかもしれない。乗れば乗るほどにじんわりと染みいるような走りの感触と、最初は理解しづらいが、付き合っていく間に親しみを感じるのだろうその見た目のバランス感は、他とは明らかに違う質といえるものである。
 ゆえにこれをして上質と感じるには相当に経験豊富で、人生を悟るような感覚が必要に思える。

 
   
 
2000年のパリ・サロンでデビュー。欧州のDセグメントではトップ5に入る販売実績を残しているラグナが、ようやく日本上陸を果たした。その新型は、日本車顔負けの充実した装備と快適性、そしてユーロNCAPで5つ星を獲得した高い安全性が特徴となる。試乗車はセダンのV6モデル。搭載する3リッターユニットは207ps&28.5kg-mを発揮。トランク容量は430リッターを確保している。ワゴンボディも用意され、こちらは2リッターモデルも選べる。

■全長×全幅×全高=4580×1790×1435mm
■ホイールベース=2750mm
■車両重量=1570kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V/2946cc
■最高出力=207ps(152kW)/6000rpm
■最大トルク=28.5kg-m(280Nm)/3750rpm
■トランスミッション=5AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トレーリングアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=205/55R16
■東京標準現金価格=3,650,000円
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※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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