 |
 |
 |
一見普通っぽいのに、なぜか非凡そうというのは、並みの実力では到達できない境地だ――と書きだせば、サーブのことに決まっている。暑苦しさや押しつけがましさとは無縁の佇まいは、クルマ界における清涼剤といいたい。
そんなサーブの基本路線を受け持つ9-3がフルチェンジ。本国に遅れること約半年で、このほど日本でも発売に漕ぎつけた。新型といえば先代と大きく違うのが普通だが、サーブの場合、そこそこ形は変わっても雰囲気が微動だにしないので、ファンでなければ気が付かないかもしれないほど控えめではある。
とはいえ、新しい9-3にこめる気合は熱い。これまでも高速性能を売り物にしてきたサーブだが、今度は正面から「スポーツセダン」と名乗り、正面からライバルに挑戦状を叩きつけた形だ。昨年、スウェーデンで会ったピーター・オーガストソン社長も「2001年は年産11万台でした。それを2002年には14万台、さらに9-3が軌道に乗る2003年には、なんとか20万台まで伸ばしたいですね」と意欲を語っていた。それでも、マンモスぞろいの自動車産業界では異色の少数派だが。
そんな新型9-3、まず日本で発売されたのはベースグレードとなるリニア1・8t(360万円)と、少し高級なアーク2・0t(415万円)の2車種。ざっと輪郭を予習しておくと、全長4・6m級の4ドア・セダンなのが特徴だ。これまで9-3はハッチバックだったが、「プレミアムカーのお客さんは、ヨーロッパでも普通のセダンを求めるようになってきました」という。ちょうどCクラス、3シリーズ、A4などと正面からぶつかるサイズだ。
フロントに横置きされて前輪を駆動するエンジンは、数字こそ違うがどちらも2リッターの4気筒ツインカム。それにお家芸の低圧過給をかけている(だから小文字のt)。ターボはギャレット製で、過給圧はリニアが0・4バール(+大気圧)、アークが0・6バール。これで、それぞれ150psと175psにチューンを使い分けている。リニアの方は、最大トルクを1900rpmと低いところで生み出すのも特徴だ。
変速機は、どちらもアイシンAW製の5速ATでマニュアルモード(セントロニックと称する)も併用する。このあたりはフロアユニットともども同じGMグループのオペルから供給を受けているが、それでも「エンジン内部の大半はサーブの独自技術で開発をやり直してある」と胸を張る。前がストラット、後ろがトーコントロール機能も持たせた4リンクというサスペンションにもオペルの影が見えるが、乗ってみると味付けがかなり違うことは後で紹介する。
それよりサーブのサーブたる所以は、やはりインテリアにある。奇をてらわず簡潔な中にも譬えようのない豊かさが滲むあたり、住宅や家具にも通ずるスカンジナビアン・デザインそのものだ。こんな透明感あふれる空気に満ちたセンスは最近のニッサン・ティアナにも取り入れられているが、はるか昔からサーブは寛ぎのポイントを知り抜いていたわけだ。そのうえで大きなL字型に配したダッシュボードなど、どことなく航空機メーカーから生まれたクルマであることを強調しているのがおもしろい。いわば陸のビジネス・ジェットというわけだ。
|
|
|
 |
 |
 |
|
日本仕様には2種類の直4DOHCユニットを用意。ひとつは150ps&24.5kg-mを発揮(1.8t)、もうひとつは175ps&27.0kg-mをマークするタイプ(2.0t)で、どちらも2リッターの低圧ターボ仕様。210psを発揮する2リッターターボ仕様(2.0T)は5月上陸予定。 |
 |
 |
|
ハッチバック形状だった旧型に対し、完全なセダンボディとなった新型。全長こそ変わらないものの、幅+55mm、ホイールベース+71mmと、サイズもひと回り大きい。 |
 |
 |
|
トランク容量は421リッター(VDA法)。同クラスのライバルと比較すると、メルセデスCクラス(430リッター)とほぼ同様量で、同じFFのアウディA4(445リッター)よりは小さい数値。 |
 |
 |
|
ホイールは2.0tのアークが16インチ、1.8tのリニアが15インチ。試乗車はリニアのスペシャルパッケージ仕様で、16インチのホイール、レザーシートなどを装備していた。 |
| |
|
|