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そうなると、やはりブリティッシュに脚光を浴びせないわけにはいかない。英国こそ大人の、それも男のワンダーランドだからだ。パブのひそやかな喧騒、辛辣すぎるジョーク、パイプの煙、ウィスキーの燻香、そしてクルマ。「よくぞ男に生まれけり」は、イギリスでこそ生きる言葉だ。
考えてもみたまえ、ベントレー、アストン・マーティン、ジャガーなどを運転する女の姿を。それだけで何か特別すぎる状況設定に思えてしまうではないか。性差別は許されないが区別はあるということを、懐の深い英国人はわきまえているのだ。
さて、そんなカルチャーによって育まれたアストンとジャガーは、今では事実上ほとんど違わない存在を放つ。それを承知で選別するとすれば、曾祖父ぐらいの時代からの背景にこだわるしかあるまい。それに依拠すれば、20世紀初頭に生まれ、輝かしいヴィンティッジ期の薫陶を受けたアストンの方が、戦後やっと本格的に抬頭したジャガーより格が高い。だから今でもあの国の年配層には、ジャガーを成り上がり者呼ばわりする一派がいる。もっとも20世紀の末ともなれば、どちらもフォードの傘下に組み込まれてしまい、それほど立場に差はないが。
そればかりか、現にこうして目の前を走るアストンDB7もジャガーXKも、フォルムといいインテリアといい、さらには走行感覚といい、きわめて近似している。それもデザインに関しては無理からぬところもあり、故ジェフ・ローソンからバトンを受け継いだイアン・カラムは、フォードからアストンを経てジャガーに移ってきたという経歴を持つ。そして滑らかな長いノーズと穏やかなファストバックという'50年代から'60年代を彷彿とさせる基本形は、イギリスの富裕層にとって、高級クーペの定番として刷り込まれている。
そしてもちろん、最新の技術を駆使しながらも、あのころを色濃く匂わせる全体の味付けにおいても、背後を貫くセンスに違いはない。限界こそあまり高くなく、最終的には優雅にテールアウトするシャシー、高回転でヒステリックに叫ぶより、滋味あふれる中速トルクでじっくり漕ぐエンジン、親指の腹で押し出すような送りハンドルが似合うステアリングの手応え、むせるほど薫るコノリーレザーなど、こうと決めたらこれしかできない、骨の髄まで染み込んだ文法の現れだ。
ここで忘れられないのは、アストンにもジャガーにも一種の不自由さが付きまとい、それがかえって独特の存在感を強調している点だ。コクピットへの出入りも少しコツを要するが、シートに収まって分厚いドアを閉じてみると、実際、ボディの端がどこまであるのか見切りを付けにくいのに気付く。フライオフ式のパーキングブレーキもシートと幅広いサイドシルの間、やっと手が入る隙間にある。
こういう仕立てが主張するものは、単に英国的な雰囲気だけではない。それなりの取り扱いの上手さを、ユーザーに要求しているからこその作りでもある。大出力を制御する腕と、それでもゆとりを残す自制心があればこそ、400ps級のスーパー・クーペを託すこともできるという無言のメッセージを込めたデザインとも言える。
となると、困ったことに、これも私たちせっかちな日本人としては扱いに困るクルマになる可能性がある。あの国では、高貴な人たちは働いてはならない。悠然と時を見送ることこそが義務だったりする階級のアクセサリーがアストンであり、ジャガーなのだ。こんな彼我の意識の断絶は、おそらく百年たっても埋まらないだろう。
だとすると、やはり日本人の選択としてはメルセデスということになるのだろうか。
それはそれで納得できるような、でも寂しいような――。

ASTON MARTIN DB7 VANTAGE
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| ■全長×全幅×全高=4700×1830×1240mm |
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| ■ホイールベース=2590mm |
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| ■車両重量=1860kg |
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| ■エンジン種類/排気量=V12DOHC48V/5935cc |
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| ■最高出力=420ps(309Kw)/6000rpm |
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| ■最大トルク=55.2kg-m(542Kw)/5000rpm |
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| ■トランスミッション=5ATタッチトロニック(オプション) |
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| ■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン/Wウイッシュボーン |
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| ■ブレーキ(F:R)=Vディスク/Vディスク |
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| ■タイヤサイズ(F:R)=245/40ZR18:265/35ZR18 |
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| ■東京標準現金価格=15,650,000円 |
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| 問い合わせ先 |
JAGUAR XK-8 Coupe Classic
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| ■全長×全幅×全高=4770×1850×1295mm |
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| ■ホイールベース=2590mm |
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| ■車両重量=1680kg |
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| ■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V/4196cc |
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| ■最高出力=304ps(224Kw)/6000rpm |
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| ■最大トルク=42.9kg-m(421Kw)/4100rpm |
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| ■トランスミッション=6AT |
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| ■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン/ウイッシュボーン |
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| ■ブレーキ(F:R)=Vディスク/Vディスク |
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| ■タイヤサイズ(F:R)=245/50ZR17:245/50ZR17 |
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| ■東京標準現金価格=10,900,000円 |
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| 問い合わせ先 |
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| ※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。 |
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DBシリーズ最新の2+2。エンジンはアストン・マーティン史上初となるV12エンジンを搭載。組み合わされるトランスミッションは6MTと5AT、さらにはタッチトロニックと呼ばれるマニュアルモード付き5ATもオプションで用意される。なお、こちらも豊富な20色のボディカラー、16色のトリムおよびレザーカラーを用意する。
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| 流麗なフォルムと、贅を尽くした室内空間が魅力のラグジャリースポーツ。'96年のデビューだが、いまだにその鮮烈なスタイリングは色褪せない。最新型は4.2リッターV8エンジンを搭載、電子制御サスペンションCATSもオプションで選べる。なお、スーパーチャージャーを装着したXK-Rにはクーペとコンバーチブルが用意される。
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